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南充浩 オフィシャルブログ

ユニクロのフリースブームから22年も経過してるのにまだ変わらないの?

2020年7月21日 ユニクロ 1

年を取ると月日の過ぎるのが速く感じる。

50歳の当方なんて、「ついこの間、年末大掃除をしたところなのに、もう今年も半分以上が過ぎた」という感じである。

10年前といったら2010年だが、2010年なんて昨日のことのように覚えている。

 

死んだ母親が1990年ごろに「1970年なんて昨日のことのようだ」と言っていたが、その感覚が理解できる。

 

ジーユーが990円ジーンズで起死回生を図ったのが、2009年のことである。当方からするとまるで昨日のことのようである。

恐らく、アパレル業界にいる40代以上の人たちも同様ではないかと思う。ジーユーなんていまだに「新参者(阿部寛主演の刑事ドラマではない)」という印象がぬぐえないが、実際は低価格トレンドブランドに変身してからは、もう10年が経過しており、通常の感覚でいえば決してもう「新参者」ではない。

 

ユニクロがフリースブームを起こしてからすでに22年が経過している。

当方のようなジジイ世代にとっては20年前なんていうのは、死んだ母親が言うように「昨日のことのように」覚えている。

いまだにアパレル業界ではユニクロも「新参者」扱いだが、ブーム後22年も経過していればもはや「新参者」ではない。

いつの間にこんなに時間が経過したのかと呆然としてしまう。

 

なので、当方からすると、アパレル業界は「ユニクロありき」で様々な戦略や戦術を組み立てるのが当然だと思っている。

これが、98年のユニクロフリースブームから5年後や10年後ならまだ「新参者」扱いもわかる。あんなものは一時的なブームに過ぎないという意見も理解できる。

しかし、もう22年も経過していれば、それは一時的なブームでも何でもない。泣こうがわめこうがユニクロの存在は確固としたものである。

国内最大手ブランドであるユニクロの存在を前提として、各ブランドは戦略、戦術を組み立てるべきで、それができない・やりたくないのは単なるお馬鹿さんでしかない。

 

つい先日、「ユニクロが日本のアパレルを壊した」という主張を目にしたのだが、一体何年前の感覚なのかと呆れ果てた。

たしかに、ユニクロのフリースブームがそれまでのアパレルの既存の仕組みや繊維業界の構図を壊したことは間違いない。

だが、それからもう22年である。最初の5年や10年は呆然自失でも仕方がないといえるが、その後、10年以上の時間があったのだから、何らかの対応策を講じられていない方がおかしい。

22年間無策だったブランドや企業が追い詰められるのは極めて当然である。

 

繊維・アパレルに限らず、22年間も無策だった企業やブランドが生き残っている例を見たことがない。ブームからしばらく後までは対応が難しかったとしても、少なくともそれ以降10年以上の時間があったのに、有効策が出せなかったようなブランドや企業が淘汰されるのは当たり前でしかない。一体何を言っているのかと思う。

 

ではユニクロがビッグになっていなければ、90年代前半までのようなファッション業界、衣料品消費が今も続いていたかというと、そうではないと考えている。

恐らくは同様か、それに近い低価格化は引き起こされていたのではないかと考えている。

ユニクロが大ブームになる少し手前、90年代前半に青山、AOKI、はるやまなどの紳士服チェーン店がスーツ類の価格破壊を行って大ブームとなった。

スーツやそれに付随したワイシャツ、ネクタイが低価格化したのだから、カジュアルウェアが早晩定価価格化するのは容易に予測できた。

 

ユニクロがフリースブームを起こしたのは98年だが、その頃になると、すでにGAPは日本に上陸していたし、日本のバイヤーたちは、ヨーロッパに出張するとH&Mの服を仕入れたり、土産として持ち帰ったりしていた。

98年にビギとの合弁で日本に上陸したZARAに今の面影はなかった。ちょっとダサくアレンジして劣化したイタリアブランドみたいな感じだった。

 

とはいえ、ユニクロが大ブームとならなくてもGAPやZARAは90年代後半には上陸していたし、青山のスーツは売れていたし、世界にはすでにH&Mも存在していて、いずれどこかの時点で上陸することは目に見えていた。

そして、ユニクロがなかったとしたら、これらの低価格ブランドはもっとシェアを伸ばしていたと個人的には考えているので、アパレル業界は低価格化に同じように直面しただろうと思っている。

 

その昔、10歳以上若いイシキタカイ系に「それは結果論だ」と意味不明の反論を受けたことがあるが、時系列と事実をつなぎ合わせれば、そうとしか考えられない。逆にそのイシキタカイ系の思考こそ「ユニクロ=絶対悪(そいつの中では)」という結論ありきの論理であり、現実的には何の役にも立たない。

 

ユニクロブームから22年がすでに経過した今、アパレル業界人・繊維業界人は90年代以前の時代を振り返って懐かしがっていても仕方がないし、ユニクロ=絶対悪でもないということにそろそろ気付く必要がある。

それができないブランドやアパレル企業が淘汰されるのは必然である。

「ユニクロが存在すること」を前提として戦略・戦術を考えられないと今後の生き残りは不可能だろう。

 

 

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 comment
  • gonwoo kim より: 2020/07/21(火) 5:26 PM

    ユニクロが流行りだしたころ
    大阪南港・安藤忠雄さんデザインの社屋が自慢の企業
    そこの人事の方が
    「ユニクロはファッションと認めていない」
    というてましたね
    まぁ そちらの会社に認められなくても
    ユニクロはどんどん大きくなりましたけど
    そういえば犬種の名前のその会社
    早晩 無くなっちゃいました

    そもそも 意識高い系のアパレル関係者が
    ユニクロを認めないってどういうことですかね?
    ヘルムーラングのデニムをおされに着こなすのかしら
    個人名をブランドにした服だけが おされということかしら
    そういえば 個人名のブランド 内定取り消し出しましたね
    意識高い系はどう評価するのかね?
    話それてしまいました

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