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南充浩 オフィシャルブログ

「セシルマクビー」のジャパンイマジネーションがライセンス管理以外の事業を終了へ

2020年7月20日 企業研究 1

無事に金曜日に父の葬儀が終わった。

正直、手続き云々はどれほどの手間がかかるのかと恐れてはいるが、実は土日は役所も銀行も閉まっているので何もできず、実質今日から始めるということになる。

そんなわけで、手続きの進捗によっては、また不定期に休まざるを得ないこともあるだろうと考えられるが、とりあえず、今日はブログを更新してみる。

 

109ブランドとして名高い「セシルマクビー」を運営するジャパンイマジネーションが、「セシルマクビー」の全店閉鎖を発表した。

日経新聞と繊研新聞が報じているがちょっとニュアンスが異なる。事実に近いのは繊研新聞の方ではないかと思う。

セシルマクビー、2021年2月までに全店閉店-「109系」人気ブランド、新型コロナ影響か

 

この報道は日経新聞の報道をもとに書かれているがこれだと実店舗だけを閉鎖するというふうに読めてしまうが、繊研新聞の報道ではまったく内容が異なる。

 

繊研新聞の報道によると、

 

ブランド運営、実店舗・ECをとりやめ、セシルマクビーはライセンス事業に絞る

 

とある。

ジャパンイマジネーションはセシルマクビー以外の「エージープラス」「ソフィア」など他のブランドも実店舗・ECともにとりやめるとあるから、実質的にセシルマクビーのライセンス管理機能だけしかジャパンイマジネーションには残らないということになる。

実はすでに5月ごろからこの噂は業界で流れていた。

個人的には子会社のスタニングルアーはどうするのかとちょっと気にはなっていた。スタニングルアーは流浪のブランドで、もともとはリステアホールディングスになる前のルシェルブルーの時代からスタートしたが、その後、瀧定大阪に売られ、瀧定大阪のブランド事業が上向かなかったため、ジャパンイマジネーションに売却されたという経緯があった。

ダボハゼ式にブランドを買い漁っていた瀧定大阪よりは、セシルマクビーを抱えるジャパンイマジネーションの方が親和性は高いと思っていたが、ジャパンイマジネーションがこういう事態になるとは、昨年時点では想像だにできなかった。スタニングルアーはまた流浪することになるのかと思っていると、繊研新聞では

 

「アンクルージュ」「スタニングルアー」など4ブランドを子会社のスタニングルアーに集約して継続する。

 

とある。

4ブランドだけを残して、子会社のスタニングルアーに集約して営業を続けるということで、ジャパンイマジネーションは実質的に運営停止で、スタニングルアーが存続会社となるということである。

継続4ブランドは現在26店舗あり、ECと合わせて事業が続くが、事業規模はジャパンイマジネーションに比べると大幅に縮小されることになる。

逆にジャパンイマジネーションは全国100店舗(セシルマクビー含む)を閉鎖することになる。

 

知名度が高かったセシルマクビーだが、近年は苦戦傾向にあったようで、ジャパンイマジネーションのピーク時の2005年には230億円の売上高(セシル以外のブランドも含む)があった(繊研新聞より)というが、2019年2月期売上高は132億円まで低下していた。

またセシルマクビーについてはテレビの経済番組で採りあげられた下請け製造工場が不法に外国人実習生を低賃金で使っていたという案件もかなりのダメージになったと個人的には考えている。

 

ジャパンイマジネーションがまともに事業を再構築するのであれば、知名度が高く売り上げ規模も最も大きい「セシルマクビー」を柱にするほかない。

セシルマクビーに集中しつつ、不採算ブランドを徹底的に廃止するという手法が、オーソドックスな事業再構築の手法だといえるが、今回はそれをせずにセシルマクビーを含めての実店舗・EC両方を廃止するということなので、実質的に会社解散といえる。

もちろん、セシルマクビーのライセンス管理機能は今のところ残るが、こんな機能は極少人数の人員しか要らない。実質的には、2~3人が食えればそれでいいというスタンスでしかない。

 

これと似たような状況にあるのが、かつてインポートジーンズブランドを多数手がけていた栄光商事である。

その昔は、アールジーンやシマロンなどのブランドをインポートしていてジーンズ・カジュアルパンツ業界ではそれなりに存在感があった。近年名前を聞かないようになったと思ったら、ブランドのインポートはすべてとりやめ、社員も全員解雇して、社長が一人で自社の持つ不動産だけを管理しているという。

だから、廃業でも会社清算でもないが、実際はそれに近い。

 

ジャパンイマジネーションもこれとほぼ同様になるということだろう。栄光商事と異なるのは、不動産ではなく、セシルマクビーのブランドライセンスを管理するという点だけである。

 

あと、注目すべきは、実質的な廃業という点で、破産でも民事再生法申請でもないという点である。これはとりもなおさず、ジャパンイマジネーションには廃業できるだけの資産があった(現金も含めて)ということで、新型コロナが最後の一押しとなって、経営破綻した数々のアパレルとは決定的に違っている。

業界にとっては、セシルマクビーの知名度の高さも相まって、衝撃的なニュースだが、ジャパンイマジネーションにとってはベストなソフトランディングだったといえるのではないかと思う。

 

 

そんなセシルマクビーの服をどうぞ~

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 comment
  • gonwoo kim より: 2020/07/20(月) 4:00 PM

    そもそもセシルはバイヤーがOEMの会社に
    見本作らせてセレクトしたのを
    商品化するのがビジネスモデル
    作る機能もってたのかな?
    大阪の下請け企業では そのバイヤーは
    悪名に近い有名でした
    自分の感覚で売れる間はいいけど
    後付けで流行を作るようになれば
    売れなくなりますね
    ギャルといわれる人も減ってるし
    自ず売上も下がりますわな
    仕方ないですね

    お父様のご冥福
    心よりお祈りいたします

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