MENU

南充浩 オフィシャルブログ

長くビジネスを続けるのなら定期的な顧客の若返りが必要

2020年7月14日 百貨店 0

今日はちょっと辛気臭い話をしてみる。

昨年末から入院中の父がいよいよ危なくなってきたので、7月下旬から8月末までのどこかでこのブログをしばらく休んでいろんな手続きをすることになると思う。

当方は人生において最初で最後の喪主を務めることになる。

この8年間で母、弟と亡くしているので、葬式と法事ばかりやっている気がする。父が亡くなると、秋に四十九日があって、来年の夏に1周忌、再来年の夏に3回忌というスケジュールで、再来年の夏までまた法事が続く。そういえば、来年の1月は母方の祖母の3回忌もある。人が死ぬということはなんともめんどくさいものである。

 

当たり前の話だが、人間は必ず絶対に死ぬ。

ナンタラ細胞の研究がもっと進めば将来的には不老不死になれるとも言われているが、自分は御免被りたい。そこまでこの世が楽しいわけでもなかったし、未来永劫カネ儲けと生活の算段をし続けるのは苦痛である。

逆に不老不死になったら、いろんな意味で社会保障制度が崩壊すると思うから人間は適当なところで長生きしすぎずに死ぬのが一番正しい在り方だと思う。

 

ビジネスにおいて最も必要なファクターの一つに「顧客の若返り」というものがある。これを成功させるのは非常に難しいが、今の既存客の条件がいくら良いからと言って、そこに甘んじていてもそれはいつか終わる。なぜなら、人間は絶対にいつか死ぬからである。

今の老人層は、若者に比べてカネを持っていて、人口も多いが、30年後にはほとんどこの世からいなくなっている。

とすると、50代以上の強い顧客はいるが、若い顧客がいないブランドや店は、どこかの時点で若返りを図らないと30年後には顧客が消滅してしまっているということになる。

意外にこのことを考えていない人が多い。

 

子供服なんか顕著で、どれほど強い客でも10年くらいすればすっかり入れ替わらざるを得ない。子供が大きくなってしまうからだ。

大人になっても150~170センチサイズの子供服を買う人もいるが、そのサイズは置いている店も少ないし、そういう顧客も決して多くはないから、子供服ブランドの大きな収益源にはなりにくい。

 

百貨店関係だと、「年間数百万円使う外商客がいれば、年間数万円しか使わない一般客は要らない」という意見もあるが、その「今の外商客」は残念ながら永遠には生き続けない。

当方は外商とは縁のない生活をしているが、知っている範囲でいうと外商客も老人の割合が高い。一部には若くて成功した起業家もいるのだろうが、多くは50代以上ではないかと思う。特に当方の身の周りはそうだ。

となると、いくら「外商客」とやらが太くても、その大多数は30年後にはこの世からいなくなっている。

そして、50歳になった今の20代が、30年後に「俺も50歳になったから百貨店の外商で買わなければ」と考えることは恐らくないだろう。

ちなみに当方は50歳になってしまったが、百貨店で買わなければいけないとはさらさら思わないし、外商を使おうとも思わない。多分死ぬまで使わない。

 

 

世の中には金持ちの家系というのがある。何代も続いている場合もあるし、祖父や父の代から金持ちになったという家もある。

以前に業界の大先輩からお伺いした話だが(ご迷惑がかかるといけないのであえて匿名にする)、東京の某大手メディアの若手社員には「親の代から百貨店でしか服を買ったことがないという金持ちの家に育った人が少なくない」という。

そういえば、当方が交流があった、某大手新聞社の年下の社員も伊勢丹新宿本店で服を買っていると言っていた。

こういう人たちは50代になると「外商客」になるのだろうが、その数は今の外商客と等しいのだろうか?人口統計で考えると、明らかに減ると考えられる。

 

そうなったときに「百貨店」は持つのだろうか。当方は持たないと思う。

だから金持ちの外国人を呼び込めという話になるのだろうが、新型コロナの治療法が確立されない限りは無理である。

そして、過度にインバウンド需要に頼るということは、何かのきっかけで突然ゼロになるという可能性もあるということで、今回の新型コロナでそれは証明されてしまった。

 

もちろん、当方は百貨店がゼロになってしまうとは思わない。

伊勢丹新宿本店とか阪急うめだ本店とか名古屋松坂屋とかそういう強い店舗は残るだろう。しかし、今のように各都道府県に小型~中型百貨店が点在するということはなくなるだろうと思う。

 

それにしても「顧客の若返り」というのは難しく、下手にやってしまうと、今の年配客には離反され若いターゲットには見向きもされないということが起きてしまう。

スポーツブランドやユニクロのように若者も使う物を年寄りも取り入れるということはブランディングとしても成功しやすいように感じるが、逆はなかなか難しい。

年寄り御用達ブランドを若者に売り込むのはちょっと難しい。なぜなら若者からすればジジババ専用のブランドをわざわざ使いたいとは思わないからだ。

 

ルイ・ヴィトンやプラダ、グッチ、バレンシアガなんかはそれをやったのだが、生半可な取り組みではちょっと成功しないだろうとも思う。

当方の知っているバレンシアガなんて、オッサン向けのモサっとした高いだけのセカンドバッグブランドだったのだが。

 

なかなか難しい問題だが、百貨店は「今の強い外商があれば安泰」というわけでは決してない。

20年後・30年後を考えるなら百貨店に限らず、どこかで顧客の若返りを図る必要がある。

 

そんなバレンシアガの財布。高ッ

この記事をSNSでシェア

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ