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南充浩 オフィシャルブログ

有名ブランドでもその内情は・・・・・

2020年5月20日 経営破綻 0

レナウンが経営破綻したわけだが、正直なところ、レナウンに商品を納入したり(OEM、ODMなどで)、生地を納めていたりした先から、良い評判を聞いたことがあまりなかった。

正直なところ、レナウンに限らず、世間的には人気が高いが取引先からは嫌がられているという著名ブランドや著名ショップはあまり珍しくない。

このブログにもたびたび引用しているカットソーのタリバンと呼ばれる山本晴邦さんのブログにけっこう赤裸々な思い出がつづられているのでご紹介したい。

 

https://www.ulcloworks.net/posts/8292229

 

レナウンと言えば、僕の中ではアーノルドパーマーだった。あの傘のマークのやつ。

当時、中間に入ってた商社の担当のクセの問題もあったろうが、それはもう、アクロバティック三昧だった記憶がある。

 

ほんとに、嘘みたいな納期とか、物理的に無理な物性要求とかあった。僕は当時、まだ悪意に噛み付けるほどの知識と威勢の良さを持ち合わせておらず、大人が言うことは絶対に守らなければいけないと思い込んで(これが世間に出るということか)と、たくさんの理不尽な要求に耐え、得意先のオフィスで社員全員が振り返るほどの大声で「生機じゃわかんねーだろうが山本ヨォ!なんかやり方あんだろうが!」と怒鳴られ、トイレの手洗い場で生機を濡らし、ジェットタオルに当てながら乾燥させてなんとか生地の仕上がり見本に近づけようとしたり、糸から別注の生地を3週間で作れと言われたり、その納期に近づけるために、糸〜編み〜染め〜港まで張り付いて手伝ったり、港でトラックから荷下ろししてる時に担当に電話して「間に合いました!」と体力尽きてボロボロの状態で伝えたら、「ありがとな山もっちゃん〜やればできんじゃん、あそうそう、あれ850円のところ、780円にしてくれる?」と追い討ちをかけられ、めんどくさくなって「いいっすよ別に」って言って電話を切ったり、もう、あのエピソードで映画できるんじゃないかってくらいドラマチックな経験を経て、あんな奴らにこんな思いをさせられたくないという強い思いから、テキスタイルジャンキーの道をたどるようになる。(長い)

 

すごく長い一続きの文章で、ドラマや映画の脚本ならこのセリフをもらった役者は大変だろうと思う。(笑)

まあ、どこのアパレルでもこの手の話は一つや二つ必ずある。

これには大雑把にいうと2つのケースが考えられる。

 

1つは、当時のレナウンも含めてアパレル側が天狗になって横柄になっていたという場合

もう1つは、当時の若かりしころの山本晴邦さんのスキルが未熟で相手をイライラさせてしまったという場合

 

どちらなのかは今となっては分からないが、個人的には前者なのではないかと思う。(笑)

 

この手の話は業界に溢れており、例えば

 

製造の中間に立っていた商社から、あまりの圧迫の強さにコロスカンパニーと呼ばれていたという会社

 

とか

 

ブランドは人気があってメディアからも成長企業だと目されているが、残業手当は一切つかなくてブラック企業だと言われている会社

 

とか

 

買収したデザイナーズブランドのデザイナーに無料で自社のPBのデザイン・企画をバンバンやらせていて、そのデザイナーから提携を解消された会社

 

とか

 

そんな話は業界内に掃いて捨てるほどある。

 

ほかにも

 

「国産ブランドの良さを」と言いながら、中国生産ブランドを仕入れている会社

 

とか

 

有名でオシャレなイメージの割に製造業者や副資材屋への支払いが悪い会社

 

とか

 

そんなのも珍しくない。

 

まあ、アパレルなんて我が国に限らず、他国でもそんなものなのかもしれない。

透明性の高さによって「エシカル(倫理的)」を売りにしていたエバーレーンというアメリカのブランドが、今回のコロナショックで真っ先に従業員300人を一時解雇していたりする。

 

エバーレーンが従業員約300人を一時解雇 「説明もなくある日突然解雇された」と一部従業員から不満の声

もちろん、我が国と比べて解雇しやすいという欧米の社会体制の違いはあるが、それをさっぴいても解雇の時期が早いことに驚く。エシカルなのに(笑)

 

それに比べるとコロナショックで苦しみながらも従業員の雇用を守ったり、給料を減らさなかったという我が国のアパレル企業も珍しくないから、それらの方が派手さは一切ないが、かなりエシカルなのではないかと思う。

 

そういえば、下請け業者への不法返品が問題視されたレリアンというオバチャン向けアパレルがあったが、多くの人が触れているように、ここも昔はレナウンの傘下だった。

山東如意集団にレナウンが入るときにレリアンは離れた。

レリアンの店頭での販売力の強さ(販売員の押しの強さ)は昔から定評があったのだが、伊藤忠はレリアンが欲しかっただけではないかと今にして思う。

 

 

しかし、当の山東如意集団自体が昨年くらいから極端に資金繰りが悪化しており、レナウンを見捨てたというよりは、自社の経営自体が危なくなってレナウンを捨てざるを得なかったというところが実情だろう。

山東如意の経営が傾いたのはダボハゼ的な買収による浪費である。まあ、一時期のライザップみたいなものである。

 

そういえば、ライザップも傘下に収めた三鈴を今年3月に売却しており、今後、傘下のアパレルを再編するといわれている。

山東如意もライザップも「ご利用は計画的」ではなかったということでしかない。

 

いろいろと書いてきたが、結局、納入先や取引先を過剰に甘やかす必要はないが、平均水準以下の扱いをするようなアパレルやショップはいずれはしっぺ返しを食らう。

それにしても今回のレナウンは引っかかっている企業が多くて、それを引き金とした連鎖倒産が起きるのではないかと思われ、レナウンの行く末などよりもそちらの方がよほど心配である。

 

 

 

そんなレナウンのエンスウィートのパジャマをどうぞ~

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