2年前も華々しかった
2013年6月27日 未分類 0
媒体が違うと読者層も異なるとはよく言われることである。
ところがいざ、自分のこととなるとめんどくさいと感じてしまうのである。
先日、このような記事を書いた。
大阪でビール1杯800円は高すぎるか
好スタート「グランフロント大阪」が抱える不安
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130624/250103/?P=1
先日、グランフロント大阪の開業1カ月後の実績が発表された。
ご存知の方も多いと思うが、改めて書くと売上高50億円・来場者数761万人だった。
初年度目標は売上高400億円・来場者数2500万人なのでこのままのペースで残り期間を過ごせるなら、どちらも軽くクリアできるはずである。
そういう意味では「好調発進」といえる。
ところが来場者数の割には売上高が低い。
これもまた事実であり、その観点に基づいて産経新聞が次のような記事を掲載した。
グランフロント大阪は高級すぎる? 1人当たり売上高「700円以下」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130609-00000500-san-bus_all
グランフロント大阪の現状の客単価は657円とかなり低い。
これについては、このブログでも書いたことがあるし、ほかの識者のブログでも言及されている。
売上高を来場者数で割ったらそうなる。
本来の客数とは「買い上げ客数」であるため、来場者数で割ることはナンセンスだという批評もある。
それはもちろんその通りだが、「買い上げ客数」の目標値も実績も発表されていない現状では、一つの目安として来場者数で割るほかない。
あまりに低い「客単価」であるため、ほとんどの来場者が買わずに「見物に来ただけ」と推測できる。
ただ、お客は少ないよりも多いに越したことはない。
枯れ木も山の賑わいともいう。ガラガラの施設よりは見物客だけでもたくさん来場してもらったほうが活気が出る。販売員の方々のモチベーションも維持しやすいだろう。
とりあえずは「好調発進」と評価されているグランフロント大阪だが、実は2年前にオープンしたJR大阪三越伊勢丹のオープン1カ月後の実績とそれほど大差がない。
逆に客単価は当時のJR大阪三越伊勢丹の方が高かったのである。
2011年6月7日の記事である。
JR西日本/大阪ステーションシティ開業1か月で1000万人来場
http://ryutsuu.biz/store/d060709.html
5月4日から6月3日までの来館者数はJR大阪三越伊勢丹が約480万人、ルクアが約540万人で、合計で1020万人となった。
売上高はJR大阪三越伊勢丹が約45億円、ルクアが約41億円となった。
この数字から客単価を算出すると、45億円÷480万人=937・5円となる。
グランフロント大阪よりも280円ほど客単価が高かったことになり、こちらの方が効率は高かった。
もしJR大阪三越伊勢丹がこのペースで推移したなら年間売上高は11か月合計(2011年5月~2012年3月末)で500億円弱となるから、当初計画550億円に少し届かなかった程度で済んだはずである。
そうならなかったのは7月以降、大幅に失速したからである。当初の来場客の多くがリピーターにならなかったとも言えるだろう。
このJR大阪三越伊勢丹と同じ現象が、ほとんど隣接しているグランフロント大阪に絶対に起きないとは言い切れないのではないか。
その可能性も考慮してグランフロント大阪の売上高目標は400億円と少し低めに見積もられているのではないかと思ったりもする。
以前、取材した際にJR大阪三越伊勢丹の売上高目標は2008年のリーマンショック以前に立てられたもので、その後も下方修正しなかったと伺ったことがある。
もし、下方修正していればここまでの惨状とは見えなかったのではないだろうか。
結果論に過ぎるかもしれないが計画立案ミスだろう。
さて、そんなわけで猜疑心の強い筆者は、グランフロント大阪が400億円達成するかどうかはもう少し経過を観察してからでないと「決定的」とは言えないと感じている次第だ。