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南充浩 オフィシャルブログ

防寒アウターは型数・品番数を広げすぎるな!

2020年1月14日 トレンド 0

今回はせっかくなのでマサ佐藤氏との飲み会とその後のブログを紹介してみたい。

 

小売店での販売員、店長経験からいうと、現場に立っているときは、当方程度の人間では何が売れるのかはっきり言ってわからない。

予想通りの商品が売れる場合もあるし、予想外の商品が売れることもある。

だから、なるべくいろんな種類の商品を置いておかないと安心できない。逆に幅広い種類の商品をそろえて置けばどれかが売れるはずなので安心する。

だが、実際はそうではない。

幅広い種類の商品を置くと、お客は混乱して買いにくくなる。

いわゆる選択肢が増えすぎると「ジャムの法則」で選びにくくなる。また、商品の陳列場所が理論上は無限にあるネットショップが意外に選択肢が多すぎて選びにくいと感じるのも同じ理由である。

さらにいえば、どんなに豊富な種類を品ぞろえしようと、実店舗はその点においてはネット通販には絶対にかなわない。ネット通販の陳列場所は理論上無限にあるからだ。

その分、ネット通販は抱える在庫が過剰になりやすい欠点があるのと、Amazon、楽天、Yahoo!のような大資本が圧倒的に強くなる。

だから、品番数、型数を広げすぎるのはまったく効果がない。

 

ユニクロの強みの1つには、品番数、型数が少ない点がある。

で、マサ佐藤氏のブログには品番数、型数の絞り込みの重要性について書かれている。

簡単にはアウター依存からの脱却はできない?

で、このブログは当方のブログを踏まえて書かれてあり、その前に飲みながらいろいろと話した。

このブログである。

 

これからは暖冬を標準として商品構成を考えるべき

これは今回の超暖冬を踏まえて書いたのだが、マサ佐藤氏によると、多くのブランドやショップは暖冬で苦戦している原因の一つが防寒アウターの構成比が高いことではなく、防寒アウターの品番数・型数が多すぎることにあるという。

 

店頭に立ってみればわかるが、来店するお客は好きなことを言う。

やれ、もう少し丈が短かったらよかった

やれ、もう少し襟が開いていない方がいい

やれ、もう少し身幅が広い方がいい

やれ、色が明るめの方がいい

などなど。

しかし、はっきり言えば、そんな意見を聞きすぎてすべてを実現してしまえば、玉虫色の意味不明の商品が出来上がる。そんな玉虫色の商品は売れない。またそれらをすべて叶えるように品番数・型数を広げすぎれば、不良在庫が増えすぎて店やブランドは死ぬ。

だから、お客の要望を聞きすぎてはだめなのである。

 

ユニクロは今後は暖冬対策を行うと言っているが、メンズで考えてみると、実は厚手の防寒アウターは型数が少ない。

シームレスダウンがパーカ、コート、ロングコートの3型のみで、あとは中肉のハイブリッドダウンくらいしかない。

 

で、いくら超暖冬とはいえ、薄手ダウンやインナーダウンくらいは着用する。暑がりの当方だって着用している日もある。

そして、ユニクロは薄手のウルトラライトダウンがあるし、保温肌着ヒートテックもあるから、実は暖冬でもここでの売り上げシェアが相当に高いことが考えられる。

今回の超暖冬では逆にウルトラライトダウンやヒートテックの方が好調なのではないかと思える。

 

大型店にはユニクロU、アンダーソンなどのコラボラインの厚手防寒アウターが並んでいるから品番数・型数が多く見えるが、かつての+Jは追加生産ばかりして、最後には投げ売りになっていたが、今秋冬はほとんど追加していないから、生産数量は本体ラインに比べると格段に少なく、値引き販売の結果、ほとんど売り切れになっているから、過剰在庫の心配は無用だろう。はっきり言って、これらのコラボラインは「見せ球」である。

 

ジーユーにしてもそうだ。あまり品番数・型数は防寒に関しては多くない。

メンズでいえば、がっつりした厚手のダウンは3型しかない。逆に中間形態みたいな防風フリースとかそういうのが多く、これはほとんど売り切れているから、品ぞろえとしては正解だったといえる。

 

セレクトショップやセレクトから派生したSPAは、その出自もあって、とかく品番数・型数をたくさん見せたがる。三つ子の魂百までというやつで、服好きであればあるほどそういう思考になるし、服好きな客の立場から考えても多い方が楽しいと感じる。

 

超暖冬で在庫を抱えて苦戦するのは、こういう厚手防寒アウターの品番数・型数が多い店やブランドということになる。

 

かつてのジーンズショップやワイシャツ売り場もそうだが、品番数・型数をむやみに広げても売れ行きは伸びない。それで売上高が伸びるなら今頃ジーンズショップもワイシャツ売り場ももっと売上高を伸ばしているはずだが、結果は逆でしかない。

 

ワイシャツ売り場は縮小しているし、ライトオンは毎月既存店客数を30%以上減らし続けているし、マックハウスの赤字幅は拡大している。ジーンズメイトはついに100店舗未満にまで店舗数を減らしてしまっている。

 

だから、マサ佐藤氏がいうように型数・品番数を広げすぎず、逆に絞り込むくらいでないとそこら辺の店やブランドでは過剰在庫が増えるだけになる。

しかし、むやみに広げすぎるのと同様にむやみに絞り込んでも売れにくくなるだけだから、そこはマサ佐藤氏が言うようにMDの分析精度を上げるほかない。

 

単純な話をすれば、商品アイテム数を増やせば、売れ筋商品はすぐになくなり、売れ残り商品が店に多く残り、店頭の見え方も、顧客から見ればどうなるのか?ということは、容易に想像がつく筈です。
(多くの店が、アウターの売上構成比以上の売り場の品揃え構成比に見える!のは、このことが要因?)

 

実際、アウター依存の売上構成を変える!という割には、この業界の多くの組織が、MD予算設計の精度。そして、期中での運用・実践が未熟なのも事実です。

 

とのことである。

この辺りの精度向上はマサ佐藤氏のMD講座を聞きに行くことをお勧めしながら今回は終わる。

 

品番数・型数を増やしたがるのは服好きの宿病みたいなところがあるが、趣味とビジネスを切り分けて考えられるようになる必要があるということである。

 

マサ佐藤氏の著書をAmazonでどうぞ~

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