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南充浩 オフィシャルブログ

ワーキングユニフォーム業界に進出するスポーツブランド

2019年11月11日 トレンド 1

スポーツブランドのワーキングユニフォーム進出が止まらない。

もともと、ワーキングユニフォームとスポーツウェアには親和性が高い。とくに機能素材を使用するという一点において。

どちらも機能性素材ありきのジャンルである。

 

機能性が無くても良いのなら、普通のジーンズを穿いて運動競技や工事現場での作業を行うのかということになる。

運動するにも現場で作業するにも機能性は必須である。もちろん、昔は機能性素材なんてなかったから綿やウール素材の織りや編みを研究して機能性を持たせた。

例えば、ラコステのポロシャツである。綿100%だが鹿の子編みという生地で、伸縮性と吸水性を付与した。ルネ・ラコステはテニスプレーヤーで、テニス用としてポロシャツが開発されている。

しかし、現在、綿100%のポロシャツを着てプレイしているテニス選手はほとんどいないだろう。ポロシャツという形はしているが、いずれもポリエステルやナイロンなどの合成繊維を中心とした機能性素材が使用されている。

 

手始めに進出してきているのは安全靴である。

すでに、アシックス、プーマ、ミズノ、ディアドラなどのスポーツブランドが進出している。価格は通常の安全靴に比べて高い。だいたい2倍~3倍する。

通常の安全靴はだいたい2000~5000円くらいだが、これらスポーツブランドの安全靴は7000~18000円くらいしており、カジュアルスニーカーとそんなに価格が変わらない。ロットだけはちょっと安めで4000円くらいの商品がある。

このサイトに各ブランドが掲載されているから興味のある人はカタログ代わりにどうぞ。

https://wl-netshop.com/fs/workland/c/safety-shoes_brand

 

実際にホームセンターやワーキングショップに、自社ブランド「BMC」を卸しているブリッツワークスの青野睦社長は「スポーツブランドの安全靴は高いけど、売れています。高単価なのでワーキングショップの方も積極的に導入しています」という。

 

20代~40代くらいの作業員は、それなりにファッションの情報を持っている。いくら、作業現場だからといって、朝から晩までダサいと思う服を着て働きたくない。

ファッションに興味のある人は、それなりに評価の高いスポーツブランドの安全靴を少々高くても買う。

 

決して愚弄するわけではないが、ジーベックや寅壱、自重堂、クロダルマ、ミドリ安全などのワーキングメーカーとアシックス、ミズノ、プーマ、ディアドラなどのスポーツブランドのどちらがブランドイメージが高いだろうか?どちらをオシャレだと感じるだろうか?

圧倒的に後者のスポーツブランドだろう。

「俺はプーマなんぞよりジーベックの方がカッコいいと思う」

という人は皆無ではないだろうが、かなり少数派になる。

 

各スポーツブランドにも好不調はあるし、イメージでブランド格差もある。例えば、ミズノはあまりオシャレ感はない。ディアドラもなんだか地味なイメージだ。

アシックスもオニツカタイガーは別としてなんだか競技イメージしかない。

内情は別としてファッションイメージが高いのはプーマだろうか。

 

とはいえ、ジーベックや自重堂よりはイメージが良い。

これを覆そうとしているのはワークマンだといえる。奮闘の甲斐あっていくらかイメージは好転していると感じるが、じゃあプーマと比べてどうかというと、プーマ、ナイキ、アディダスには圧倒的に及ばない。そこに並ぶくらいイメージを高めるにはまだまだ時間と努力が必要となる。

 

こう考えると、スポーツブランドのワーキング業界進出はさらに増えそうな気がする。それもこれもいわゆる「ブランドイメージの高さ」が背景にある。

何度もいうようにブランド間に格差はあるが、それでもワーキングメーカーよりはイメージは高い。

 

逆にいうと、ブランドイメージが高ければ、異業種に進出しやすい。注意してもらいたいのが「進出しやすい」であって必ずしも進出に成功するとは限らない点である。

しかし、成功できる可能性は低くはない。

 

結局はブランドイメージを高めることがいかに重要かということを改めて考えさせられる。

別にルイ・ヴィトンやプラダみたいな高イメージである必要はないが、ナイキやアディダスくらいのイメージの高さはとてつもない武器になる。

それこそ、河合拓さんがいう「イメージ価値」である。

当方もそうだが、高イメージにカネを払うのが苦手な人は多い。ましてや自分自身や自社、自ブランドのイメージ価値を高めることが苦手な人はもっと多い。もちろん当方もその中の一人である。

 

ちょっと依頼を受けて、その昔の「ユニクロ被り」についての原稿を書いていたが、よく考えてみると、アディダスのサイドライン入りパンツなんて被りまくっているわけだし、95年頃のナイキエアマックス95なんて被りまくっていたわけだが、誰も「被り」なんて気にしていない。

ということは、ブランドイメージが高い(ブランドの内情は別として)と、被りは気にならないということである。

これまで「イメージ価値」が低かったワーキングユニフォーム業界は、スポーツブランドやその他の高イメージブランドの進出に対抗できるのだろうか。

既存のワーキングユニフォーム企業はかなり難しい舵取りを迫られそうである。

 

 

 

ディアドラの安全靴をどうぞ~

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2019/11/13(水) 9:00 AM

    まさにアシックスの安全靴履いてるわたくし(金属加工業40代後半)ですが、ブランドイメージはあるものの機能性を期待してアシックスの安全靴買いました。見た目はアシックスとはいえダサい感じのもあって、私が買ったのは見た目はアシックスに見えないものですw

    ワーキングユニフォームでも、ブランド価値を別にして、安いものより高くても機能性、耐久性が良ければ需要があるんじゃないかとも思います。

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