MENU

南充浩 オフィシャルブログ

客数の大幅減少と客単価の大幅上昇が続くライトオン

2019年11月7日 企業研究 0

ライトオンの10月速報が発表された。

9月に続いて大幅客数減が目立った。10月は消費増税が始まったので、その反動という面はあるだろうが、9月の大幅客数減は危機的だといえる。

10月も各社の速報が発表されているが、前年までの業績推移を無視して、単年度の比較だけでいえば、ライトオンの苦戦が一層目立つ。

例えば、昨年まで苦戦していたアダストリアだが、今10月度は全店売上高5・3%減、既存店売上高5・2%減と比較的健闘している。客数も全店6・1%減、既存店7・3%と好調ではないが、まあ、想定内だろうと思う。

ユニクロは全店売上高2・6%減、客数5・0%増、客単価7・3%減。既存店売上高は1・9%減、客数5・6%増、客単価7・1%減だった。

ユニクロの場合は客数増しているのがすごいと思うが、客単価の減少は想像していたよりも大きく、おそらくは値引きセールが増えた、ないしは、値引き額が大きかったのだろうと推測でき、意外に売れ残り在庫が増えていたのではないかと思う。

 

ライトオンの10月月次は、全社売上高21・5%減、客数38・8%減、客単価27・9%増。既存店売上高17・3%減、客数33・0%減、客単価23・5%増だった。

 

企業規模や前年までの推移を無視していえば、ライトオンはユニクロ、アダストリアと比較して圧倒的に苦戦しているといえる。

 

毎回書いていることだが、ライトオンの問題点は2つ。

1、客数が大幅減少

2、客単価が大幅アップ

である。

5%とか10%くらいの増減なら普通にある話だが、20%~30%の増減というのはただ事ではない。

 

客単価の大幅アップは喜ばしい部分はあるが、20何%増というのは、ちょっと上がりすぎで、これはおそらくは高単価品が増えたというよりはセールを抑制しているのではないかと考えられる。

セールを抑制した結果、今までの客層が大幅に離れてしまったのが、9月・10月の2か月連続での客数30%減につながっているのではないだろうか。

 

経営陣が意図的に客層を入れ替えるために高価格化政策をとっているなら、狙い通りであり、今は産みの苦しみともいえるが、意図的でなくて自然発生的になってしまっているのであれば、かなり危うい状況にあるといわねばならない。

どちらなのかは経営陣にインタビューしたわけではないから、現時点ではわからない。

セールの抑制は、個人的には前期の大赤字を挽回するために行っているようにしか見えないのだが。

 

今秋、久しぶりにライトオンの店頭を覗いてみた。

これはあくまでも当方の感想なので、参考にしていただいても構わないし、無視してもらっても構わない。

 

ライトオンに限らず、ジーンズメイトやマックハウスも同様なのだが、仕入れブランドと自社PBのバランス設定にこれまで苦慮し続けてきた。

もともと、ジーンズカジュアルチェーン店は仕入れブランド品ばかりだった。リーバイス、エドウイン、ビッグジョン、ボブソン、ラングラーなどなどだ。

もちろん、トップス、アウター類も仕入れブランド品だけで構成されていた。コンバース、ファーストダウン、ペンフィールド、クイックシルバーなどなど。

 

これはアメリカのGAPも同様で、企業規模が大きくなり、GAPはSPAに転換した。では日本のジーンズカジュアルチェーン店はどうするのか?というのが90年代後半からの課題だった。

 

ユニクロブームが起きる前から、国内アパレルでもSPA化が進んでいた。DCブランドの流れを汲むコムサ・デ・モードなんかはほとんどSPA化していたし、ワールドもオゾックなどでSPA化に血道をあげていた。

ライトオンはバックナンバーというPBを開発して、当初はSPA化を推進していた。調子が悪くなると仕入れブランド強化を掲げ、またほとぼりが冷めたころにSPA強化に取り組むということを繰り返していた。

 

今秋の店頭を見た限りでいえば、極端に仕入れブランド強化なっていると感じる。

PB比率は店頭で見る限りかなり下げられている。トップスでいうと、フィラとチャンピオンが双璧だが、それ以外にもニューバランスやラッセルなどのスポーツブランドが並んでいる。PBはほとんど見えない。

ある意味で原点回帰した売り場づくりだといえるが、効果は出るのだろうか?

 

個人的にはちょっとブランドが多すぎて選びにくいと感じてしまう。

もちろん、ブランドがたくさんあって選ぶ楽しみが増えたという客もいるだろう。しかし、10月もこれほどの不振だし、11月も続くようであれば、既存の客には支持されていないといえる。

今夏の売り場もブランドTシャツが多すぎて、正直なところ、多すぎて選びにくいと感じた。

選択肢はある程度増やす必要があるが、多ければ多いほど良いということにならず、多すぎて選びにくいという状態に陥る。これを「ジャムの法則」というが、今のライトオンの売り場は「ブランドが多すぎて選びにくい」状態に陥っているように見えてしまう。

 

例えば、無地トレーナーや無地ボタンダウンシャツなどはPB、味付けはブランド品、その比率は半々とか、PB6割・ブランド4割くらいにすれば、ブランド数も絞られ選びやすい売り場になるのではないかと思う。もちろん、その際にはPB商品の出来栄えを向上させる必要もある。

当方は基本的な考え方を提示できるのみだが、どうだろうか?

数値などのより専門的な内容はマサ佐藤氏を起用してもらいたいが。

 

当方は今の仕入れブランド型でもSPA型でも売れればどっちでもいいと思っている。どちらを選ぶにせよ、重要なことは経営陣が確固とした完成型のビジョンの持っているかどうかである。単に目先の業績に右往左往してSPA化と仕入れ型を行ったり来たりすることが最も悪い。それはスタッフを疲弊だけだし、会社の資産をもただ減らすだけに終わってしまう。

経営陣は中長期的にはどのようなビジョンや展望を持っているのだろうか?

 

 

ラッセルアスレチックスのトレーナーをどうぞ~

この記事をSNSでシェア

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ