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南充浩 オフィシャルブログ

品質の高さだけを追求し続けてもラグジュアリーブランドは作れない

2019年11月5日 考察 0

粗悪品なのに価格設定が高い商品は論外である。

しかし、高価格品は必ず高品質なのかというと、衣料品の場合は必ずしも当てはまらない。

「高価格品=高品質」という、この考え方をしている限りにおいて、恐らく日本からはラグジュアリーブランドは生まれないだろうと思う。

 

日本には、異様に製造原価率の高さを誇りたがるブランドがある。正確に言うなら、多分、製造原価率のことだろうと推測される。なぜなら、そのブランドは「原価率」としか言っていないからだ。

製造原価率なのか仕入れ原価率なのかははっきり言えば不明である。

しかし、品質の高さを誇りたいという文面から考えれば製造原価率のことを指しているのだろうと考えられる。仮に仕入れ原価率のことだった場合は、自らの間抜けさを晒していることになる。

 

高い材料を使っているから、原価率(多分、製造原価率のこと)が高くなった。だからうちの商品は品質が高い

 

とこういう説明がしたいのだろうと思う。

 

仕入れ原価率が高いことを誇っているとしたら大間抜けで、それは

 

仕入れ先から、わざわざ高い仕入れ値で商品を仕入れています

 

言っていることに等しいからである。

 

企業は、安く仕入れて高く売りたい。

にもかかわらず「わざわざ高く仕入れています」というのは間抜け以外の何物でもない。

 

製造費が高ければ高いほど高品質だと思われがちだが、実はそうでもない。数量をたくさん発注したり、製造先を整理すれば製造費は値下げすることが可能である。

逆に非効率な物作りをすればするほど簡単に製造原価は上昇するから、製造原価が高いということは、非効率極まりない物作りをしている可能性もあるということになる。

 

とまあ、原価率の高さに関する話はこの辺で置いておいて、仮に看板通りに製造原価の高さが品質に直結したとしてもそれはラグジュアリーブランドとしての不可欠な条件ではない。

それは恐らくは、かつての鎌倉シャツや今のユニクロ、などの高品質な割に高コスパなブランドになってしまう可能性が高い。

そして、そういうモノづくりは多分、日本人の気質には合っている。

 

世界に冠たるラグジュアリーブランドの商品は、粗悪品では絶対にないが、かといって、日本人が想像するような高品質ではない。

特に使用素材で言えば、商品によっても異なる部分はあるが、多くの場合はそれほど高品質素材でもないし、希少性の高い素材でもない。

 

例えば、有名な話だが、ルイヴィトンのあの茶色いモノグラムのアイテムの素材は、塩化ビニール、通称塩ビである。塩ビといえば低価格素材である。決して本革でもないし、ナンタラなめしをやってナンタラ加工を施した高品質革でもない。単なる塩ビである。

だが、そんな塩ビのバッグに人は何十万円ものお金を支払う。

 

少し以前に一世を風靡したプラダのバッグはどうだ。塩ビですらなくナイロンである。ナイロンと言っても価格はンキリだが、ピンでもキリでもさほどに高い素材ではない。

にもかかわらず、あれを買うために人は何万円もの金を支払う。

 

また某欧州ラグジュアリーブランドのジーンズは5万円とか10万円とかの価格が付いているが、使用されているデニム生地は、国内のデニム生地工場が生産している1メートル700円前後の定番デニム生地だという。

どこぞのビンテージブランドのように、凝りに凝ったデニム生地ではない。普通に流している定番デニム生地である。しかし、それを使ったジーンズが何万円もの価格で購入されている。

 

となると、ラグジュアリーブランドの多くは、使用されている素材や縫製仕様の品質の高さが評価されてあの価格で買われているのではないということになる。

 

当方は、腕時計にさっぱり興味がない。今使用している3500円のカシオの太陽電池腕時計が最高だと思っている。頑丈だし、太陽光発電なので電池交換も不要だ。しかも安い。デジタル表示も気に入っている。

しかし、世の中にはアホみたいに高い時計がたくさんある。そういう高い時計はクオーツではなく機械式だ。ネジを巻いたりしなくてはならなくてめんどくさいことこの上ない。

なのに何十万円もの価格が付いているし、金持ちの多くはそれを喜んで買っている。性能においては圧倒的にカシオの太陽電池腕時計の方が上なのに。

 

多くの人が何万円~何十万円もの金を払っているのは、商品のスペックでもなく、品質の高さでもないということがわかるだろう。

 

では何に対して高い金を支払っているのか?

これは河合拓さんが著書の「ブランドで競争する技術」で書いているところの「イメージ価値」ということになる。人々は「イメージ」に高いお金を払っているといえる。

一方で、ブランド側はイメージを高めるために、毎年莫大な費用を投入している。

 

・スーパーモデルと契約する

・大きなイベントを開催する

・芸能人を起用する

・一等地に出店する

・店の外観や内装に金をかけて高級感を演出する

 

などなどだ。

 

これらのことはすべて、ブランドイメージを高めるためにやっているといえる。

その高められたイメージに対して人々は金を払っている。

 

そこがわからなければ、日本からラグジュアリーブランドを作ることは不可能だろう。

 

とはいえ、当方はその世界にはまったく興味はない。だから、いくら金持ちになっても買わないだろうし、仕事に参画したいとも思わない。そこの部分を組み立てるのが上手い人たちに頑張ってもらいたいと思う。

 

 

河合拓さんの著書をどうぞ~

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