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南充浩 オフィシャルブログ

苦しむジーンズ専業メーカー

2013年1月30日 未分類 0

 先日、リーバイ・ストラウス・ジャパンの2012年11月期連結決算が発表された。

売上高は96億1300万円(前期比4・6%増)
営業利益は2億9400万円
経常利益は3億4400万円
当期損失は12億8000万円

だった。

当初予想では売上高は97億円としていたので、やや下方修正ではあるが、前年より増収となった。
営業利益と経常利益は黒字復活したが、依然として当期損失は残ったままである。

当期損失の理由として、

最終損益につきましては、第3四半期に特別損失項目として、将来の物流業務の効率化及び物流コストの削減を目的として現在の平塚配送センターから外部倉庫への移転を決定し、有形固定資産につき減損損失を15億62百万円計上したため、税金等調整前当期純損失、当期純損失はそれぞれ、12億47百万円(前期は、15億44百万円であったため2億96百万円の改善)、12億80百万円(前期は、16億9百万円であったため3億29百万円の改善)となりました。

としている。

2013年11月期連結を

売上高98億円
営業損失6億9000万円
経常損失6億6000万円
当期損失7億2000万円

と見通しており、増収ではあるもののなかなか厳しい数字を打ち出している。

赤字になる理由として

本年度まで免除されていた親会社へ支払うべきロイヤリティが解除となること及び不透明な為替の仕入コストへの影響を勘案して営業損益及び経常損益は、690百万円の営業損失、660百万円の経常損失となり、当期純損失は720百万円程度を見込んでいます。

と挙げている。

国内大手ジーンズ専業メーカーの2強としてエドウインとリーバイスが残っていたが、エドウインは現在、再建問題に揺れている。残ったリーバイスも売上規模はなんとか維持しているものの、赤字決算が続いており、こちらも厳しい状況といえる。

専業メーカーがSPAを志向して、規模を拡大した例は業界にいくらかある。
東京シャツのシャツ工房はその好例だろう。メーカーではないが、タビオの「靴下屋」も専業ショップとして参考になるだろう。最近だと、鎌倉シャツに注目が集まっている。

こうした例を見ると、ジーンズもSPA化すれば良いのではないかと思うが、そうは簡単にいかない部分もある。
靴下は消耗品なので、定期的な買い替えが必要である。また、小さいなアイテムなのでたくさん買い込んでも収納スペースに困らない。
ワイシャツも消耗品という側面はあるし、ビジネスマンとしては、洗い替えを考慮に入れて常に数枚以上を着まわす。そういう意味ではワイシャツもある程度の数量を持つことが必要となる。毎日着たきりすずめではビジネスシーンで悪い印象を与えてしまう。

一方、ジーンズだが、こちらは毎日穿き替える必要はない。
少々汚れても大目に見られる。
消耗品という側面が薄い。破れても裾が擦り切れてもOKである。
こうなると定期的な買い替え、買い足しはなかなか望めない。とくにジーンズが非トレンド化してしまえば、定期的に購入する理由はなくなる。

そうなると単純なSPA化というのはなかなか難しい。

ジーンズ専業メーカーによるSPAがなかなか大規模に育たないのは、そういう背景もあるのではないか。
SPA化を進めるには、一層の知恵が必要となる。

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