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南充浩 オフィシャルブログ

ベルーナの実店舗出店がめっちゃ増えている件

2019年4月11日 トレンド 0

ちょっと面白い記事を見かけた。

SC出退店/ファッション出店3位GU、インテリア出店2位ニトリ・デコホーム


 
面白いと思う点は2つある。
1、ランキング順位が興味深い
2、見出しが恣意的で笑える
この2点である。
 
見出しにある「ファッション」と「インテリア・家電」を見てみよう。
 
まず、「ファッション」のSC(ショッピングセンター)出店数だが
1位は西松屋とベルーナ
3位がベビードール、ジーユー、ハニーズ、フィールドドリーム、アメリカンホリックである。
2018年10月~12月の3カ月間の出店数なので4店~8店くらいである。
 
「インテリア・家電」のSC出店数では
1位はヨギボー
2位ドクターエア
3位がニトリ・デコホームとルーム&ルーム
4位がエディオンとじぶんまくら
となっている。
こちらも同様なので出店数は2店~7店である。
 
ファッションもインテリアもどちらもメディアがあまり注目していない企業が1位となっている点が興味深い。
ファッションの1位は西松屋とベルーナ、インテリアの1位はヨギボーである。
ヨギボーはどちらかというと新しい会社で、このところ成長軌道に入っている。当方の知り合いが一人、昨年この会社にもぐりこんだが、非常に良い選択をしたと思う。
ファッションの西松屋はその規模の割にはメディアに注目されることが少ないが、当方が注目したのはベルーナである。
ベルーナはご存知の通り大手カタログ通販会社だが、このところ、実店舗出店戦略を強化しており、それが表れた出店数だといえる。
 
そして、この記事は非常に意義のある記事だが、見出しが恣意的過ぎて笑える。
なぜなら、ファッションもインテリアも1位企業はガン無視で、2位や3位の知名度の高いブランド名、メディアウケするブランド名を使っている。ここにメディアの視野の狭さを感じる。
「3位ジーユー」なんて報道したら、普通の読者は「じゃあ1位と2位はどこ?」と疑問に感じるのではないかと思う。
「2位ニトリ・デコホーム」も同様だ。「じゃあ1位はどこやねん?」ということになる。
ミスリードとメディア不信を誘いかねない見出しだと思う。
 
さて、大手カタログ通販というと、惨憺たる業績の企業が多い。
ニッセンしかり千趣会しかりである。一時期は時代の寵児だったフェリシモも完全に凋落基調である。
スクロールが回復した以外でいうと、堅調を維持しているのはこのベルーナくらいしかない。
 
ベルーナの2019年3月期第三四半期連結は
売上高1335億5500万円 (対前期比9・5%増)
営業利益84億6000万円 (同9・5%減)
経常利益113億800万円 (同1・9%減)
当期利益71億7700万円 (同13・7%減)
となっている。
 
売上高が増えているのは、この第三四半期から「さが美」が連結対象に入ったためで、これを除くと微減収になるのではないかと推測される。
とはいえ、規模を維持できているのは、ニッセンや千趣会の苦闘を見ているとかなり評価されるべきではないかと思う。
 
実はこの記事を見て初めて知ったのだが、ベルーナの実店舗が激増している。
公式サイトで数えるとすでに75店舗ほどまで増えている。さらに、別ブランドでの出店も行われており、「ラナン」ブランドの初店舗が3月1日に銀座インス内に出店されている。
https://www.belluna.co.jp/news/newsrelease/2019/20190228.html
 
大手カタログ通販の近年の苦戦傾向については「ネット通販への切り替えが遅れた」という説が定説になりつつあるが果たしてそうだろうか。
千趣会の苦戦の原因の一つは某有名コンサルの提言による「ネット通販への一斉切り替え」だったと関係者からは聞いている。ネットを使えない年配層会員がその時点でごっそりと千趣会から脱落したといわれている。
 
一方、実店舗アパレルに対しては「ネット通販比率を高めることが勝ちパターン」という提言を有象無象のコンサルタントが主張しているが、これもベルーナの業績を見る限り的外れだといえる。
ベルーナはもともと通販会社なので実店舗はゼロだったが、近年は逆に75店舗以上にまで店舗数を増やしている。実店舗比率を高めながら業績を維持しており、「ネット通販比率を高めれば優良企業」という主張は完全に当てはまらない。
 
75店舗以上にまで増やしてしまって大丈夫なのかとちょっと個人的には心配になるが、いわゆる「オムニチャネル戦略」の原点に立ち返ってみれば、ベルーナの実店舗出店戦略というのは理に適っている。
カタログにしろネットにしろ、通販という業態は実物を見られないままに購入することになる。これがガンダムのプラモデルや生活雑貨なら画像だけで買っても差し支えが少ないが、サイズ感やシルエット、素材の風合いなどが気になる洋服に関しては商品を実際に触れないということはデメリットになりやすい。
本来の「オムニチャネル」は通販でも実店舗でもどちらでも買えるというのが正しい姿である。
それがなぜか「オムニチャネル」が「ネット通販」とほぼ同様に見なされているのが現在の風潮であり、これは限りなくおかしいことである。
 
実際の商品が触れない・試着できないというデメリットを克服するのが実店舗であり、ベルーナが実店舗出店を行うことは実に正しいやり方だといえる。
例えば、同じく通販出身のドゥクラッセも実店舗出店を増やしているし、イシキタカイ系が持ち上げる米国のエバーレーンだって試着専用に実店舗を所有している。
通販の強いブランドほど、実店舗も重視しているといえる。
 
EC系のコンサルやメディア関係者はベルーナをもっとクローズアップした方がよいのではないかと思う。
 
しかし、ベルーナも商品の生産については疑問を覚える。なぜなら、在庫処分屋に毎シーズン大量に在庫品が出回るからだ。もしかして生産数量や追加補充数量が多すぎるのではないか。このため、相当なロスが生じていると考えられる。ここの精度をもっと高める必要があるだろう。実店舗を増やせば増やすほど管理がザルなら不良在庫も増え続けることになる。過剰に作りすぎないためにはMDの精度をもっと高めなくてはならない。そうでなければ、何年か後に不良在庫の山を抱えて凋落することになる。
 
 
 
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