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南充浩 オフィシャルブログ

高額アパレル品は「趣味の商品」だと思った話

2019年3月19日 考察 0

先日、某コンサルタント氏と話をしたが、その中で、「高額アパレル製品は趣味の品」という言葉が出てきた。
これはその通りではないかと思う。
ベーシックでそこそこの品質のアパレル製品だったら、ユニクロ、無印良品である程度そろう。スーツ類だと青山とAOKIだろう。
にもかかわらず、世の中には何万円のスーツとか、3万円のカジュアルブルゾンとかが存在しており、それをセレクトショップや百貨店向けブランドなどが扱っている。
バブル期は低価格品の見た目がクソダサかったから、セレクトショップ(当時は専門店・ブティックと呼ばれていた)や百貨店向けブランドなどが売れた。バブル期の青山・AOKIのスーツはクソダサかった。
これはスーツ、カジュアル限らずにである。
 
可処分所得がとか賃金水準がとか、そういう話を抜きにしても、マシな服を買おうと思ったら、いわゆるブランド物しか選択肢がなかった。
だから、わざわざ高い服を買っていた人が多かった。
生来がケチな当方だって、バーゲンで値引きされて6万円になったスーツを買っていたほどである。
 
先日、どなただったか忘れたが、同年代の業界の人と雑談をした。
その中で、25年くらい前にMA-1型のブルゾンが大ブームになったころが話題となった。
多くの人は、アルファインダストリーのMA-1を着ていた。多分、当時は9800円くらいだったと記憶している。当方はその頃、まだジャスコで買った1900円くらいの服で身を固めていたから、9800円のブルゾンを買うのは非常にハードルが高かった。
似たような商品を探してみたが、3900円くらいで売られている謎ブランドのMA-1はやっぱり、形、生地の風合い、色合い、シルエット、すべてにおいてアルファインダストリーの商品に比べて見劣りする。
さすがの当方もそれを買う気にはならなかった。
定番のオリーブグリーンが欲しかったのだが、結局は諦めたのだが、その後、近所のイズミヤで奇跡的に5900円に値下がりしているアルファインダストリーのMA-1を見つけた。残念ながら色はシルバーグレイである。ちょっと迷ったが、当時としては破格の値下げだったので、結局はそれを買った。
で、当時は、ジャスコやイズミヤで3900円くらいで売られていたMA-1はあからさまに偽物感が漂っていたので、アルファインダストリーを着ているような人からは馬鹿にされていたという思い出話となった。
 
しかし、今はどうだろうか。ユニクロの3990円のMA-1もそれほど見栄えが悪くない。あんまり知られていないが他の低価格ブランドや低価格通販からも3900円内外のMA-1が発売されているが、それほど見た目は悪くない。バブル期のジャスコの平場商品よりは格段に見た目がマシになっている。
だとすると、アルファインダストリーのMA-1ではなく、そちらのMA-1でも構わないと考える人が増えるのは当然だろう。
 
その一方で、軍の払い下げ品や、アルファインダストリーやアヴィレックスといったブランド品に固執する人も確実に存在する。
だからそれを指して、「趣味の世界」と呼ぶことは何の違和感もない。
まさに陶磁器とかキャンプ用品とかと同様の趣味の世界でしかない。
 
当方からすると、ナンタラ窯で焼かれた何万円の茶碗なんて別になんの興味もないし、欲しいとも思わない。自宅では一人で食べることが多いから、別に100円の茶碗でも構わないし、今後、どれだけ金持ちになっても何万円のナンタラ窯の茶碗は買わない。
しかし、そういう陶磁器が好きな人もいて何万円の茶碗を買う。
これが趣味の世界で、アパレル製品も同様ではないかと感じる。
アパレル製品の場合は陶磁器よりも愛好者が数多くいるが、インポート品だとかこだわりブランド品だとかそういうものは趣味の世界だといえる。
 
当方は趣味でガンダムのプラモデルを買っている。
まあ、もう家族も父親以外いなくなったし、まったくの休みの日は家族サービスする必要もなくなった。もちろん、原稿を書いたり連絡のメールを送ったりするが、それ以外は自由なわけで、そんなときにガンダムのプラモデルを組み立てている。せいぜい、少しやすりをかけるくらいのパチ組みである。
しかし、最近のガンダムのプラモデルはよく出来ていて、色分けがほぼ完璧だから塗装はほとんど必要ないし、各部分の関節が非常によく動く。
しかも、144分の1スケールのハイグレードモデルならだいたい1個1000~1500円と安い。
毎日組み立てると3万円という莫大な出費になるが、せいぜい月に1個か2個しか組み立てられないから、毎月2000円くらいしか使わない。
この安さでこの出来という感じだが、世の中の趣味人はこれでは満足しない人がいて、バンダイの正規品ではないこだわりメーカーの、何万円もする商品をわざわざ買ったりする。
たしかに、そのこだわり品を画像で見ると、バンダイのハイグレードモデルよりも数段出来栄えは良い。好きな人なら何万円払っても惜しくはないのだろうと思う。当方は要らないが。
洋服もこの構造と同じなのではないかと思う。
黒の無地の丸首セーターならユニクロの1990円で十分だという人は多いが、それでは満足しない人が一定数いる。彼らは黒の無地の丸首セーターを何万円も払って買う。
それは、何万円もするバンダイではないメーカーのガンダムのキットを買う人と、当方からは同じに見える。
 
そう考えると、ユニクロや無印良品を除いた「その他大勢のアパレルブランド」はどのように商品を売るべきかが見えてくるのではないかと思う。
趣味の商品だと割り切って、そこの趣味人に向けて高値で売るための方法を考えるべきだろう。
ブランドのステイタス化もありだろうし、原材料や製法へのこだわりを伝えることもそうだろう。また、工場見学会やファンミーティングを開催するのも一つの方法だろう。
 
問題は、そこそこに高額な趣味品をマスに売ろうとするから売れないわけで、ある程度のマス層にまでそれが売れていたバブル期の栄華を追い求めてしまうところにあるといえる。
そんなことを、ガンプラを組み立てながらツラツラと考えた。
 
 
 
最近買ってすごく出来栄えがよかったガンプラ、ダブルオースカイをどうぞ~

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