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南充浩 オフィシャルブログ

組織に有力なナンバー2は必要か?不要か?

2019年2月25日 企業研究 1

今日はオチのない話を。
いつもオチなんてないじゃないかと言われるかもしれないが、それは置いておいて。
先日、某新興企業のナンバー2がトップに反旗を翻して、退職してその企業と類似の業種を始めたと聞いた。組織作りとは難しいものだと改めて感じた。
強力なトップの独裁体制の方が、物事が迅速に進むのは、企業のみならず国も同じである。しかし、人間は必ず死ぬからそのときに備えて後継者を養成する必要がある。
有力なナンバー2が存在すると、後継者問題は解決しやすいものの、この新興企業のように造反されてしまう可能性もある。
有能な人物はそれなりに野心もある場合が多いからだが、それを恐れてトップだけの体制を続けていると、企業は上手く回らなくなる。
ベンチャーとして小規模でやっている間は個人商店でも構わないが、売上高とともに業務内容が増えてくると、一人では手が回らなくなる。
 
先日、別の新興企業の社長から「〇〇という商材を探して欲しい」と当方に依頼があったが、そんなものはググってから知り合いに問い合わせたらなんとでもなるのではないかと思ったし、何人かすでに抱えている社員にでも調べさせたらどうかと思ったが、その会社はトップの強烈なリーダーシップによって成り立っているため、社員が自主的には動かない・動けないようだった。
またさらに別の新興企業の社長は、すでに正社員で若い部下を数名抱えるようになっているが、若い部下は堅実ではあるが、自主的に動き回るタイプではないことにトップは危惧を抱いているようだった。
しかし、外野から見れば、両社のトップが強烈な個性を持っているため、どうしても部下はその補完的な性格を持つ者を選んでしまうのではないかと思う。
 
逆に強烈な個性を持つ者を部下としては採用しないのではないかと思うし、そういう部下を抱えてしまったら、恐らく組織内でトップと対立するのではないかとも思う。
まあ、人間は集団生活をする動物ではあるが、集団生活とはとかく難しくてめんどくさいものだと感じる。
 
しかし、造反やら対立を恐れて後継者たるナンバー2、ナンバー3を育てていないとどうなるかというと、トップが退職するなり死去するなり、重病で離脱するなりすると、会社を廃業か売却しなくてはならなくなる。
いささか、古い話だが、2009年に伊藤忠商事がジャヴァを子会社化した際、ジャヴァの創業者の故・細川数夫の後継者問題があった。
どこの記事で読んだのか失念してしまったが「後継者が見つからない」というような意味の発言をしておられた記憶がある。
 
当方も10年くらい前までは記者時代から数えると10年間に渡って、ジャヴァにお邪魔することがあったが、当方の知る限りでは、有力なナンバー2・ナンバー3は存在しなかった。
有能な創業者だったから、その必要はなかったのだろうと思うが、それでも当方としては人間の寿命は無限ではないから、後継者をどうするのだろう?と少し疑問に思っていた。
実際に発表があった当時、アパレル業界の多くの人は「ナンバー2も後継者も作ってこなかったからなあ」という感想を漏らしていたことを今でも覚えている。
ちなみに当時の伊藤忠商事のリリースはこちら。
https://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2009/091130.html
 
そのジャヴァも伊藤忠商事からさらに投資会社のエンデバーユナイテッドへ売却されて今に至っている。
 
繊維・衣料品業界は小規模零細企業が多い。独立して1人でやっているとか2~3人でやっているとかそういう企業が数多くあり、むしろ、それらが業界を下支えしているような部分もある。
しかし、その手の企業が飛躍的に売り上げ規模や取引先を拡大することは本当に難しいし、その中で急成長しはじめた企業は必ずリソースが不足してしまい、新たに雇用することになる。外注で乗り切るという手もあるが、外注は所詮外注にすぎず、契約が終わるときが必ず訪れる。
それらを考えてみると、やっぱり強力なナンバー2は必要なのではないかと思う。
 
過去20年くらい、いろいろな新興企業を取材したが、トップが強烈な独裁をする会社はどこかで行き詰まることが多かった。ジャヴァのような売却・買収に至る会社は珍しいと言わねばならない。一方、有能で野心的なナンバー2が社長に反旗を翻して独立した場合、これまた独立先を越えるほどの規模に成長した企業も少ない。
ナンバー2はやはりナンバー2に向いた性格・性質なのではないかと思う。
 
冒頭に書いたように今回はなんのオチもない。ただ、人は集まらねば生活できないが、人が集まって生活することは難しいなあと思わざるを得ない。企業や国はもとより、たった一人の他人と暮らす結婚生活でさえ難しい。バツイチになった当方はそう感じる。
それにしても、反旗を翻されて同業他社を設立されてしまった某新興企業はけっこうな窮地に陥っていると感じてしまう。これをどうにか乗り切れるのだろうか。そのあたりは他人事ながら心配ではある。
 

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 comment
  • ひよこ より: 2021/06/17(木) 9:29 AM

    最初から最後まで頷き倒しながら読ませて頂きました。わかりやすい事例紹介をありがとうございました。
    今後も勉強させて頂きます。ブログ、楽しみにしてます。

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