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南充浩 オフィシャルブログ

メンズジョーカーの大幅な部数減少に驚いてしまった話

2019年2月21日 メディア 0

メンズファッション雑誌の「メンズジョーカー」が2月9日発行号で休刊となった。

 
 
雑誌の休刊というのは実質廃刊であり、休刊から復活した雑誌というのはほとんど見かけない。
創刊は2004年4月なので、15年弱発行していたことになる。
休刊の理由は部数の減少だそうだが、儲かっているなら発行を続けている。恐らくは部数の減少による採算の悪化だと考えるのが常識といえる。
休刊のお知らせは1月に出されたのだが、その際「部数の減少」という部分にはちょっとひっかかった。なぜなら、数年前まではメンズファッション雑誌の中でもメンズジョーカーは発行部数はトップクラスだったからだ。
長らく、雑誌の発行部数を見ていなかったが、久しぶりに調べてみる気になった。
雑誌の印刷部数の概略を調べるならこのサイトである。
https://www.j-magazine.or.jp/
一般社団法人 日本雑誌協会のサイトである。
加盟している雑誌の印刷部数を3か月ごとの平均値で発表している。毎月の印刷部数を事細かに出しているわけではないが、一応の参考にはなる。
これでメンズジョーカーの最新の印刷部数を調べてみる。
 
2018年7月~9月が最新の期間で、10月~12月は2019年2月21日時点ではまだ更新されていない。
2018年7月~9月のメンズジョーカーの印刷部数は6万9003部である。毎月だいたい6万9000部が印刷されていたということである。
洋服でも食品でも同じで、作った数よりも売れた数の方がよほどの大ヒット商品でない限りは少ない。雑誌も同じで印刷した数よりも売れた数の方が基本的には少ない。
とすると、メンズジョーカーの売れた部数はこの6万9000部よりも少なくなる。
この数字を見たときに、当方は驚いた。なぜなら、数年前まではメンズジョーカーの印刷部数は15万部を越えていたからだ。
はっきり言って激減と言ってよい。ピーク時の半分以下にまで減っている。
では、いつからメンズジョーカーの大減部が始まったのか。またサイトで調べてみる。
 
2017年10月~12月にさかのぼってみると、印刷部数は10万7860部である。まだ10万部を維持しているが、ピーク時からするとすでに陰りが見えている。
ちなみに2014年10月~12月の印刷部数は12万5750部である。そして2015年10月~12月は10万9830部であり、10万部になったのは2015年になってからであり、2017年末までは10万部を維持してきたということがわかる。
2018年1月~3月もまだ10万6563部ある。
ところが2018年4月~6月では8万6857部にまで減ってしまう。ここでついに10万部の大台を割り込んだ。
2018年10月~12月はまだ発表されていないが、恐らくは6万9000部を下回っているのではないかと考えられる。
そこで回復傾向が見いだせれば廃刊を決断していないだろう。
2011年10月~12月には15万3334部もある。
8年かけて半分以下にまで部数が減少したことになる。
ついでにいうと、近年のメンズジョーカーは薄かった。内容ではなく、本のページ数がすくなかったからだ。理由は簡単で、恐らくは広告出稿が減ったのだろう。
部数が減少する→ 読者からの反響が減る→ 広告出稿が減る 
という悪循環スパイラルに陥っていたと考えられ、その雑誌が儲かっているか儲かっていないかは、分厚さを見ればすぐにわかる。分厚い雑誌は内容はともかく広告出稿が多くて儲かっており、薄い雑誌は広告出稿が少なくて儲かっていない。
メンズジョーカーは近年すごく本の厚さが薄くなっていた。
 
メンズファッション雑誌というジャンルでは後発ながらもつい最近まではトップクラスの印刷部数を誇っていた雑誌でさえ、8年後には廃刊に追い込まれるほど部数が減るのだから、ファッション雑誌の運営がいかに難しいかがわかる。
毎月10日発行のメンズファッション雑誌はめっきり種類が減った。今残っているのは、メンズノンノ、ファインボーイズ、ポパイ、スマートくらいだろうか。
24日発行のメンズファッション雑誌の種類は減ってはいないが、今後増えることはないと当方は考えている。
メンズファッションはジャンルというかテイストが限られているし、アイテムも限られている。となると、各ジャンルで3誌程度が生き残れるのが限度ではないかと思う。
 
それにしても、今でも何となく発売日には、書店に行って各メンズファッション雑誌をペラペラとめくってみる。面白いと感じる誌面があるなら1誌は買おうと思っているのだが、最近はまったく買わなくなった。
もちろん、編集部は知恵を絞って相違工夫をしているのだと思うが、当方がオッサンになりすぎてしまったためか、それとも過去に見た物が蓄積されてしまったためか、どの誌面を見ても、どのコーディネイトを見ても、面白いとは感じなくなってしまったし、新しい発見もなくなってしまった。
細部までじっくり読めば新しい発見はあるのかもしれないが、買うためにさーっと見ているのに、細部までじっくりその場で読むのでは本末転倒であるし、そんなに長時間立ち読みするのもどうかと思う。
昔は、当方も若かったこともあり、知識も蓄積されていなかったためか、店頭で雑誌をさーっとめくってみても、新鮮なコーディネイト写真があった。そのたびに雑誌を買って、自宅で何度も読み返したものだが、49歳目前のオッサンはメンズファッション雑誌にそんな驚きを感じなくなってしまった。
もちろん、感性の退化はあるだろう。いや、もしかすると感性の退化がほとんどの原因なのかもしれないが、それでも何となくだが、今のメンズファッション雑誌はどれも往年の輝きを失ってしまっているように見えてしまう。
「昔はよかった」なんてのは、クソジジイの寝言に過ぎないとはわかってはいるのだが。
 
久しぶりにNOTEの有料記事を更新しました~
「アパレルの簡単な潰し方」
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n479cc88c6
 
 
 
そんなメンズジョーカー最終号をどうぞ~

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