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南充浩 オフィシャルブログ

デザインもできないオッサンが初めて商品企画に協力した話

2019年2月18日 ネット通販 0

かねてから交流のあったブリッツワーククスのクラウドファンディングが2月15日から始まった。
拝啓 ビジネスマン 空気の力で『涼しい』を体感する【空冷式スーツ】はじめました!
 

 
今回の商品企画には当方も協力させてもらっていて、正式に商品企画に参加するのは初めてのことである。
しかし、当方は商品のデザイン画も描けないし、仕様書も書けない。
じゃあ、お前何に協力したの?ってことになるが、商品のコンセプト開発に協力させてもらった。
 
以前、と言っても昨年のちょうど今頃、ブリッツワークスからクラウドファンディングの商品の相談を受けた。
そのときに計画されていたのは、カジュアルイージーパンツだった。オリーブ、紺、ベージュの3色の展開の予定だったが、それなりにストレッチや速乾、防シワ性などの機能性はあるものの、飛びぬけてそれが高いわけではなかった。そこで、当方が 「防シワ性があるなら、シワになりにくくゴロ寝してもすぐに外出できるホームウェア」という切り口を提案したところ、ブリッツワークスの青野社長も非常に乗り気になり、それでいきましょうということになった。
本来なら5月くらいにクラウドファンディング開始の予定だったが、その後、3月になっても4月になっても進まない。ちょっと気になって連絡してみたところ、生産トラブルが起きて商品企画自体が流れてしまったとのことだった。
残念。
 
で、そこから1年弱が経過して、再び、相談を受けた。
実際にミーティングしたのはまだ暑い時期だったと覚えているが、昨年は10月末くらいまで汗ばむ陽気だったので何月のことだったかはちょっと定かではない。
すでに使用する生地は東レのDotAirだと決まっていた。
商品自体もオンオフ兼用できる夏向けセットアップスーツだということも決まっていた。
正直にいえば「ここまで決まっていたなら何を困っているのだろう?」とそのときは不思議に思った。
 
ブリッツワークスは、創業以来、ワーキングユニフォームとカジュアルを融合したワーカジを唱えてきた。そのワーカジがビジカジを展開して説得力があるのか?というのが青野社長の悩みだった。
これはなるほどである。
先日、ツイッター上で「日本でスーツの反対語が私服というのはおかしい。スーツを制服だととらえているから私服が対義語になる」という指摘があった。
これはたしかにそうで、本来はスーツも私服である。スーツの対義語は私服ではなく平服の方が適切だと思う。
しかし、当方は、ブリッツワークスがやるのなら、スーツを制服として考えればブランドコンセプトにブレないと思った。
実際、スーツを最高級のオシャレ着だと考えている日本人男性は少ない。職場にスーツを着ていくのは「そういう決まりだから」と従っている。今の社会規範がすべて崩壊して職場に何を着て行っても良いということになれば、わざわざあんな服を着たいと思う男性は相当少ないだろうと思う。
当方はスーツを見るのも好きだし、スーツという商品も好きだが、あまり着たいとは思わない。(笑)
だから、当方のタンスにはスーツが何着かかかっているが、実際は年に1回も着用しない。(何のために買った?)
多くのビジネスマンは「そういうものだから」ということでスーツを着ていると思う。当方も会社員時代はそうだった。
 
で、先ほどの指摘に戻ると、スーツを制服ととらえている人が大勢を占めているなら、じゃあ、ブリッツワークスが手掛けても軸はブレない。
そういう切り口で商品コンセプトの原案を作った。
何なら、「オフィスも作業現場だ」と言ってしまえばワーカジのコンセプトに当てはまる。
ちょっと強引かもしれないがそういう解釈で商品作りを進めようということになった。
お粗末だが、これが当方が協力した内容である。
 
しかし、スーツを制服ととらえているのは何も日本のビジネスマンだけではないように思える。
イタリアブランドのスーツというと、それとは対極に位置すると思われがちだが、実際は機能性素材を使ったスーツ、セットアップがすでに差し込まれている。
ラルディーニという高級ブランドだって、夏向けには合繊の防シワ素材を使用して、たたんで鞄に突っ込めるパッカリングジャケットを発売している。
形に色気があるとかディテールが凝っているとか言ったって、機能性を重視した基本的な商品設計の思想は、日本の各社がすでに発売しているトラベルジャケットやストレッチスーツ、ウォッシャブルスーツと同じである。
機能性・利便性が高い商品は支持されやすいというのは、日本に限らずイタリアでも同じなのだろうと思う。また、そのイタリアブランドを支持する世界中の顧客が機能性商品を支持しているといえる。
もちろん、これからもいわゆる「本物のスーツ」は残っていくだろうし、それはそれで残すべきだとも思うが、機能性スーツの方がマスで売れることになるだろうと思う。今の機能性素材使用に加えて、シルエットやディテールがさらに本格化した場合、どちらを消費者が支持するだろうか。恐らく、洋服の専門家も含めて機能性スーツを支持するだろう。
使いやすく利便性が高い方が支持されるのは何も洋服に限ったことではないから、極めて自然な流れである。
 
ブリッツワークスのクラウドファンディングはすでに目標金額の半分以上が集まっているから、今回は楽々と達成できるのではないかと思う。
この後もすでに2つの商品をクラウドファンディング用に企画しているそうであり、そちらでも今回のような感じで協力させていただいているので、開始されればまたご紹介したい。
 
久しぶりにNOTEの有料記事を更新しました~
「アパレルの簡単な潰し方」
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n479cc88c6
 
ラルディーニのパッカブルスーツをどうぞ~

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