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南充浩 オフィシャルブログ

看護学部設立は打ち出の小づち

2010年12月13日 未分類 0

 つい最近、知り合いに教えてもらったのだが、宝塚造形芸術大学が今年4月から「宝塚大学」へ校名変更をしたという。
その理由は、新たに看護学部を設立したためだという。

個人的には「宝塚造形芸術大学」のままの方が良かったように感じる。
余談になるが、宝塚造形芸術大学の設立については、山崎豊子さんが小説に「女の勲章」としてまとめておられる。

しかし、この看護学部設立というのは、学校経営においては生徒数確保のための最適手である。
宝塚造形芸術大学は、ファッションも含めたデザイン系の学部を中心としていたが、世間一般に知られるようにファッション、デザイン系の学校は生徒数が年々減少している。
もちろん少子化による学生数の減少は背景にあるが、それ以上に就職率が厳しいファッション産業、デザイン産業を忌避する学生やその保護者が増えている。

学生の保護者にすれば「年間100万円弱の高い授業料を払って通学させても就職できないのであれば意味がない」と考えるのは至極当然の成り行きである。

そんな中で生徒数が集まりやすいのが看護系と介護系だった。しかし、介護系はグッドウィルグループの事件から、給与や勤務時間などの待遇面の悪さが露呈してしまい、以前ほど生徒が集まらなくなっている。
こちらも当然の成り行きで、だれも好き好んで「給料が安くて、勤務時間の長い職場に行こう」とは思わないわけである。

おそらく、今、学生数が最も集まりやすいのは看護系の学部ないし学校であろう。
まず、卒業後の就職率が非常に高い。どこの病院でも看護師不足は切実である。よほど出来が悪くない限りどこかの病院には就職できる。また勤務時間は長くて、夜勤もあってキツいかもしれないが、介護系に比べると給料は高いし、昇給もある。(介護系は昇給がほとんどない)

さらに結婚、出産して一度退職しても看護師の恒常的な人手不足のため復職ないし再就職しやすいし、給料も他のパートや派遣に比べると高い。
専門的な知識が必要なので、そこらのオバチャンがいくら希望しようとも、資格がない限り看護師として勤務することはできない。

今回の宝塚大学の件は、外から眺めているだけだが「非常にうまい経営手段を採った」と思う。

生徒数減少で悲鳴をあげているファッション専門学校にもそのうちに「看護学部」が泥縄式に設立されるかもしれない。

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