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南充浩 オフィシャルブログ

ルミネは物作り志向を強めている?

2012年7月17日 未分類 0

 来年の冬セールも後倒しの記事を書いたが、どこで読んだのか失念していた。
繊研新聞のバックナンバーを探していたら、6月29日にルミネ社長のインタビューが掲載されていた。

見出しには
「冬セール 1月17日開始 ルミネ高付加価値の仕組み追求」とある。

この記事が6月29日に掲載されたということは、当たり前だが取材は6月28日までに行われている。
業界新聞の発行スケジュールから逆算すると、6月28日の夕方4時ごろまでには記事がデスクに提出されているはずである。
仮に6月25か26日に取材が行われたと仮定しよう。

その時期はルミネも三越伊勢丹も夏のセールを開始していない。
関西では、一部ファッションビルと百貨店が6月22日・23日からセールを開始しており、6月28日・29日には、残る大部分がセールを開始した。
7月開始の施設を数える方が早いだろう。

夏のセールが始まってもいない時期から、ルミネは冬のセール後倒しを考えていたということになる。

仮説→実行→検証

というのがビジネスの王道であるなら、検証どころか実行前から次のことを計画していることになる。
あるのは理念だけである。
この理念に対しては賛同できる部分もある。しかし、実行・検証なしに次の計画を立案するのはいかがなものだろう。ましてや新聞に発表するのはあまり得策ではないと思うのだが。

この記事を読むと、ルミネが物作りに踏み込んだ発言をしている。

記事から抜粋引用する。

「マーケットに合わせてしっかり商品を提供するだけでなく、商業施設としても付加価値の高い物作りを追求する仕組みを整えることで館の魅力をさらに高めることが大きな狙い」

とルミネの新井良亮社長は語っておられる。

百貨店にはまだ自主編集平場という独自の売り場があるが、ファッションビルにそんなものがあるのだろうか?
筆者は、自主編集平場を持っている百貨店ですら独自の物作りができるとは考えていないが、自主編集売り場すら持たないファッションビルが独自の物作りをすることが可能だとは到底思えない。

また

「(中略)物作りの現場を疲弊させない売り方が必要で、とくにセールのあり方がその障害となっていることから時期をずらすことにした」とも発言しておられる。

誠に良いお考えだと思う。
しかし、物作りの現場が疲弊しているのはセールのあり方だけではあるまい。
このルミネの物作り志向は一体何を意味するのだろうか?筆者には推測できない。

これまで1月2日、3日ごろに冬のセールを開始していた。
福袋販売との相乗効果で、不景気と言われながらも冬のセールは各商業施設ともそれなりに稼ぐことができた。
単純な話だが、福袋を購入して高揚した心理状態の消費者は、普段なら「要らない」と思うようなセール商品でもついで買いしてしまうということだ。

来年の正月はそれが無くなる。

あるセールスレップは「初売りとセールを分けたら、みんな福袋を買った時点で帰宅してしまう」と指摘する。
この指摘は的確である。
おそらく目当ての福袋を購入したお客はそれで帰るか、別の目的地に向かうだろう。

そして、15日後、わざわざルミネのセールに来てくれるだろうか?
おそらく来ない。欲しいブランドの商品は他所のビルのセールで購入してしまっているだろう。
いくら、ルミネといえどもテナントに入店するブランドは、他所のビルとも共通の物が多い。

ルミネがどうしてもセール時期を遅らせたいなら、他所と共通しないブランドのテナントを集積すれば良い。
それなら、ある程度の集客は見込めるのではないか。

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