バーゲン不振はボーナスの目減りだけが原因ではない
2012年7月6日 未分類 0
今夏のセールは何だかヘンテコリンだ。
7月12日、13日からにセールを後倒ししたルミネ、新宿伊勢丹にすれば「まだセールではない」という状態なのに、郊外型ショッピングモール内の一部テナントは6月8日くらいから独自セールを始めている。
6月10日以降は、各ブランド路面店でもシークレットセール、プレセールが開始されており、6月22日からは各ファッションビルが順次全館セールをスタートさせている。
ルミネ、三越伊勢丹がセールを始めるまで、郊外型ショッピングセンター内の先行組から数えると1ヶ月以上のタイムラグがある。
パラパラと何店かセールを覗いてみたが、どこもそれほど盛り上がっている形跡がない。
これほど間延びしたセールなら盛り上がらなくても当然だと思う。
そんなことを考えていたら、サンケイビジネスアイにこんな記事が掲載された
ボーナス商戦、百貨店や量販店は大苦戦 支給額減りテレビ不振
http://www.sankeibiz.jp/business/news/120704/bsd1207042119017-n1.htm
(7月)1日から一部商品のセールを開始した高島屋。同日の売上高が前年同期と比べて2.8%減だった。
6月30日から一部商品のセールを始めた京王百貨店新宿店では、1日まで2日間の売上高が同比26.5%減と大きく落ち込んだ。
夏商戦の不振を招いている背景にあるのがボーナスの目減りだ。
とある。
高島屋の1日当たりの売上高が2・8%減はあまり大したことがないが、京王百貨店新宿店の26・5%減はかなり厳しい。
7月1日現在、百貨店のセールはあまり盛り上がっていないといえるだろう。
これだけのデータで断じてしまっては早計だが、全体的に盛り上がりを欠くという印象は正しいのではないだろうか。
サンケイビジネスアイはこの原因を「ボーナスの目減り」としているが、それは一面的に過ぎる。
セール先行組の開始から最後発組が開始するまでの期間が1ヶ月にも間延びしたことも大きな要因だろう。
それと、セールの値引き率が例年よりも低いことも盛り上がりに欠ける要因とも考えられる。
セール先行組は6月10日前から始めている。
現在だとすでに1ヶ月弱が経過していることになる。それでもルミネ、三越伊勢丹に照準を合わせたためか、いまだにセール当初の「20~30%オフ」を維持しているブランドが多い。
例年だとセール開始後1カ月近くになれば、50%オフに切り替わっている。
下手をすれば70%オフの店も現れている。しかし、今年はそうではない。
推測の域を出ないが、各店ともルミネと三越伊勢丹のセールスタートに合わせて再値下げをするつもりで、再値下げを遅らせているのではないだろうか。
さて、先述のサンケイビジネスアイの記事は、テレビ販売不振へとつながっていく。
さらに昨年夏に活況だっ家電量販店も低迷。昨年7月の地上デジタル放送移行に伴う“テレビ特需”で薄型テレビの販売が好調だったが、今シーズンはその反動減に苦しんでいる。
調査会社BCN(東京都千代田区)によると、6月の薄型テレビの販売台数は、前年同月比80.6%減になったほどだ。
とのことだが、至極正常な消費者の反応としか言いようがない。
もし、ボーナスが例年並みに支給されていてもテレビの販売は伸びなかっただろう。
昨年7月の地上デジタル放送移行の前後で9割近くの消費者はテレビを買い替えている。
今年さらにもう一台テレビを買おうと思う人間はほとんどいない。
いくら多額のボーナスが支給されたとしても、そんなアホな消費はしないだろう。
すでに自宅には昨年夏に買った30~40インチの大型テレビがある。今年夏にもう一台買う必要性はまったくない。
家電メーカー、家電量販店ともに「今年夏も売れる」と期待していたのなら、経営陣も従業員も全員アホである。
テレビに関していえば、各メーカーが「高画質化」「3D化」をさらに進めれば販売が伸びるといまだに考えている節がある。
そんなものをいくら強化したところでテレビの販売台数は伸びない。
価格を値下げしても売れない。
なぜなら、放送されている番組の内容がつまらないものが多いからだ。
ひな壇に並んだ二流半の芸人が多数並んだだけのバラエティ番組をどうして高画質や立体画像のテレビで見たいだろうか?あんな内容なら白黒テレビでも十分だ。
テレビの売り上げが伸びないのは、ハードの問題ではなく、番組というソフトの問題ではないだろうか。
家電メーカーが「さらに高画質化すれば売り上げは回復する」と考えている間は、テレビの売り上げが回復することはない。