東海染工の3Dプリント
2012年5月23日 未分類 0
先日、毎年恒例の加工技術展「イデアトーカイ」を覗いた。
かなりマニアックなネタで申し訳ない。
東海染工が自社加工技術と協力企業の生地を展示するという展示会である。
筆者は毎年、高橋織物の高橋社長にお会いしたくてイデアトーカイを覗いている。
今回の会場で展示されていた東海染工の3Dプリントの出来栄えが素晴らしかったので写真で紹介したい。
3Dプリントと言っても3D映画のような飛び出し方ではない。
通常のプリントとは異なり、少し立体感があるため、油絵、版画、刺繍などをプリントで正確に再現できるというものである。
実際に見ていただければわかるが、なかなか凄い出来栄えである。
(刺繍風の3Dプリント)
(油絵風の3Dプリント)
(版画風の3Dプリント)
これは推測だが、ズバリこのままで使用するケースはほとんどないだろう。
実際の商品に使用する場合は、簡略化したりワンポイントでの使用が主流になるのではないだろうか。
製品作りに携わったことのない筆者には、この技術を活かした商品作りがちょっと思いつかない。
生地メーカーからは、「最近のデザイナーとか企画担当者は、生地を見ただけではどんな製品を作ったら良いのか分からない。想像力がない」とよく聞く。
実際に生地の展示会でも生地そのものを掛けてあるだけでは、なかなかアパレルの企画担当者は買わないのだそうだ。
それよりも生地メーカーや生地問屋が自社の生地を使って、洋服の形に仕上げたサンプルがよく売れる。アパレルの企画担当者はズバリそのものを作ろうとするからである。
こうなってくると、アパレルの企画担当者なる職種は不要で、生地メーカーや生地問屋がサンプルを作る要領で製品をデザイン・製造すれば事足りてしまう。
この手の企画担当者が作った洋服が面白いわけもないし、売れるはずもない。
衣料品の消費低迷の一因には、企画担当者が育っていないということと、アパレルが育成しなかったということがあるのではないか。
閑話休題
3Dプリントを拝見した筆者は、技術力の高さに驚いたものの、その使用法については一切イメージが浮かんでこなかった。
生地の展示会場で「生地だけ見てもどんな製品作ったら良いのかわからなーい」と、ヌケヌケと口走るアパレルの企画担当者の気持ちが、初めて少しだけわかったような気がする。