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南充浩 オフィシャルブログ

どうしても前社長を「引退」させたいのだろうか?

2012年5月15日 未分類 0

 昨日の夕刊か今朝の朝刊で各紙がグンゼの新社長就任を報じていることだと思う。
ちなみに昨日の決算発表の席上で新社長就任を含む新人事が発表された。
一般紙・業界紙に混じって筆者も末席に座らせていただいた。

内容はこうだ。

現在、代表取締役社長兼社長執行役員(CEO兼COO)の平田弘氏が、代表取締役会長(CEO)に。
代表取締役常務取締役兼常務執行役員(CFO)の児玉和氏が、代表取締役社長兼社長執行役員(COO)に就任する、というものだ。

通常の社長交代だと前社長は引退もしくは代表権のない会長に就任するが、今回の人事は前社長は引退せずに代表権のある会長兼CEOになる。
いわば、新社長と二人で経営の役割を分担するといった方が実状を反映している。

にも関わらず、一般紙各紙の記者は「社長交代、前社長は引退」という記事を書きたかったのか、執拗にそれについて質問していた。
前社長は引退も何も、CEOとしてこれからも何年間か経営陣のトップとして君臨するのである。
これのどこが「引退」なのだろうか。

決算会見や新ショップ開店の際、一般紙記者と同席することがあるが、筆者が気になるのはこういう「紋切り型」の見方である。
今回の人事の新肩書を見ても明らかなように、平田前社長は代表権も保持したままであり、最高経営責任者(CEO)として続けて経営の旗振りを担うことは一目瞭然である。

なぜ一般紙の記者は「社長交代=前社長引退」という図式を無理に当てはめようとするのか理解に苦しむ。

以前、ユニクロのグローバル旗艦店である心斎橋店がオープンした際にも某大手一般紙記者が良く分からない質問を執拗に繰り返していて理解に苦しんだことがある。
その質問とは、「この物件の地主は誰ですか?」というもので、一度質問する程度なら「あー、そーですか」と思うだけなのだが、二度三度と繰り返していたので「一体何が目的だろう?」と傍から聞いていて訝しく思ったものである。
これは推測だが、おそらく別のまとめ記事に柳井会長のコメントを引用したかったのではないだろうか。
「都心大手物件の地主は○○が増えている」というような内容の記事だったのではないか。

先日、橋下徹大阪市長とMBSの女性記者の会見での口論がノーカットで流されて話題となった。
橋下市長と女性記者の会話はまったくかみ合っておらず、経験に照らし合わせると、女性記者は定まった報道内容に沿ったコメントを得んがために執拗に質問を繰り返していたとしか思えない。

あらかじめ作り上げたストーリーに沿って、それに適合するコメントを集めるという報道姿勢を改めないと、一般紙やテレビはますます世論をミスリードするだけではないかと案じられてならない。

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