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南充浩 オフィシャルブログ

百貨店の苦戦は若者離れが原因ではない

2012年3月19日 未分類 0

 3月15日の日経新聞にこんな見出しの記事が掲載された。

「百貨店、大都市で改装ラッシュ 若者離れに危機感」

要するに各大都市の百貨店が来年以降に続けざまに改装するという内容である。

記事の冒頭には

百貨店大手が主要都市で相次ぎ大規模改装に乗り出す。横浜ではそごう横浜店が10年ぶりに全館を、
高島屋横浜店も来秋までに約150億円かけてそれぞれ改装。名古屋や大阪でも各社の基幹店が一斉に工事に入った。
百貨店市場は景気低迷や若者離れなどで15年連続で縮小しており、各社は生き残りをかけ主力店の競争力を高めていく。

とある。
まあ、業績低迷を打開する手っ取り早い方法は改装であるから、一番安易な方法を採ったということだろう。

しかし、意味が分からないのは「若者離れ」である。

一体、百貨店の主要顧客が「若者」であったのは何時の時代を指しているのだろうか?
主要顧客層が「若者」であった時代などおそらく百貨店には無かったはずである。
記者は夢でも見ていたのだろうか?それとも百貨店広報担当者が錯乱していたのだろうか?
もしくはその両方だろうか?

百貨店の主要顧客層は今も昔も低所得者が多い若者ではなく、ある程度の収入を持った中年以上である。
今でこそ、大丸を始めとする百貨店にユニクロなどの低価格ブランドが入っているが、数年前まで百貨店は中級価格以上の婦人服ブランドを「これでもか」というほど強化し続けてきた。
ターゲットは20代半ば以上の小金持ちの女性である。

しかし、彼女らとて、すべての百貨店を潤すほど消費すればおのれ自身が破産してしまうので、彼女らの消費はすべての百貨店には行き渡らない。当然、百貨店間に優勝劣敗が生じる。
百貨店が苦しくなったのは、中級価格帯以上の婦人服に特化し続けてきたことが裏目に出ているためである。
にも関わらず、バブルの頃の栄華が忘れられないのか、いまだに百貨店関係者は呪文のように「ファッション、ファッション」と繰り返すのみである。

20代半ば以上の女性の消費だけでは全百貨店が潤わないのは自明の理なので、本気で百貨店が生き残りたいのなら、他の顧客層で補うべきである。
それを実践したのが、関西では大丸梅田店だろう。
全所得層に向けてユニクロを導入し、子供向けにポケモンセンターとトミカショップを導入した。
男性客に向けては東急ハンズを誘致している。

これまで苦戦を続けてきた大丸梅田は、これによって大幅に客数が伸びており、
売上高でも客数でも鳴り物入りでオープンしたJR大阪三越伊勢丹を遥かに引き離している。

ついでながら、この記事によると
初年度売上高を200億円も下方修正したJR大阪三越伊勢丹は、2013年から早くも大幅改装に取り掛かるそうである。これだけ苦戦すれば改装とブランドの入れ替えをせざるを得ないことは誰の目にも明らかである。

話を戻すと
百貨店が低迷しているのは若者のせいではないし、これまで百貨店は若者をメインターゲットとしてきた事実もない。何でもかんでも「若者離れ」のせいにしたがるのは、経営陣の思考が硬直化しており、一番責任をなすりつけやすい層に転嫁しているだけのことである。

これまで百貨店で買い物をしていた中高年層がどれほど郊外型ショッピングセンターやユニクロに流れていると思っているのだろう。筆者の周囲を見渡しただけでも相当な数になる。
主要顧客層である「中高年層の百貨店離れ」という事実を直視できないようなら、間違いなく百貨店の売上高は低下し続ける。

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