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南充浩 オフィシャルブログ

今年も綿花価格は高騰する?

2012年3月15日 未分類 0

 昨日のヴィンテージチノの件で、チラっと書いたが、再びインドが綿花禁輸措置を打ち出したらしい。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34738

世界最大の綿花消費国である中国が、インドの綿花禁輸措置に対して正式な抗議を申し入れた。その一方、インド国内では、数日前に実施された禁輸措置を見直す動きが見られる。

 インドでは、農業相が禁輸措置は国内農家に打撃を与えると述べたことを受け、マンモハン・シン首相がただちに、関係閣僚に禁輸措置を再検討するよう要請した。首相官邸の声明によると、再検討の結果は9日に公表されるという。

 首相官邸のある高官は、閣僚は禁輸措置を解除する可能性が高いとし、本紙(英フィナンシャル・タイムズ)に「禁輸が解除される現実的な見込みがあり、その確率は高い」と語った。

 だが、方針転換は確実ではない。インド政府は、対中関係および農家の利益と、強力な国内繊維産業の懸念とのバランスを取らねばならないからだ。

とのことである。

2010年秋ごろから綿花価格が高騰したことは記憶に新しい。
以下に本文から抜粋する。

2年にわたって相場が乱高下してきた綿花市場では、インドの突然の政策変更がボラティリティー(変動)を増幅させている。綿花は昨年、インドによる禁輸措置などで生じた供給不足で1ポンド=2ドルを超す史上最高値をつけたが、その後、複数の紡績工場が契約不履行を起こすと、1ポンド=1ドルを割り込む水準まで急落した。

 その結果、カーギルやノーブル・グループ、グレンコアを含む綿花を扱う商社は多額の損失に見舞われた。

 そして今年、インドが2年間で2度目となる禁輸措置に踏み切った後、綿花相場は上昇してきた。世界第2位の綿花生産国であるインドは3月5日、綿花の輸出禁止を決め、即日実施した。国内の繊維企業のために十分な綿花供給を確保する狙いだ。

抜粋部分にもあるように
一時期は「1ポンド=2ドル」を越える史上最高値を更新し続けてきたが、いつの間にやら従来の水準に近い「1ポンド=1ドル」付近まで急落した。
2011年春には、複数の低価格ブランドが「今の綿花価格では製品価格を維持することは難しいため、2011秋物から値上げする」と発表した。
しかし、その後、ハニーズは商況の厳しさから秋物からの値上げを撤回したという経緯もある。

たしかに各店舗の2011秋冬商品を見ていると、わずかだが値上げされたような印象がある。
しかし、実際には売り切るために、1月のバーゲンでは例年通りの叩き売り価格にまで値下げされていた商品も数多くあった。

例えば、「無印良品」だと1550円の長袖Tシャツが半額の750円になり、さらにそれでも動きが鈍い特定のカラーについては500円にまで値下がりしている。
もちろん、筆者は500円(税込)でパープルの細ボーダー柄長袖Tシャツを1枚だけ買った。

反対にポイントの「レイジブルー」では2011年1月のバーゲンほど破格値の値下げは無かったように感じる。
むろん、1枚も買っていない。

インドによる禁輸実施の前、中国は1年間にわたって、綿花を大量に購入していた。国内の農産物価格を支え、価格のボラティリティーを和らげる手段として政府備蓄を積み上げるためだ。
1月下旬までに、中国は備蓄用に外国産綿花を500万ベール購入しており、国内での購入分を合わせると、中国の綿花備蓄は現穀物年度の世界の綿花消費量の15%を占めた(米農務省の試算)。

中国はこのような措置を採っており、今回のインドの綿花禁輸措置が長引けば、また綿花相場が高騰する可能性もある。すでに徐々に綿花価格は上昇し始めている。
残念ながら、今年も日本のアパレル各社は綿花相場に振り回されそうな気配が漂っている。

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