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南充浩 オフィシャルブログ

日本企業は過剰サービス?

2012年3月8日 未分類 0

 少し前、居酒屋「和民」の従業員の自殺原因が過労によるものだったと認定された。
何とも痛ましい事件である。

外食産業、とくにチェーン店はかなり激務だと言われている。
そういえば、少し前にマクドナルドの店長過労死問題もあった。

素朴に「外国ではどうなんだろう?」という疑問を抱いていたら、
先日、次のような記事が掲載された。

かなり多数にツイートされているので、お読みになった方も多いのではないだろうか。

アメリカの外食産業に過労死がない理由とは?
http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2012/03/post-407.php

大前提として客も店も細かいことはゴチャゴチャ言わないし、とりわけ中堅以下の企業化されたファミレス系やファーストフード系に至っては、サービスの水準はかなり低いという問題があるわけです。

と始まる。

そして9つに分けてポイントが簡潔にまとめられている。

長くなるのでその中から個人的に印象が強かった4番と5番、8番を引用させていただく。

(4)決して給与は高くありません。全員が腰掛け仕事と言っても過言ではありません。「アシスタント」はまず最低賃金レベルでヒスパニック系の出稼ぎ労働の人が目立ちます。「デイスパッチャー」なども大した時給ではなく、学生のアルバイトが多かったりします。それぞれが、人生のそれぞれの段階で、収入の不足を補うという位置づけで働いており、長く勤務するという前提の人はほぼ皆無、従って何らかのストレスを貯めこむ危険があるようなら転職してしまいます。

(5)本部の経営層やマーケティング専門職、商品開発専門職は管理職扱いで給与も高いですが、こうしたポジションはMBAやフードビジネスの修士などが要求され、またそうした「最先端知識」を大学院で学んだ人が即戦力、もしくは業界をヨコに転職してきてポジションを取ります。ですから、現場叩き上げで昇進する可能性はゼロ。現場の仕事は良くも悪くも腰掛けであり、フルタイム雇用者が管理職候補で将来の出世を人質にムリな働き方を強制されるということは絶無です。

(8)サービスのレベル一般は低いです。客を待たせても、注文の料理が遅くても、冷めていても、そこで謝罪することはまずありません。その代わり、好感度を増してチップを稼いだり、リピートにつなげるためには、パーソナルタッチ、つまりサーバーの個人的なアドリブ会話が奨励されています。それも厳しい強制はないですし、上手になればチップという見返りがあるので、働いている人間にはそれほどストレスにはなっていないようです。

とのことである。

それに比べると日本の外食チェーン店の接客は、低価格店にも関わらず異様に丁寧である。
250円の牛丼屋でもかなり丁寧に対応してもらえる。
たまに、牛丼屋で上得意客ヅラで吠えているオヤジを見かけることがあるが、250円の店で何を言っているのかと呆れる。
上得意客ヅラしたければもっと高級店に行けば良いのである。

某居酒屋のように注文を受けたら必ず「ハイ。喜んで~」などと言う必要はさらさら無いとも思う。

客側も店側もなんだかおかしいゾ。(`□´)コラッ!

さて、この記事を最後まで読んで「アパレル店も同じじゃないか」と感じる。

筆者は清貧洗うが如しなので、低価格店でしか買わない。
ユニクロ、無印良品、GAP、ライトオン、レイジブルーあたりを愛用している。
しかも定価ではなく、セールでしか買わない。

先日も近所の無印良品で、ピンクのボタンダウンオックスフォード7分袖シャツを495円で購入した。
おそらく昨年の夏物の在庫である。
まあ、それでも丁寧に対応していただいた。

ユニクロしかり、GAPしかり、ライトオンしかり、レイジブルーしかりである。

990円のセール品でどちらのカラーを買おうか迷っていて、スタッフに相談しても実ににこやかに対応していただけるのでこちらが恐縮してしまう。
どちらの色にしようか迷うくらいなら、990円に値下がりしているのだから両方とも買えば良いのである。

なんというケチくさいオッサン。ノ( ̄0 ̄;)\オー!!ノー!!!!

元来、低価格チェーン店はそこまで丁寧に対応する必要は無いのだと思う。
丁寧に貼りつくように接客してほしければ、高級店に行けば良いのである。
高級店で買い物をできない収入の人間が、同じような対応を求めること自体が無理があるのではないだろうか。
そして、同じような対応をしてしまう店側も問題があると言ったら言い過ぎだろうか。

いや言い過ぎだ。
店側は売るために最大限努力しているのだから。

しかし、それでも客を甘やかし過ぎるのは良くないとも思う。
ビシっと言う店があっても良いのではないか。

そして、この低価格店の「過剰」さは接客だけではなく、商品の品質においても同じである。

筆者はよく、H&M、ZARAなど海外SPAブランドの使用素材や縫製の品質が低いと書いている。
これはたしかに低い。まっすぐ縫えてないし、生地はペラペラで歪んでいる。
GAPもそんなに高品質ではない。

それらに比べるとユニクロを筆頭とする日本のSPAブランドの品質の良さはケタ違いである。
はっきり言えば過剰品質ではないかと思う。

海外SPAブランドは「トレンド性の高い」、もしくは「ファッショナブルな商品」を「安く」提供することに焦点を当てている。だから品質は低くても仕方がないと割り切っている。おそらく海外の消費者もそう割り切っているのだろう。
先述の記事のアメリカの飲食店と同じである。

「大前提として客も店も細かいことはゴチャゴチャ言わないし、とりわけ中堅以下の企業化されたファミレス系やファーストフード系に至っては、サービスの水準はかなり低いという問題があるわけです」
ということだ。
(大事なことなので2回言いました。byみのもんた)

高品質な衣料品が欲しければ、金持ちになって高級ブランド店に行けば良いわけである。

日本は消費者がゴチャゴチャとうるさいし、企業側もそれに対応してしまう。
これまでそうしてきた。
しかし、コストを削減しつつ、高い水準のサービスに対応し続けていると企業もそこの従業員も、工場などの製造現場もすべて疲弊してしまう。
実際、もう限界近くまで疲弊しているのではないかと思う。

そろそろ日本人も意識を変える必要があるのではないだろうか。

安い商品に過剰な品質と接客を求めることは止めようではないか。
高級店並みの対応を低価格店に求めることはナンセンスではないか。
高級店と低価格店で対応に格差があるのは当然ではないか。

アメリカの飲食店の記事は改めてそのことを思い出させてくれた。

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