ライトオンとマックハウスが解決すべきそれぞれの課題とは
2018年4月24日 決算 0
ジーンズ専門店チェーンの大手3社といえば、ライトオン、マックハウス、ジーンズメイトでしたが、すでに売上高100億円を下回ってしまったジーンズメイトが大手と呼ぶに相応しいのかどうかは大いに疑問を感じる。
しかし、全国展開しているのはその3社だから一先ずその枠組みは残しておこうと思う。
ユニクロに客を奪われたのは大手総合スーパーよりもこれらジーンズ専門店チェーンではないかと思う。
ジーンズメイトのことは散々書いてきたから、今回は先日、決算が発表されたライトオンとマックハウスについて考えてみたい。
ライトオンの2018年8月期中間決算は
売上高397億9000万円(前期比7・1%減)
営業利益9億3800万円(同302・1%増)
経常利益9億2200万円(同306・2%増)
当期利益4億1600万円
と減収ながら大幅増益となった。
理由は前年の利益額が悪すぎたからだ。
マックハウスの2018年2月期決算は
売上高308億5200万円(同8・5%減)
営業利益2億1600万円(同64・9%減)
経常利益2億6400万円(同61・3%減)
当期損失2億2400万円
と減収大幅減益に終わった。
ライトオンは中間決算、マックハウスは本決算ということで一概には並べられないので、ライトオンの通期見通しも書いておこう。
売上高770億円(同3・8%減)
営業利益12億円
経常利益11憶5000万円
当期利益1億5000万円
となっており、黒字転換を見通すものの、売上高はさらに低下しており、800億円を下回る見通しとなっている。
マックハウスも売上高500億円はとっくの昔に割り込んでおり、このままでは300億円台も維持できるかどうか怪しい。
すでに売上高100億円を割り込んで久しいジーンズメイトと合わせて3社ともにピーク時の売上高まで回復させることは至難の業といえるだろう。
ライトオンは今更、52週MDを持ち込もうとしているようだが、かつてのワールドが編み出した52週MDをいまだに信奉している者が業界には多数いるが、その後のワールドの経営不振を見れば、結果は一目瞭然ではないかと思う。
なぜ、失敗した会社の手法をいまだに持ち込みたがる企業が後を絶たないのか不思議でならない。
ジーンズメイトも含めてキャッシュフローは潤沢であり、バランスシートも重くないと経済各紙は指摘するが、それは「倒産しないという保証」に過ぎず、売り上げ回復や業績回復の手段とはなり得ない。
なぜなら、金を潤沢に持っていることと、売れ行きが回復することはイコールではないからだ。
潤沢な資金があるから、売れる商品を開発できる可能性がある、売れる売り方を見出せる可能性がある、売れる販促ができる可能性がある、ということに過ぎない。
カネは使ってこそ初めて効果を発揮するのであって、金庫に眠っている間は何の効果も発揮しない。
せいぜいが倒産しないというお守りになるくらいだ。
その潤沢な資金を使って、商品開発、売り方の刷新、効果的な販促ができなければ、企業はジリ貧となっていく。
ジーンズ専門店チェーン3社の課題は資金繰りではなく、品ぞろえ・店構え・販促・売り方にあるのではないかと思う。
まず、ライトオンだが、ショッピングセンターに入店している他社ブランドと見比べると店構えが完全に違う。
この差異が良いのか悪いのかを精査すべきで52週MDの導入なんぞで業績は上向かない。
例えば、ショッピングセンターの他社ブランドと比べると、ユニクロやグローバルワーク、コーエン、ジーユーあたりは、床や柱が白く近未来的な店作りとなっている。
商品の積み上げ量も少なく、店舗には圧迫感がない。
ユニクロは商品を積み上げているが、不思議なことに圧迫感はない。
ジーユーはスタート当初は商品を積み上げすぎて圧迫感のある店作りだったが2011年頃から解消された。
それに比べるとライトオンは、従来型のワーキングやアメリカンカジュアル色の強い土臭さの漂う内装となっている。
また商品の積み上げ量が多く先に挙げた店舗に比べて見通しが悪く、得も言われぬ圧迫感がある。
先に挙げた店舗の後追いをすることが良いとは決して思わないが、そのあたりを比較して要素を取り入れることを考えても良いのではないかと思う。
ライトオンが今、真剣に考えるべきはこれまで通りの土臭い店作りを続けるのか、それともやめるのかである。
一概に後追いする必要はないので、これを「ブランド色」として追求するのか、それとも方向転換するのか、幾分か緩和してアレンジするのか、経営陣はそれを考えるべきで本社を原宿に移すことなんていうのはどうでも良いことである。
マックハウスの問題点は、都心一等地に店があまりにも少ないことにある。
大阪府内だと堺市駅前と吹田駅前にあるのを知っているくらいだ。
だから、必然的に都会に住んでいる人には著しく知名度が低い。
ちなみに週に1度講義に通っている大阪市内のファッション専門学校の生徒は誰もマックハウスを知らない。
それほどの知名度の低さであることを自覚した方が良い。
また店作りが非常にチープ感溢れている。
これではいくら商品が良かろうと客を引き付けることはできない。
チープさでいえば20年前のユニクロか、今のしまむら並みといえる。
ユニクロの後追いみたいな新業態も始めているが、それは単なるユニクロの劣化コピーに過ぎず、ユニクロをやめてでもそこで買いたいと思わせる物がなければ、単なる二番煎じに過ぎない。
それならまだ謎の中国ブランド「メイソウ」の方がはるかに売り方・見せ方が上手いといえる。
ジーンズメイトは自社ブランド「ブルースタンダード」「メイト」が20代後半~35歳くらいをターゲットにしているにもかかわらず、店の内装やその他の品ぞろえが中学生向けになっていることが問題である。自社ブランドと店があまりにもミスマッチに過ぎる。
これを解消しない限り自社ブランドが売れることは見込めないだろう。
3社とも中には良い商品もある。しかし、今の売り方・店構えではその商品が見えにくい。
それを自覚して解消する方法を考えるべきで、52週MDの導入とか、ユニクロの後追い店舗とか、ユニ辞め社員を登用するとか、そういう小手先の対処療法ではまったく結果を出せないだろう。
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