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南充浩 オフィシャルブログ

阿倍野キューズモールの怪現象を考察する

2011年8月5日 未分類 2

 大阪・天王寺に4月オープンした駅前大型商業施設「あべの マーケットパーク キューズモール」は好調を続けている。今春にデビューした大阪市内の商業施設では、ルクアとキューズモールが絶好調、JR大阪三越伊勢丹が絶不調、アルビが好調、ヌー茶屋町プラスがほぼ計画通りという感触である。

さて、初年度売上計画400億円を大きく更新するペースで売れ続けているキューズモールなのだが、東京の方々からはその理由が理解できないのだという。

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業界でも非常に影響力をもっておられる小島健輔さんは、ブログで2回に渡って、キューズモールの「怪現象」について採り上げておられる。

http://www.apalog.com/kojima/archive/773

http://www.apalog.com/kojima/archive/774

ここでご指摘されておられることは、もっともであり、ブランドのラインナップはたしかに奇異に感じる。
重複したテイストのブランドを複数導入されていることも事実であり、「似通ったブランドばっかり集めて意味あるんかいなあ」と思う。

例えば、1階にはユニクロがあり、チャオパニックティピーがあり、グローバルワーク、ウィゴーがある。
2階には、ハイダウェイとユニオンステーション、アフィアードオムがある。
そしてなぜか、ライトオンは3階に追いやられている。

ブランドラインナップと階層構成に違和感を感じられる方が存在しても不思議ではない。

しかし、毎日ほど天王寺を通っている人間としては、キューズモールの絶好調の理由がよくわかる。
まず、小島さんもご指摘の通りに近隣に中学校・高校が多く、午後4時以降はその生徒たちでにぎわう。
また、遠方の方々はお分かりにならないかもしれないが、天王寺・阿倍野地区は、一大ターミナルであるにも関わらず、一本路地裏に入れば住宅街が広がっている。また南方へ自転車で10分も走れば、昔ながらの文化住宅なども存在する住宅街である。

キューズモールは平日の昼間でもにぎわっている。
もちろん至近距離にある住宅街の住人が集まっている。お年寄りや子育て中の主婦などが集まる場所となっているため、通常の駅前商業施設では考えられないほど、滞在客数が多い。

そして、何よりもイトーヨーカドーが入店していることからもわかるように、取扱商品の価格が全体的に安い。
大阪、ことに天王寺界隈の消費者にとって「安さ」は評価の最高基準である。
大阪の消費者は、見てくれよりも「安くて品質が良い」ことを好む人が多い
キューズモールのブランドラインナップが重複してようが、階層構成が少々おかしかろうが、安くてそこそこに品質の良い商品があつまっておれば、それで良いのである。

安くて高品質な物があり、その上に見栄えが良ければそれに越したことはないが、見栄えだけよくても高くて品質の良くない物は絶対に受け入れないのが大阪人気質であろうと思う。
自身がこの気質を色濃く受け継いでいるため、それが良く分かる。

そしてその気質は江戸時代に醸成されたものであると考えている。
江戸時代の大阪は幕府直轄の「天領」であった。
通常の「天領」だと「お上の威光」にひれ伏すマインドが形成されるが、大阪は天領でありながら、経済の中心地として「商人の街」として繁栄した。
武士の街ではなく、商人の街であることから、お上よりも「商売」を尊ぶ気風が生まれたと言われている。
そのため、大阪の人間は「お上の威光」が大嫌いで、お上に楯突くことを喜ぶ気風がある。

形ばかり気にして中身の伴っていない人のことを「ええかっこしい」と軽蔑するのも大阪人ならではかもしれない。

キューズモールもデザインや見栄えにこだわっている部分もある。
しかしその部分はどうもあまり評価されていないのではないかと感じることがある。
広大な面積のキューズモール内には、当然、複数の休憩スペースが設けられている。
その中に「三姉妹の部屋」というデザインにこだわったスペースがある。
長女、次女、三女それぞれの部屋に見立てた休憩スペースである。
通常の休憩スペースが効率的に狭い場所に、多くのソファーやベンチを並べただけにあるのに対して、この部屋は、比較的広い場所に椅子がわずかしか置かれていない。あとはデスクや棚などがディスプレイとして飾られている。

どうもこの「三姉妹の部屋」で休憩する人間は少ないようである。
通常の休憩スペースがぎっしり埋まっているにも関わらず、三姉妹の部屋を利用する人は少ない。
おそらく、大阪人は「デザインだけが凝ってて実用性が乏しい」と判断しているのではないかと思う。
これも実に大阪らしい現象だと思う。

そう考えてみると、一見してカオスなブランドラインナップと階層構成を誇るキューズモールは実に、大阪人の気質を反映した商業施設と言えるのではないだろうか。
東京では絶対に成功しない商業施設。今回のキューズモールの構成は故意か偶然かわからないが、もし、故意だとすると組み立てたプランナーの大阪人に対する洞察はかなり深いと言わねばならない。
偶然なら怪我の功名だろう。

 comment
  • okadatx より: 2011/08/05(金) 10:21 AM

    先月の27日以来の画像付きブログだね!
    私的にはこうして画像あったほうがなぜか記事を読む気になるのよね~^^
    記事全体の見た目バランスもいいし♪

  • sachikox より: 2019/09/02(月) 3:40 PM

    あべのキューズモールが好きな主婦です!この記事を読んで、やけに納得させられました!当時、この建物が出来た時のコンセプトは、現代の「公設市場」と見立てて建てられたそうですよ!温かみがあって、安くて品質の良いものがずらり、、。毎日毎日、主婦や地元のひとたちが訪れるのは当たり前やねんな!、と思います。

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