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南充浩 オフィシャルブログ

百貨店店舗別売上高ランキングから見る高島屋の強さ

2016年12月8日 百貨店 0

 百貨店の売上高は何かと話題になるが、実際のところ業界人でも百貨店各店の売上高と売り場面積をどれくらい正確に踏まえて話しているのかは不明である。

もちろん極めて正確に把握して論じておられる方もいるが、そうではなく感覚的にわめいている方もおられる。前者は聞くに値するが、後者はまったく何の益もない。

直近の百貨店各店の売上高をまとめたブログがある。

http://motokadenchan.seesaa.net/article/441488448.html

これは今年8月17日の日経MJに掲載されたデータを転載したものだそうだ。
それでは引用させていただく。

【2016年 全国百貨店 店舗別 売上高ランキング】

順位 店舗名     売上高   対前年比

1位 伊勢丹新宿本店 2,724億円(+5.4%)
2位 阪急うめだ本店 2,183億円(+10.4%)
3位 西武池袋本店  1,900億円(+1.4%)
4位 三越日本橋本店 1,683億円(+1.7%)
5位 高島屋日本橋店 1,366億円(+5.2%)
6位 高島屋横浜店  1,320億円(-2.1%)
7位 JR名古屋高島屋 1,301億円(+3.2%)
8位 高島屋大阪店  1,276億円(+4.2%)
9位 松坂屋名古屋店 1,248億円(-0.6%)
10位 そごう横浜店  1,142億円(+1.1%)
11位 あべのハルカス近鉄本店 1,026億円(-1.0%)
12位 東武池袋本店  1,019億円(-3.1%)
13位 小田急新宿本店  949億円(+2.4%)
14位 東急渋谷本店   918億円(+3.0%)
15位 大丸心斎橋店   910億円(+7.8%)
16位 高島屋京都店   859億円(+1.8%)
17位 三越銀座店    852億円(+14.6%)
18位 大丸神戸店    850億円(-1.1%)
19位 JR京都伊勢丹   801億円(+1.3%)
20位 名古屋栄三越   791億円(+1.4%)

記事中でも断りがあるようにこれは2015年度の売上高である。
例えば、三越伊勢丹HDの決算期は3月なので2015年4月~2016年3月までの売上高ということになる。
だから正確にいうなら、2016年(2015年度)売上高となる。

記事には50位まで掲載されているので興味のある人はそちらで見ていただきたい。

もちろん現在商戦真っ只中の2016年売上高はこれとは異なる推移をしていることは言うまでもない。

今年4月以降不振が報じられている1位の伊勢丹新宿本店はこの数字よりは確実に低くなるだろう。
連日、一般紙で報道されているように売上高は減収基調で推移している。

同じく、不振と伝えられる三越銀座店も数字は低くなると考えられる。

じゃあ、伊勢丹新宿店がすぐにでも大減収するかのような報道が正しいのかというとそうでもない。
売上高1位の座は変わらないだろう。

また、売り場面積で見ると伊勢丹新宿本店の効率は圧倒的である。
伊勢丹新宿本店は6万5000平方メートルしかない。

2位の阪急うめだは8万平方メートルもある。
11位の近鉄百貨店あべのハルカスは10万平方メートルもある。

そういう意味では伊勢丹新宿本店は限りなく強いといえる。

その一方で、「伊勢丹」という屋号の店は新宿本店のみが突出しているだけで、それ以外の店の売上高はランクインしないほど小さい。そのため、「伊勢丹」という屋号は恐ろしくバランスが悪い組織体だといえる。

三越の屋号の店は3店舗ランクインしており、伊勢丹よりはバランスが取れているといえる。

伊勢丹と同じくらいバランスが悪いのが阪急だといえる。
うめだ本店のみが突出しすぎている。

その昔、あるメンズアパレルの当時の某役員が「ファッション関係者は伊勢丹、阪急を特別視するが、企業としてロットがまとまる取引先は高島屋であり大丸であり三越である」と教えてくださったことがある。
まだ百貨店が合併する前の2000年ごろのことである。

その名残は今もランキングを見る限り残っており、三越、大丸はまだ大型店が20位内に複数存在している。

さらにいえば、高島屋の強さがこのランキングでは際立っているといえる。
20位以内に5店舗ランクインしており、これは百貨店としては最多である。
うちJR名古屋高島屋だけはJRとの合弁だとはいえ、他の百貨店に比べてそのバランスの良さは群を抜いているといえる。

ちなみに50位までにランクインしている店舗だと高島屋は新宿と玉川の2店舗が加わり、JR名古屋高島屋も含めると7店舗が50位以内にランクインしていることになり、店舗数では他の百貨店グループを圧倒している。

大丸も50位まで広げると、さらに5店舗が加わるためこちらもまずまずのバランスだといえる。

2016年春以降、各百貨店は再び不調に転じてしまったが、今後このまま百貨店の販売状況が回復せずに落ち込み続けていくとして、最後まで残る百貨店は、業界人の大好きな伊勢丹や阪急ではなく、高島屋になるのではないかと個人的に見ている。



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