国産品としてのコストパフォーマンスに優れるエドウイン
2015年3月31日 未分類 0
先日、エドウインの今秋冬展示会にお邪魔した。
エドウインのコストパフォーマンスを改めて認識した。
今春夏は「来るぞ、来るぞ」と言われ続けてきたデニムがやっとトレンドとなった。
この「デニムトレンド」はかれこれ3シーズンくらい言われ続けてきたことであり、正直「やっと来たのか」という感覚である。
ジーンズをわざと破るクラッシュ加工や、そのクラッシュ加工をもう一度補修するリペア加工が今春夏は人気である。
どちらも似たようなものだが、単に破っただけのクラッシュ加工だと、その破れ目から肌が見える。
一方のリペア加工は穴を当て布でふさいだり、破れ目を再縫製したりするので、肌が見えない。
エドウインの営業マンによると、今春夏、女性はクラッシュ加工、男性はリペア加工を好む傾向が強いという。
クラッシュ加工の商品は穴が開いているので、夏場に着用すると涼しい。
筆者も少し破れたジーンズを、かつて持っていたことがある。
生地がそこそこ分厚かったにもかかわらず、穴から熱が放出されるので、夏場でも割合に涼しい。
反対に冬はだめだ。穴から熱がどんどん逃げていくので、モモヒキを穿かないと着用は難しい。
リペア加工なら穴がふさがっているので冬でも着用できる。
反対に夏は通常のジーンズと同様に暑い。
こんな特性がある。
今年の正月に、両ひざに大きく穴が開いたジーンズを着用している若い男性を見かけた。
モモヒキを穿いておらず、両ひざが丸見えだった。
かなり寒いだろうと他人事ながら心配してしまった。
そのクラッシュ、リペア加工だが、エドウインでも好調で出荷ベースでは完売だという。
追加オーダーがあったのでこれから増産に取り掛かる。
10何年前にもクラッシュ・リペア加工ブームがあった。
クラッシュ加工もリペア加工も加工賃が高い。
破れるまで擦って、破れた穴をわざわざふさぐのだから、通常の洗い加工の何倍も加工賃がかかる。
以前のブームのときに聞いたことがあるのだが、加工賃が5000円もした商品もあった。
だからクラッシュ、リペア加工商品は店頭販売価格も高くなる。
加工賃が上乗せされているからだ。
店頭販売価格2万円とか3万円の商品も珍しくない。
それをエドウインは縫製、洗い加工とも国産で12000~13000円で発売している。
売れないはずがない。
圧倒的なコストパフォーマンスといえる。
以前のクラッシュ、リペア加工ブーム時には一つの弊害が生まれた。
それは何かというと、洗い加工がジーンズの出来を左右するというような風潮が生まれてしまった。
各工程に貴賤はない。それぞれの工程は必要不可欠である。
どれか一つの工程がジーンズの出来を大きく左右するというようなことは本来ありえない。
今回のブームでかつての風潮が復活しないことを願うのみである。
話を戻す。
あまり出回っていないが、国産で5900円商品もある。
一部の中・低価格チェーン店向けの商品だが、国産で5900円は圧倒的といえる。
エドウインは縫製、洗い加工で自社工場を所有している。
(洗い加工に関しては国内最大手の洗い加工場、豊和とも長年契約している)
このあたりのコストパフォーマンスは自社工場ならではといえる。
国産でこの価格帯で商品を製造できるのはエドウインだけではないか。
好き嫌いは別としてジーンズの販売数量でもっとも多いのは、ユニクロである。
エドウインの経営危機問題の際には、エドウインが直営店化すればユニクロに迫るジーンズ販売数量が見込めるのではないかと主張する人もおられた。(あくまでもジーンズに関してのみ)
その主張には大いに賛同するが、これから大規模に直営店出店をするのは資金的にもなかなか難しいだろう。
また卸売業のエドウインに小売店運営のノウハウが蓄積するまでにはかなりの時間がかかるだろう。
完成形態は容易にイメージできるが、そこに至る道のりが果てしなく険しい。
あまり知られていないかもしれないが、直営店への挑戦はこれまでも何度もあり、そのたびに失敗して撤退を繰り返してきた。
かつて某役員が主導したものの、見込みの甘さと計画の杜撰さから、すぐさま撤退した原宿店なんていうのもあった。
このコストパフォーマンスを生かした直営店というものを新生エドウインとして実現してもらいたいと思うが、それにはかなり時間が必要となるだろう。
それよりもこのコストパフォーマンスと、自家工場を抱えての物作りの姿勢を広く消費者に浸透させる方が先だろう。すでに物作りをアピールするプロジェクトが始動しているからそちらに大いに期待したい。