MENU

南充浩 オフィシャルブログ

売れ残り品は値下げ処分販売して換金することが重要

2024年6月26日 トレンド 0

今年に入ってからユニクロでほとんど服を買っていない。記憶が確かなら2枚である。

一方、ジーユーではそこそこ服を買っている。前回も990円に値下がりした本革サンダルを買ったことを書いている。思い出せるだけで9点(サンダル込み)買っている。

理由は2つある。

1、ユニクロの方が商品デザインに保守的な物が多いから

2、ジーユーの方が値下げ幅が大きいから

である。

いろいろな識者が指摘されておられるようにユニクロ、特に本体ライン(コラボ商品ではなく)はトラッド的な物が多い。当方くらいの老齢になっていると、もう過去に似たような物を買ってしまっているから、今更ユニクロで買う理由がない。

そして値下げである。原価高騰やら送料高騰、人件費高騰もろもろの影響で、ユニクロもジーユーもともに商品定価は少し上がっていて値引きは渋くなっている。

ユニクロの場合、軽衣料は別としてだいたい1990円に値下げをして売り切りたくて、最悪譲歩して1290円で売り切りたいという値下げ手法になっている。

ジーユーとて、何とか値下げせずに1490円とか1290円で売り切りたいのは同様だが、最終的には990円に値下げされる。

そうなると、デザイン的にも目新しい物があって、990円に値下げされるジーユーで買うという購買行動になってしまう。

 

 

「値下げ処分=悪」みたいな風潮がアパレル業界の中にはあるが、ユニクロもジーユーも値下げ幅は渋くなったとはいえ、在庫量を見ながら値下げ処分を躊躇なく行っているし、ジーユーは何なら最終的には思い切りよく990円に値下げをしてしまう。それでも決算報告を見ればわかるようにユニクロもジーユーも堅調を維持している。

ということは値下げ処分自体が業績を低迷させるわけではなく、値下げ処分の内容とか、それに至るまでの仕込み数量とかその辺りに問題があるのではないかと考えざるを得ない。

 

「値下げ」を適正化する仕組みとスキル【小島健輔リポート】

この記事に書かれている考え方には基本的に賛成である。

 

「値下げ」は限りなくゼロが理想と思われがちだが、計画通りに販売消化が進むはずもなく、在庫を換金して新鮮な在庫に入れ替え「売り上げ」という分母を稼がないと販管費が粗利益を食いつぶしてしまう。「値下げ」は許容範囲にコントロールできることが重要で、それには商品特性による調達と陳列運用・補給の連携、売り切り運用と売価変更のスキルが問われる。

 

とあるがまさにこの通りである。

要は「粗利益」の目標値を崩さない程度の値引き処分はあってしかるべきである。

 

 

実際に店頭業務に携わってみればわかるが、よほどの超人気商品以外はどんなに販売員ががんばって売っても売れ残りは出てくる。

そのまま棚に並べ続けても売れるはずもないし、次の商品の仕入予算・製造予算を確保するためにも換金しなくてはならない。とすると、粗利益の目標値を崩さない範囲で値引きして処分するほかない。

売れ残った衣料品を1年間も2年間も並べ続けても売り切れるはずもない。そうなると、値下げ処分するほかない。人気絶頂で品薄状態が続いていて、各家電量販店も値引き販売をやめてしまったガンダムのプラモデルでさえ、不人気品番がある。その不人気品番はだいたい20~30%超の値引きで処分販売されている。これが現実である。

どうしても値引き処分販売をするのが嫌なら、20年間くらい倉庫で寝かせておいてはどうだろうか。

そうすれば「デッドストック」とか「ビンテージ」とかテキトーな看板を付けて値打ちをブッコいて高く売ることができるかもしれない。

まあ、貴社に20年間在庫として寝かし続けられるほどの資金力があるなら、という話だが。(笑)

 

 

「値下げ」は粗利益を削り正価の信頼感を損なってブランド価値を毀損する諸悪の根源と思われがちだが、商品販売においては計画に対する許容範囲内で販売消化が進行して在庫が換金され、在庫もキャッシュフローも回っていくことが至上命題で、在庫の換金回転を許容範囲に収めるのに必要なら「値下げ」はちゅうちょされるべきではない。商品特性に適した調達と在庫運用が連携され、「値下げ」のタイミングや手法が適切で許容範囲に収まるなら是とされるべきだろう。

 

とのことだが、これもその通りである。

 

この後、この記事は商品の性質を「ファストアイテム」「ランニングアイテム」「インベスティメントアイテム」の3つに分け、今現在の流行り物で来年まで寿命が持たない一過性トレンドの「ファストアイテム」は早々に値下げ処分すべきだと説いているがこれもその通りである。そんな物は来年まで持ち越しても売れない。

 

 

では値下げ処分を極力減らすにはどうすれば良いのかという話になるが、これは専門外なので、詳細に語る能力がない。MDの専門家にお願いされるのが適正な処置だろう。

次善の仕入れ・製造の発注数の精度を極限まで高めるという作業が必要不可欠になるということはド素人たる当方にもわかる。

発注数量が過不足無ければ、売れ残りは発生しない。ただ、そのためのノウハウを提示することは当方の手には余るので、まともなMD専門家にご依頼されるべきである。

 

 

アパレル業界には「プロパー消化率こそ命」みたいなコンサルタントが跳梁跋扈していて「値引き処分=悪」という風説を流布しているように感じられるが、もちろん定価販売する努力は大切だが、何が何でも死守すべき指標では決してないと当方は考えている。

それよりも仕入れ数量・製造数量の精度を高め、それでも売れ残るならさっさと値下げ処分して換金すべきである。各社のMDやバイヤーは仕入れ数量と製造数量の発注精度を高めるという努力を行うことが値引き処分を減らす近道になるといえる。

この記事をSNSでシェア

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ