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南充浩 オフィシャルブログ

東京市場との温度差

2015年2月5日 未分類 0

 「ファッションは我慢だ」と昔はよく言われた。
寒いけど薄着の人とか、暑いのにびっしり着込んだ人とかそういう人が昔は多かったようだ。
今だとそういう人は、寒いけど真冬でも短パンを穿いている短パン社長か、真夏でも服装規定の異様に厳しい一部企業に勤めるサラリーマンくらいだろうか。

先日、靴下・肌着のチュチュアンナの今春夏展示会にお邪魔した。
レディース商材がメインの会社だが、昨年はくるぶし丈の白無地靴下が好調だったという。
昨年秋から現在にかけてもくるぶし丈の靴下が好調に動いているとのことで、今春夏もその傾向が続くという判断である。

写真 21

(チュチュアンナの今春夏企画)

この時、東京からの客人を同行していたのだが、この客人によると、
「東京だと今も生足にくるぶし丈の靴下の女の子多いですよ」とのことだった。

え?この寒さなのに?たしか今日、東京は雪降ってましたよね?

これには少し衝撃が走った。
酎ハイの正式名称が焼酎ハイボールだと知ったとき以来だ。

というのは、今の時期、関西圏ではそういう女性はあまり見かけないからだ。
大概がパンストかタイツを着用している。
くるぶし丈の靴下を着用するとしてもその上からである。
彼女らが生足にくるぶし丈靴下を着用しない理由はおそらく「寒いから」である。
長ズボンを着用している男性ですら、寒さが苦手な人は真冬にはズボンの下にパッチ、モモヒキを着用する。
生足を露出するのはそりゃ寒いことだろう。

寒いからという理由でパンストやタイツを着用することは理に適っているし、当然の結果だと思う。
無理して真冬に生足を露出する必要は毛頭ない。

しかし、東京はそうではない人が一定数存在するようだ。
それはトレンド情報に忠実だということだろう。
そういう人が一定数存在するから東京をウォッチすることでトレンド情報がある程度明確になる。

ファッションにあまり熱意のない筆者からすると、逆に「そこまでしてトレンドに忠実である必要があるのだろうか?」と疑問を感じてしまう。

おそらく、そこまでトレンドに忠実な人々というのは東京都内以外の地方ではあまり存在しないだろう。
もちろん各地方の人口が東京よりも少ないからトレンド忠実層も比例して少ないことは推測に難くない。
それでも、筆者の独断かもしれないが、東京には人口比率からしてもトレンド忠実層が多いように感じてしまう。

ファッション業界人としてはそういうトレンド忠実層をもっと増やす方が良いのだろうが、筆者はファッション業界人ではないから、そういう無理をする人を増やすことはどうにも賛成しかねる。

そんなことをつらつらと考えていたら、先日暖かい日に、大阪市内で生足にくるぶし丈靴下を着用した女性を見かけた。
関西人は気温の上がり下がりに実に正直である。

写真 11

(暖かい日に大阪市内で見つけた生足にくるぶし丈靴下を着用した女性)

トレンド忠実層が他地方よりも比率的に多いから東京は世界でも有数のファッション都市なのだろうが、個人的には気温の上下に左右される地方民のファッション感覚の方が、親近感を覚える。
省エネの観点からしても寒ければ着込んで、暑ければ薄着になれば良いと思う。

反対にトレンド忠実層が多い東京市場ばかりを見ているから、それが全国平均だと見誤り、商品企画を失敗する例が多いのではないかとも思った。

さてと、今日も寒くなるらしいから厚着をして過ごそう。

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