値引き販売がある通常のカジュアルブランド化しつつあるワークマン
2024年1月23日 お買い得品 0
仕入れたり製造した商品が値引き無しで売り切れることは商売の理想だが、現実はそう甘くはない。
上手くやってよほどの人気が出れば、小規模なうちは値引き無しで売り切ることも可能である。個店の人気パン屋とか個店の人気ブティックなんかがそれにあたる。
で、この個店人気パン屋や個店人気ブティックが店舗網を拡大し中規模チェーンになると、かならず売れ残り品が発生し、賞味期限切れ間近の商品を値引き販売せざるを得なくなる。
完全プロパー販売は商売の理想ではあるが、食品であれ衣料品であれ、規模を拡大してしまうと実現は難しい。
これまでワークマンは本業の作業服向けと伸びしろのあるカジュアル向けを両立させることで近年の急成長を遂げてきた。
低価格カジュアルブランドの多くはその生産数量・仕入れ数量の多さから必ず値下げ販売がつきものだったが、ワークマンは、作業服の商品寿命サイクルの長さを活かし「カジュアルで売り切れなくても、作業服としてなら3年くらいは売り続けられる」とのことで値下げ販売をしないことが特徴だったが、売上高1600億円規模にまで拡大し、作業服に比べて商品寿命が短いカジュアル用途が拡大すると、ついには値下げ販売せざるを得なくなった。
現在、ワークマンの公式通販サイトには20品番のセール品が並んでいる。
値下げ商品 | ワークマン公式オンラインストア (workman.jp)
ワークマンの実店舗は店舗ごとに品揃えや売れ行きが異なるので、全品番を実店舗で見つけることは難しいだろうが、この中の1品番や2品番くらいなら実店舗で見つけることができる。
当方は久しぶりに天王寺MIO6階のワークマン女子を覗きに行った。
すると、この値下げ20品番の中の「フレイムテック2ウェイウォームマウンテンレインパーカー」があった。
FLR1001 フレイムテック(R)2WAYウォームマウンテンレインパーカー | ワークマン公式オンラインストア (workman.jp)
店頭でもこの通りである。
定価4900円が3500円に値下げされており、割引率は28%である。
ワークマンの値下げ品はどれも今のところだいたい20数%~30%オフで、30%オフを越える値引き率は見たことがない。
恐らくほとんどの商品は30%オフで売れるのだろう。
通常のカジュアルブランドなら30%オフどころか50%オフ、70%オフ、80%オフ商品も珍しくないからワークマンの割引率は通常のカジュアルブランドに比べると小さい。また品番数もサイト上で20品番にとどまっているので少ないといえる。
またこんな動画もアップされているので、ワークマンの値下げ品を購入する際の参考にされてはどうだろうか。
低価格品を買う際には結構参考になるので、当方もすべてはないがそこそこ見ている。
「ナイロンポリエステル」と名乗るだけあって、薄っぺらな有象無象の芸能人気取りのファッションユーチューバーよりは素材や縫製のことに詳しい。
ここでは先に挙げた「フレイムテックパーカー」以外のワークマン値下げ品を4品番紹介されている。
チャンネル登録者数は現時点で8万4300人となっている。芸能人気取りのファッションユーチューバーではないことを考えるとかなりの多さだといえるだろう。
2021年末か2022年初頭、2023年初頭のいずれかの時期か失念したが、なんばシティのワークマン女子で1280円に値下がりしたウールハイゲージ丸首セーターのグレーを買った。
無地グレーのウール100%のハイゲージ丸首セーターなので何枚あっても邪魔にはならないだろうと思って、定価1900円が1280円に値下がりしていたので購入したわけだが、このとき初めてワークマンで値下げ品を見つけた。ちなみにワークマン女子のなんばシティ店オープンは2021年4月のことなので、買った時期は2021年末か22年頭、23年頭のいずれかということになる。
つまりはこの、なんばシティ店オープンのころには、わずかながらも売れ残り品を値引きセールで売るという状況が発生し始めていたということになる。
ワークマンは成長エンジンとしてカジュアル化・ファッション化を進めており、ワークマンプラス、ワークマン女子、ワークマンカラーズ、ワークマンプラス2とその業態を増やしている。
そうなると、今後ますます「カジュアル用途衣料品」の製造・仕入れ数量は増えるだろうし、品番数も増えるだろ。数量と品番数は増えれば増えるだけ定価での売り切りは難易度が高まる。
これはまともなマーチャンダイザーなら誰でも理解している基本である。
極端にいうと1品番100枚だけを扱っているなら売り切ることも可能だが、5000品番で各品番5万枚なんて規模になると必ず売れ残る品番が出てくる。
そして、カジュアル用途は伸びしろがある一方で、実需ではない性格が強いため、ブームが起きて売り切れる品番も出現しやすい一方で、死筋と呼ばれる大爆死品番も出現しやすい。何しろ消費者の曖昧な嗜好に購買を依存しているのだから。
さらには、販売サイクルも作業服に比べると短く、長く引っ張っても2シーズンくらいである。ユニクロは、昨シーズン物と今シーズン物を同時に販売しているが、昨シーズン物は必ず安くなっている。ウルトラライトダウンなんて今シーズンと昨シーズンでさほど変わらないので、当方は昨シーズンの残り物を安値で買っている。
カジュアル業態を拡大しているワークマンは、今後、確実に値引き品番数は増え、値引き率は高くなるだろう。特にカジュアル専用品番はそうなる。
低価格ながら値下げ販売をしないというワークマンは急成長と引き換えにほぼ通常のカジュアルブランド化したといえるだろう。