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南充浩 オフィシャルブログ

熊本店のみになってしまったベネトンメガストア

2014年12月11日 未分類 0

 この数年H&M、ZARAなどのグローバルSPAが注目されている。
何せ、ユニクロは記事掲載できないという媒体でもなぜか同じ価格帯のH&Mは嬉々として掲載している状況である。
一時期ほどの勢いではないが、まだまだ注目度は高いといえる。

フォーエバー21はこの2社に比べるとちょっと一格落ちるというのが筆者の見方である。
GAPもまだまだ根強い。日本での現在の売上高がどうなのかは知らないけど。

国内のアパレル業界もメディアも舶来コンプレックスがあるのか、いまだに外国ブランドのことは盛んに報道する。

そんな状況下にありながら、この間、さっぱり話題に上らなかったのがベネトンである。
イタリアを拠点とする元祖グローバルSPAで、80年代~90年代半ばまでは注目を集めていたブランドである。

そのベネトンの表参道のメガストアが12月21日に閉店するという。

ベネトン表参道が12月21日に閉店
http://www.wwdjapan.com/business/2014/12/10/00014706.html

ベネトンジャパンは、大型旗艦店「ベネトンメガストア表参道」(3フロア・売り場面積約1000平方メートル)を12月21日に閉店する。同店は日本初の「ベネトンメガストア」として2000年12月に開店以来、日本におけるベネトンの顔だった。「ベネトンメガストア」は伊ベネトン本社が00年前後から戦略的に世界主要都市で出店を推進してきた大型旗艦店。同店の閉店によって、新宿、神戸、梅田、心斎橋、京都、名古屋、札幌、福岡などにあった国内の「ベネトンメガストア」は熊本のみになる。

とのことである。

ちなみに

ショッピングモールやファッションビルでの店舗は、現在42店(アウトレット店含む)営業している。

ともある。

そう、メガストア戦略は2000年からスタートし、2000年代半ばまで国内主要都市に順調に出店していたように見えた。

しかし、2000年代後半になると出店が止まり、逆に徐々に閉店が始まった。

筆者は関西在住なので梅田、心斎橋店は定期的に見ていたし、ときどきバーゲンで投げ売り商品を買っていた。
京都、神戸店は仕事で出かけたついでにときどき立ち寄っていた。

中でも心斎橋店にはよく立ち寄っていたのだが、夏冬のバーゲン時期でもそれほどの混雑はなかったし、平常時にはほとんどお客が入っていなかった。
傍目から見ていても、正直「よく閉店しないでやっていられるよな~」と思ったものだったが、結局は閉店してしまった。梅田店は心斎橋店よりも客入りは多かったが、それでもあの立地であの客入りではなかなか厳しかったのだろう。
梅田店は閉店し、代わりにヨドバシカメラ梅田店に小型店舗が入店している。

個人的な好みでいうと、このころのベネトンの商品は今のZARAよりも好きである。
定価は今のZARAと同等かものによっては少し安い。ただし、メガストアの頃は商品入荷から一定期間が過ぎると自動的に値下げされるというSPA方式ではなく、日本の当時の商習慣に合わせて夏冬のバーゲン時に値下げするというやり方だった。
このため、客入りはバーゲン時に集中してしまいがちだった。

ZARAはセクシーモード系が重視されているが、このころのベネトンはどこかトラッド感のあるイタリアンカジュアルで適度にトレンドも入っており、筆者には着まわしやすいブランドだった。

もともとニットからスタートしたという背景の通りに、セーター類の出来はかなり良かった。

最近は原料高の影響からかヨドバシカメラ梅田店で見ると、往年よりもセーターのクオリティは低下しているように感じる。

盛者必衰とはいうが、ベネトンのこの退勢ぶりには驚いてしまう。

賞味期限が切れ、ブランドとのしての役割が終わったということだろうか。
手ごろな価格で購入できるグローバルSPAとしてはZARA、GAP、H&Mがある現在となっては市場での存在価値が低下しているといえる。残念なことなのだが。

それにしても、各グローバルSPAは、大型店の出店をいまだに続けている。
出店場所によっては使い分けて中型店・小型店を出店するが、旗艦店や路面店は基本的に大型店である。
これはユニクロも同じだ。

しかし、ベネトンは2000年代後半からメガストアを閉店し、中型店・小型店にシフトしている。
世のトレンドに逆行しているといえる。
その理由と狙いはなんだろうか?
このあたりの背景はまた取材したい。

筆者の知り合いで、ベネトンの中型店・小型店シフトの計画立案に携わったことがあるといっておられる方がいる。その方にはいまだに詳しい話を聞けてはいないのだが、今の出店形態と当時の計画段階では相当に違いがあるそうで、現在の形態なら中型・小型店シフトを進めなかったともおっしゃっておられた。

このあたりの話も機会を作って詳しく聴いてみたいと思う。

たしかに関西圏にある店舗だけを見ていると、現在の中型・小型店戦略はあまり効果がなさそうに見える。
ショッピングセンターやヨドバシカメラでは同規模の他のテナントに埋没してしまっている。
以前とは異なり、ベネトンのニュースが掲載される機会は減っているからこのあたりの狙いはイマイチ見えにくい。

まさに栄枯盛衰である。

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