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南充浩 オフィシャルブログ

またしても弱者が強者に追随するのか?

2014年12月5日 未分類 0

 ユニクロが来春夏向け商品を発表したそうである。

ユニクロ、グローバルデザイン担当リアン・ニールズが手がける2015年春夏の新作発表
http://www.fashionsnap.com/news/2014-12-04/uniqlo-2015ss/

写真で見ただけの感想で言うなら、デニム生地を使ったアイテムは相当良さげに見える。
中途半端なジーンズブランドは太刀打ちできそうにない。
それ以外のアイテムだとレディースは全般的にメンズに比べるとやはり弱いのかな?という印象も受ける。

まあ、そんな感じだが、記事の中に気になる個所があった。

毎シーズン進化しているジーンズは、カイハラ製のストレッチを加えたセルヴィッチデニムや、カイハラと東レとの共同開発により従来比約20%の軽量化を図ったスキニーフィットテーパードジーンズ、そしてクラッシュやダメージなどの加工を施したモデルなどが発表された。

とある。

ついにストレッチ混のセルビッジデニムが登場するようだ。
また軽量デニム生地も投入される。

クラッシュやダメージ加工に関してはあまり筆者は興味がない。
好きにやっていれば良いと思う。

以前から何度かこのブログで提案してきた生地だが、最初に着手するのはユニクロになってしまった。
ユニクロの目の付け所には感服する。

ここ、最近のデニム生地のトレンド傾向は、ストレッチなどの機能性が重視されてきた。
「〇〇年代の凹凸感のあるデニム生地を忠実に再現しました」なんていうビンテージ感あふれるデニム生地はかなりニッチなマニア層だけが好む状況が続いていた。

しかし、早晩、機能性をプラスしたビンテージ感のあるデニム生地が求められるのではないかと、一部のデニム製造関係者からは指摘があった。

ただ、関係者らの指摘に対して、いわゆるジーンズ業界は重い腰を上げなかった。
反応を示したのはユニクロだということになる。
これが現在の市場での売れ行きを反映した企業姿勢だといえるのではないか。

ユニクロがこのタイミングで商品を発表したということは、少なくとも1年前からその構想はあったということになる。

例えば、どこかのジーンズブランドが先んじて使用していれば、たとえユニクロで大ヒットしたとしても「当ブランドが先に使っていたのをユニクロが真似したんですわ」と言えただろうが、今回はユニクロが先行するから仮にジーンズブランドが追随すれば、それはユニクロの真似と見られても抗弁できなくなる。

おそらく、ジーンズブランドに限らず、他のブランドもストレッチセルビッジデニム生地に追随することになるだろう。

その場合は、「ランチェスターの法則」に照らし合わせると、販売数量的にも売上高的にも圧倒的強者であるユニクロを、弱者である他ブランドが追随するということになる。

強者の戦略は物量を生かした追随主義
弱者の戦略は独創性による一点突破主義

が基本だから、その基本をひっくり返すことになり、弱者には到底勝ち目はなくなる。

これまでユニクロと他ブランドの間で繰り返された「逆ランチェスターの法則」がまたしても発動するのかと思うと、少し暗澹たる気持ちになる。
これが日本のアパレル業界の実態なのだろうけど。

注: ジーンズメーカーに勤務する知り合いから先ほど、ストレッチセルビッジデニムを使った商品は一部ブランドからは発売されていたが、知られていないのはPR力が弱いためだという指摘をいただいた。
ありがたい指摘に御礼を述べたい。

ストレッチセルビッジを大々的にクローズアップして告知するユニクロと、一部で使用していたがほとんど告知してこなかったブランドとでは、ユニクロの販促告知手法が優れていたといえる。
何を告知すれば話題になるかということを見極める技量はユニクロが他社を何歩もリードしてしまっている。

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