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南充浩 オフィシャルブログ

機械類・システム類の導入をいたずらに急ぐ必要はないという話

2023年11月22日 トレンド 2

最近スマホを機種変更した。2年が経過してバッテリーがめっきり弱ったからである。

iPhoneSE2からiPhoneSE3に変更した。ご存知の通りSEというのは廉価版である。本チャンのiPhoneは最新機種が15だったかになっている。

当方は2011年秋からずっとiPhoneを使っているが、たしかiPhone4Sだったのではないかと記憶している。そこから2年ごとに機種変更してきたが、iPhone7を丸4年間使って、それで2年前にiPhoneSE2にした。確かその当時はiPhone8も終了していて11か12が最新機種だったはずだ。

iPhone10以降の本チャンの機種を使ったことがないので正確な使い心地は分からないが、当方はスマホにさほどの興味がないから、iPhone7の機能で十分なのである。欲を言えば、バッテリーがもっと長持ちしてほしいとかそういう希望はあるが、それ以外の不満はない。

なので15に変更する気などさらさら無かった。何ならもう一度SE2を使っても良いくらいである。

iPhoneが登場したころはガラケーとは全く違う使い勝手、機能に多くの人が飛びついた。iPhoneに限らず機械類というのは登場以降の数世代の間は飛躍的に機能が向上し続ける。

新しい物好きのトップ層は飛びつくが、登場からしばらくの間は価格が高く、さらに頻繁に機能性が向上するためすぐに買い替える必要が出てくる。

正直なところ、登場初期段階で機械類を導入するのは、よほど新しい物好きで資金に余裕がある人や企業が行う道楽だと思っている。

iPhoneも7とか8くらいになると、もう目に見えて機能性が飛躍的に向上することはない。機械好きのマニア視点からすると毎回機能性が向上している部分はあるのだろうが、当方レベルからすれば枝葉末節の向上に過ぎず、生活に何の影響もないので、それを手に入れたいとも思わない。

また2年後に機種変更することになるだろうが、その時の最新機種にする気などさらさらない。スマホという機械は多分行き着くところまで行き着きつつあると感じる。劇的な進化はもう起こらないだろう。

機能の進歩や世間の評価が行き着いてから安値で機械類を導入するというのが、最も賢明な選択ではないかと思っている。

 

繊維・衣料品業界や小売業界はデジタル化・自動化を進めるべきだという声が大きい。しかし、機械類にせよシステムにせよ導入には多額の費用がかかる。1台5000円程度で済む話ではない。

例えば、飲食店でいえば、最近の大手チェーン店は注文をタブレット端末で行うところが増えた。店員に注文するパターンだと、混雑時にはなかなか店員が注文を聞きに来てくれないということが頻発するので、タブレット注文はその待ち時間が削減できる。

しかし、タブレット型の端末機は1台何万円かするだろうから、仮に50席あったとしても導入費用は大変な金額になる。

そこで思い出されるのが、サイゼリヤの専用の紙の注文伝票に書いて店員に手渡すシステムである。もちろん、専用伝票の製作費はかかるが、タブレット端末代金に比べると安い物である。また、最近は勝男などの低価格居酒屋では、QRコードをプリントアウトした紙を渡され、それをスマホのカメラで読み取って注文するところが増えた。

これも紙にプリントアウトするための機械は料金がかかるが、それ1台で何枚もプリントアウトできるので、タブレット端末に比べると相当安い金額で導入できる。

 

当方は、タブレット端末は是が非でも導入しなければならないとは思っていない。もっと評価が定まってからでよいのではないかと思っている。

実際に繊維・衣料品業界でもやれデジタル化だ、やれAiだ、やれDXだと言っているが、機械類もシステム料金も高額である。おまけにどれもまだ評価が定まっていない。特にAiなんて2020年以降は一時期ほど持て囃されなくなっている。Aiで需要予想ガーと息巻いていた人たちは最近どうしているのだろうか。

まあ、新しい物好きで資金に余裕のある会社だけが飛びつけばよいのであって、そうではない会社は価格や機能が定まってから他社の例を鑑みながら導入すればよいのである。

他社に先に無料で実験台となってもらえるのだから、これほど安全なことはない。

 

2020年のコロナ禍くらいからか、少し前くらいから、飲食店・小売店のレジもセルフ化すべきだという論が多くあり、その論拠が「海外では導入が進んでいる」というものだった。

人手不足も顕著化しているというところも手伝ったのだろう。コロナ禍以前から大手スーパーなどではセルフレジがけっこう導入されていたし、小型スーパーでも導入されるようになった。

しかし、その「海外では」はセルフレジが廃止され始めている国もでてきたという。

 

やっぱり人間がいい… イギリスの高級スーパー、セルフレジをほぼ全店舗で廃止 | Business Insider Japan

 

  • イギリスのスーパーマーケットチェーン「ブース(Booths)」は、ほぼ全ての店舗でセルフレジを廃止した。

  • セルフレジは遅い、冷たい感じがするとの顧客からの苦情を受けての決定だった。

  • アメリカでも、ウォルマートやコストコといった大手小売店がセルフレジの見直しを進めている。

イギリスの高級スーパーマーケットチェーン「ブース」は、ほぼ全ての店舗でセルフレジを廃止し、人間の従業員が対応するレジと入れ替えている。

BBCによると、セルフレジを残すのは28店舗中2店舗のみだ。

 

とのことである。イギリスとアメリカの廃止理由は異なる。アメリカは多発する強盗化した万引き対策のために廃止している。一方イギリスは「冷たい感じがする」というつまらないオキモチによるところで、イギリス人の心情はさっぱり理解できない。

当方はもうセルフレジに慣れてきたので何の違和感もないが、スーパーによって導入機種が異なるので、現金投入口や釣銭返却口の場所がそれぞれ異なっていて不便さを感じる。ライフと万代とヨーカドーでそれぞれ異なっているのだが、慣れてしまえばどうということはないが、慣れるまでがめんどくさい。これでは新しい環境に適応しにくくなっている老人層がまごつくことが多いのも無理はない。

とはいえ、廃止になればなったで、セルフレジの機体料金というのも相当高額だと考えられるため、全くの無駄な投資だったということになる。

セルフレジにしても急いで大々的に導入する必要も無く、ある程度の評価や使い勝手が定まってから導入した方が賢明だったのではないだろうか。

機械類・システム類の導入の目的は業務の効率化であって速さ競争ではないのだから、少々遅れたところで何の問題もない。

 

 

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2023/11/22(水) 10:55 AM

    飲食店とかのタブレット端末での注文って、自分が食べたいモノを見つけるまでが面倒で嫌いっすw
    ま、慣れれば分かるんでしょうけど、普通に紙のメニューのほうが一覧性が高くて見やすいですわ。
    仕事なんかでも書類をモニターで確認するより紙に出力したほうが、ひと目で全部が見えるからやりやすいんですが、Z世代とかは違うんですかね?なにかの記事では、スマホだけで描いた漫画の話が出ていて、「よくそんな手間の掛かることをできるな」と呆れましたが、その作者も今はタブレット端末とかで描いてるらしいですw

    セルフレジも、ホント店によってバラバラで初めて行く店とかだとキンチョーしますね。この前、ダイソーで買い物したときは、店の人が一人レジの横に立って監視?していて更にキンチョーしましたw

  • 忍者猫 より: 2023/11/26(日) 11:34 AM

    紙のメニューやカタログのほうが一覧できて見やすいです。
    でも、電子の場合は、季節や日ごとの入れ替えが簡単(?)にでき、品切れ表示がリアルタイムにできる(?)点にメリットがありそうです。あと、データの使いまわしも利点です。

    セルフレジの方式というか、手順がお店や入れているマシンによって違うのはほんとに嫌です。ポイントカード、プリペイドカード、クレジットカード、現金などいろいろ選択肢がありすぎて、そのオプションに変更するタイミングがベンダーごとに違う。
    イラつくので、同じ店か現金支払いのお店に行くことになります。
    こういったシステムも、電子カルテと同じように、小さなベンダーが独自のセンスで作っているのか、方式が乱立していて、ユーザー目線というよりは、メーカー目線で品物が出てきているように感じられます。

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