MENU

南充浩 オフィシャルブログ

クイックレスポンスシステムは時代に合わなくなってきた?

2014年11月14日 未分類 0

 繊研プラスによると「マウジー」が復調しているそうだ。

バロック「マウジー」復調
http://www.senken.co.jp/news/baroque-moussy/

その理由の一つとして

QRやODM(相手先ブランドによる設計・生産)による商品調達を大幅に減らし、ブランドのアイデンティティーであるデニムを素材から開発することで、ブランドの顔を明確にした。

とのことで、90年代後半から2000年代前半にもてはやされたQR(クイックレスポンス)という商品供給システムは完全に時流に合わないシステムとなりつつあるのではないだろうか。

そういえば、昨日はワールドの2015年3月期中間連結決算発表だったが、赤字幅を拡大している。

http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/201411/0007500962.shtml

アパレル大手のワールド(神戸市中央区、非上場)が13日発表した2014年9月中間連結決算は、純損失が前年同期の23億6600万円から32億3600万円に拡大した。消費税増税やバーゲン時期の分散化などで売上高が減少したことが影響した。中間決算での最終赤字は3年連続。

 売上高は前年同期比3・1%減の1437億900万円。増税前の駆け込み需要による反動減に加え、台風による天候不順などで苦戦した。増税の影響は「アンタイトル」など高価格帯ブランドで大きかったという。

 営業損益は2億500万円の黒字から22億2700万円の赤字に転落し、中間決算で2年ぶりの営業赤字となった。経常損失も11億4500万円から29億9800万円に拡大した。

ワールドといえば、90年代後半に業界に先駆けてQRシステムを確立しており、それで好調を維持してきた。
2000年代半ばまでは。

今回の各社報道によると、反省点として「商品企画」が挙がっているが、10数年間熱心に導入し継続してきたQRが却って商品企画の能力を下げたのではないかと感じられる。

売れた物をすぐに供給するというQRシステムは販売側にとっては機会ロスが減るので夢のシステムだといえる。また在庫を抱えるリスクも極端に軽減される。
何しろ、ほとんど在庫を抱えず売れた物を売れただけすぐに供給されるわけだから。

POSレジデータを読み解けば先週に何が売れたのかがすぐにわかる。
そして、売れた商品を発注すればすぐに補充される。

ざっとこんな仕組みである。
理論上は夢のシステムといえる。

しかし、大きな欠点がある。
POSレジデータを基にするため、売れたという実績のある商品ばかりが追加補充されることになる。
売れた商品でランキングトップの枚数を誇るアイテムは大概が「ド」が付くほどベーシックなアイテムである。

例えば黒無地のVネックTシャツとか、白無地のクルーネックTシャツとかだ。

POSレジデータを素直に読めば読むほど、追加補充される商品は、「ド」ベーシックな商品ばかりとなり、何の変哲もないベーシックアイテム店のようになってしまう。
そんな店舗は無印良品だけで十分であろう。
実際、筆者の見る限りにおいてワールドの各ブランドの店頭も何度かそういう「ド」ベーシック店となっていたように映った時期がある。

また売れた商品がドンドン補充されるので店頭の新鮮さはなくなるし、個々のアイテムに対しても「今買わなければなくなる」という危機感を持たれなくなる。
どうせ、少し待てばまた補充されるのだ。バーゲンまで待ったって残っているだろう。

次に商品企画の独自性が限りなくなくなることである。

理想論から言えば、自社の企画スタッフが考え抜いて商品企画を定め、それをQRすることが理想である。
しかし、QRに頼り切ったブランドの商品企画は往々にして他社の売れ筋のパクリに陥ることが多い。
さらにそこでOEM/ODMに頼ると、OEM/ODM企業は複数のブランドの企画を請け負っており、勢い請負先の商品企画すべてがある程度似たり寄ったりになってしまう。
企画の大元がパクリなうえに、OEM/ODMでさらに似たり寄ったりの仕上がりになるため、ブランド間の同質化は避けられなくなる。
これで同質化しない方がおかしいといえる。

QRとODMの多用でマウジーが一時期低迷したことは無理からぬといえる。

ワールドの苦戦の要因は様々あろうが、今回反省点として挙がった「商品企画の悪さ」については強固に確立されたQR体制もその一因だったといえるのではないかと筆者個人は見ている。

蛇足ながら、ワールドの決算報道において「のれん代の償却」が義務付けられたことから、これを除いた場合を試算している記事があるが、それはあまり意味がないといえるだろう。
なぜなら、「のれん代の償却」はワールドのみに課せられたハンディではない。全社共通である。
償却しつつ黒字決算の企業も存在するわけだから、それは特殊要因でもなんでもない。

ブランドも時代によって変遷する。
システムも当然時代の変化に沿って変遷する。
QRを過剰に重視し、その上でOEM/ODMを多用するというシステムはそろそろ時代に適合しなくなってきたのではないかと思えてならない。

ツラツラとそんなことを考えてみた。

Message

南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ