続、繊維・アパレル業界は儲からない業界
2011年2月28日 未分類 0
先日「アパレルは儲からない」と書いたところ、よく分からない反響があった。「大儲けしたいならアパレル・繊維業界は不向き」という考えは変わらないのだが、少しだけ補足しておきたい。
きっかけは、東京拠点のイケイケブランドの若き社長さんが「この業界ってあんまり儲からないように思います」とおっしゃったことだった。儲かる儲からないの基準は人それぞれで、売上高20億円でも「儲からない」と思う方もいるし、今の自分なら売上高3000万円でも「十分に儲かった」と思える。
この社長さんの「儲かる」基準がどこなのかはわからないが、おそらく売上高10億円や20億円では「儲からない」と考えておられるのだろうと思う。
現在の状況では、商品を企画製造して卸売りを行うアパレルメーカー的ブランドでは、何千億円や何百億円規模の企業に成長することはほぼ難しいだろう。ユニクロやしまむらはこの20年での成長企業の筆頭に挙げられるが両方とも小売店である。反対にメーカー的アパレルでこの20年で急成長を遂げた企業はない。
そのユニクロでも国内一兆円を目指しているが、現況では大規模なM&Aを行う以外には到達できないと考えている。
だから「短期間に何百億円単位の売上高を求めるのであれば、アパレル・繊維業界ではなく、ほかの業界を目指した方が良い」と思う。今の業界でブランドを起こすなら数名くらいの従業員で、売上高5億円くらいを目指して利益を確保するのが一番適しているのではないだろうか。
元ドゥニームのカリスマデニム企画者である林芳亨さんも独立に際して「2~3人くらいの事務所で、1億円か2億円くらいの売上高を作るのが一番ええのんとちがいますか」とおっしゃっていた。知識と才能のある林さんなので、もう少し大きなビジネスを組み立てることは十分に可能だと思うが、50億円や100億円のビジネス規模は無理だろうと思う。(おそらく、その規模のビジネスをやる気もないと思うが)
昨年度の民間サラリーマンの平均給与は406万円と算定されている。男性だけだと500万円である。アパレル・繊維業界の男性従事者でこの平均給与500万円に到達している人間がどれほどいるだろうか。おそらく40歳代でも到達できていない人間の方が自分も含めて多数派だろう。こういうことから考えても「アパレル・繊維業界は儲からない」と思う。
「儲からないけどこの業界で仕事を頑張りたい」という人もいる。それはそれで良いことだと思うが「ビッグビジネスを展開したい」と思う方にはアパレル業界はあまり適していない。