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南充浩 オフィシャルブログ

クールビズの導入は正解だったという話

2023年11月21日 トレンド 0

大阪では11月11日からようやく肌寒さを感じるようになって秋らしくなってきたと感じる。

これくらいの気温になれば冠婚葬祭やエライ人とお会いする時にはスーツを着たり、ジャケットネクタイ姿になる気も起きる。

もともと暑さは苦手で子供の頃から夏は嫌いだったが、近年は35度の猛暑続きでさらに夏が嫌いになっている。以前にも書いたが猛暑日という言葉が作られたのが2007年のことでそれ以降、毎年猛暑日の日数は増え続けているらしい。

特に2015年以降、関西の夏は基本的に猛暑しかない。最高気温32度くらいだと「今日は少し涼しい」と感じるほどである。

 

朝起きて、仕事に行く際、昔から夏は汗だくになってしまう。だいたい自転車で8分くらいかかるのだが駅のホームに立つと汗が噴き出てくる。

昔はそれでもスーツやジャケットネクタイスタイルで通勤できていたが、フリーになってからは半袖Tシャツや半袖ポロシャツで駅に向かうがそれでも汗が噴き出る。

スーツ着用、ジャケットネクタイ着用だったらどれほど暑いのだろうかと想像するだけで恐ろしくなる。服装が自由なフリーであることに夏の間だけは感謝するし、気楽な服装でも相手があまり不快に感じないクールビズの浸透に感謝することしきりである。

 

メンズビジネスウェア業界(スーツ、ネクタイ、ワイシャツなど)からは不満の声が今でも上がっているクールビズだが、2015年以降の夏の猛暑続きを顧みると、クールビズの浸透はメンズビジネスウェア業界を除いては多くの人の一助になっているのではないかと思う。

そんなことを少し前にも書いたが、ちょうど同じ主旨の記事がクーリエ・ジャポンに今月掲載された。

米紙が指摘「日本の『クールビズ』は世界のモデルになれるかもしれない」 | 日本の一人当たりのエネルギー消費量は米国の約半分

日本が打ち出した冷房温度28度に確固とした根拠はない。

これはたしか近年、環境省自身が認めた発言を出していた。別に26度でも27度でも25度でも構わないのである。何となく28度に決められたというのが実態のようだ。

個人的には28度は暑い。湿度や日差しの強さ、周りの熱上昇具合にもよるが、半袖Tシャツ姿では当方は25度か26度の冷房温度が快適である。そのため、自宅では25度か26度に設定している。それ以上冷房温度を上げることは絶対にない。

ただ、半袖Tシャツ・半袖ポロシャツ姿なら28度でも耐えられないことはない。

 

これが、クールビズ以前のようにテイラードジャケットを着こみ、「欧米デワー」を基準にその下に長袖ワイシャツを着て、ネクタイを締めていたらとてもじゃないが28度では暑くて耐えられない。25度~26度でも耐えきれない。

当方の体感温度ならネクタイまでフル装備のスーツ姿で涼しさを感じようとするなら冷房温度は20度くらいになる。できれば18度がありがたい。

だが、そうするとスーツを着ていない他の女性社員にとっては寒すぎるだろう。また、CO2排出量など知ったことではないが、電気料金は今以上に高くなってしまう。

そうなると、28度という温度基準は意味不明だが、クールビズは猛暑が標準化しつつある日本の夏にとっては最適の選択だったといえるだろう。

 

ロンドンに本部を置くエネルギー研究所の統計によれば、この取り組みによって日本の一人当たりのエネルギー消費量は米国の約半分に抑えられている。

とある。

近年、声高に環境ガーと叫び声をあげている欧米諸国だが、以前どこかの記事で読んだのだが国連本部の冷房温度は21度くらいなのだそうだ。で、今回の記事でも

米国人は気温がもたらす不快感を敵視してきた。1970年代のオイルショックの際、ジミー・カーター大統領は、暖房の設定温度を下げ、衣服を一枚余分に着込むよう人々に求めたことで、国民の非難の的となった。夏には、米国のオフィスの多くでは、室温が低すぎるため従業員は小型の暖房やセーターに頼っている。

 

とあるから、まあ冷房温度は20度台前半なのではないかと推測される。日本に観光に来た欧米系と思われる白人が少なからず真冬に半袖半ズボンで練り歩くさまから考えてみると、彼らは寒さに強く暑さに弱い体質なのだろうから、夏は冷房をガンガンに効かせないと耐え難いのだろうと思う。

また、日本よりも高温多湿な台湾、香港、東南アジアでは、夏場はキンキンに冷房で室内を冷やしてビジネススーツを着ると以前から言われていたし、中国本土も同様だと中国通の繊維業界人から聞いている。

そのあたりを総合すると、28度という温度基準を定めたことに関しては大いに不満はあるが、25度~26度設定でも十分に涼しさを感じられる日本のクールビズの導入は正解だったといえる。

自動車の排気ガスが云々言う前に、欧米や中国などはクールビズを導入して冷房の温度設定を25度くらいに上げてはどうか。

 

クールビズについては導入当時からメンズビジネスウェア業界やファッションマニアから反対の声が多かった。しかし、普通の会社員はほとんどが電車かバス通勤をしていて、自宅から最寄り駅、停留所までは歩いて5~20分くらいかかっている。そうなると、当方のように駅に着いた時点で半袖シャツ1枚でも汗だくになる人もいるのだから、スーツ着用のままならどれほどの発汗量になるかは想像に難くない。

真夏に汗をかかずに通勤できるなんて人は、完全自動車通勤か自宅から会社まで送迎してもらえる人かだろう。

電車通勤の人は恐らく導入当初からクールビズに賛成だったのではないかと思う。当方はメンズ服装文化の維持なんかよりも暑さを軽減できる方が一億倍嬉しいので、クールビズ導入当時から大賛成だった。

 

今後は日本のクールビズを世界が取り入れるべきだろう。

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