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南充浩 オフィシャルブログ

ディテールが重要

2013年10月10日 未分類 0

 製造業者や加工業者が自社オリジナルの製品化に乗り出すケースが増えた。
しかし、大半以上はあまりはかばかしい結果が出ずに終わってしまう。

まず、マーケティングがほとんどなされていない。
コンセプトは?ターゲットは?そこに向けて売るための価格設定は?将来的な売上高目標は?などなど。
こういうものがだいたい顧みられていない。

コンセプトもターゲットも明確化されていないオリジナル商品など土台売れるはずもない。

次にデザインを軽視しすぎている。
ある生地メーカーが自社商品の販売会を開催したことがあるが、それまでは当然ながら自社製品など製造したこともない。デザインはどうするのかと心配していたが、社長自らが他社から請け負ったサンプルなんかを参考にして組み立てるという。
そんな簡単に売れる商品が作れるのなら、世の中は今頃売れ筋で溢れかえっている。

そしてデザインというと色柄や大まかな形ばかりを気にする傾向が強いが、実際は細かなディテールもデザインの一環でそれを間違えると売れるはずの商品も売れなくなる。

何度も例に出して恐縮だが、ストールを見てみよう。
ストールは型紙が要らず、細く切った生地の四方を縫うだけで製造できるのだが、だからと言って色柄のみに注力すれば良いというものではない。
まず、全長は何センチくらいにするのか?120センチか?150センチか?180センチか?思い切って2メートルか?
また端にはフリンジを付けるのか?付けないのか?
フリンジを付けるとするとフリンジの長さは何センチか?5センチか?7センチか?10センチか?

このような部分を軽視しがちだが売れ筋商品を作るためには重要な要素である。
これで売れるか売れないかが決まってしまう。
どんなに色柄が良かったとしてもこれらのディテールを間違えると、まったく売れなくなる。

で、そのような部分を工場の社長自らがコントロールできるとはまったく思えない。

先日、某加工業者から自社のストールについての工夫を教えていただき、感心させられた。
50代以上の女性に向けたストールを企画製造しているのだが、客層に適合すれば、百貨店の催事で1日に20万円~30万円は軽く売れたという実績がある。

で、その業者は、50代以上をターゲットとして考えているため、それに向けた工夫を凝らしている。
色柄は当然ながら、生地の厚さに細心の注意を払っている。
なぜなら、年配の女性は今の若者に比べて首が短く、多くの方々が肉付きが良くなっておられる。
そういう人をターゲットにする場合、巻いたときにボリュームが出るような生地の厚さにするべきではなく、なるべく薄手生地を使ってボリュームが出ないようにし、首の短い人でも比較的スラっと見えるようにしているという。

ターゲットを明確化し、それに売るために生地の厚さまで設計するような緻密さは通常の製品ブランドでもちょっと見当たらない。ましてや産地ブランドではほとんどない。

しかし、単に色柄や見た目の形だけではなく、こういう部分の設計も含めて「デザイン」である。

申し訳ないが生地工場の社長の多くがこういうディテールや設計を含めた「デザイン力」をお持ちであるとは到底思えない。
だから専門のデザイナーに依頼する必要がある。

工場の社長様方が「ワシらの感性」でデザインされるのは避けるべきなのだが・・・・。

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