衣料品業界には安易なインターネット通販救世主論があるように感じるが、実際のところ、インターネット通販の行き着く先は低価格競争にしかならない。

楽天は3月、6月、9月、12月の年に4回、楽天スーパーセールを開催している。
開催日は確定していないが、開催月は毎年変わらない。

Amazonは頻繁にタイムセールを開催しているし、タイムセール抜きでも商品の価格が上下動を繰り返し、驚くほど値下げされる瞬間もある。
Yahoo!ショッピングも値下げもあれば、割引きクーポンを配布することも多い。

ジーユーの通販サイトだって「オンライン限定割引品」がときどき出現するし、アダストリアホールディングスの「ドットエスティ」も在庫過多な商品はタイムセールを繰り返している。

どうしてこういうことになるかというと、実店舗の場合、そんなに数は多くないかもしれないが、店長や販売員に惹かれて安くもないのにその店で購入するという場合があるが、インターネット通販の場合は、そこには魅力的な店長も店員も存在しない。
ひたすら画面で商品画像とスペック、価格を見比べるだけである。

集客の手段に「値引き販売」「安売り」が占める割合は実店舗よりも大きくならざるを得ない。

ジーユーやユニクロのように自社ECサイトのみでしか販売していないなら、値引き販売せずとも集客はある程度可能になる。
なぜなら、その商品はそのサイトに行かなければ買えないからだ。

ところが、AmazonにもZOZOにもYahoo!にも楽天にも出店・出品しているブランドはどうだろうか。
客はそれらすべてを見比べて一番安く売っているサイトで購入する。
あとは、それに付随するサービスの良し悪しで決める。
例えば「返品無料」だとか「送料無料」だとかそういうサービスである。

スタートアップ界隈やイシキタカイ系には、信者ともいえるZOZOファンがいるのだが、残念ながらすでにZOZOも安売りサイトの1つと化している。

1、ウィゴーやジーンズメイトなどの低価格ブランドの出店が増えている
2、割引きクーポン券の乱発
3、頻繁なセールの開催

がその理由である。

この結果、某有名ブランドの担当者によると「ZOZOの買い上げ客単価は前年比20%減で推移している」という。
また、別の有名ブランド担当者によると「最近、ZOZOの担当者は『割引クーポンを何枚発行できますか?』としか言わなくなった」ともいう。

先日も5月17日から23日にかけて大安売り大会「ZOZOウィーク」が開催されたばかりだ。
ゴールデンウィークが終わると衣料品は途端に売上高が下がることが多いが、それにしても5月17日の時点で「最大90%オフ」の安売りは破格である。

 

しかも「本気のZOZO」とまで書かれており、じゃあ、これまでは本気じゃなかったのか?と思わず突っ込まずにはいられない。

ZOZOの安売りサイト化は、周知されつつあり、公認会計士のブログにも登場する。

第2回 3415TOKYO BASE株主総会レポート2018.5.25
http://www.bcjosaka.com/entry/2018/05/26/015947

トウキョウベースの株主総会でも以下のような質疑応答があったことが触れられている。

ZOZOのマーケットが低価格傾向になっており、クーポンを利用した安売り競争でどこも利益が取れなくなっている。ZOZOで安い商品を出していたがやめた。ZOZOの中で予約の先行受注というやり方で質を高めたい。マーケットインにはまらずプロダクトアウトでやりたい。

とのことで、ZOZO依存比率が86%と異様に高いトウキョウベースですらこの認識を持っているということである。

このブログの論調はトウキョウベースに対して好意的だが、一連の質疑応答に関しては首を傾げざるを得ない返答が多いので、また後日別途考えてみたいと思う。

ニューズピックスというサイトに集う人々はZOZO信者率が驚くほど高く、一種異様な空間を作り上げており、ZOZOと楽天を比べることはナンセンスみたいな風潮が流れているが果たしてそうだろうか。

最早、同レベルの低価格商品が並んでいる現在、楽天とZOZOはそれなりに購買層がかぶりつつあるのではないかと思う。
そして、以前にこのブログで紹介したように、今の高校生・大学生にとっては服を買うサイトは親ぐるみで幼少期から慣れ親しんだAmazonと楽天だということを忘れてはならない。

数年前のZOZOは高感度・高価格ブランドの集うファッション専用サイトだったかもしれないが、今はショップリストあたりと同等の低価格ブランドサイトへと急速に変貌しつつある。

低価格衣料が強い楽天やブランド品の割引が強いAmazonと競合する立場にある。
そして、「服しか売っていない」ZOZOと「服も売っている」Amazon・楽天とを比べた場合、どちらが集客しやすいかというのは一目瞭然だろう。圧倒的にAmazon・楽天である。

ティッシュ、トイレットペーパー、水、洗剤などの日用消耗品や、キャンプ道具や釣り竿などの趣味の用品、ガンプラやゲームソフト、ゲーム機などをAmazonや楽天で買ったついでに服も買うという人の方が圧倒的に多い。

そして楽天はともかくとして、Amazonは急速にブランド品を強化しており、ユナイテッドアローズもビームスもアーバンリサーチもZOZOに行かずともAmazonでも買える。

インターネット通販が隆盛を誇れば誇るほど、衣料品のデフレ傾向はさらに進む。
ZOZOですらすでに低価格サイト化しているのが現状である。

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ジーンズの洗い加工はレーザー光線で行う時代
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