繊維・アパレル業界のプロモーションは大きく変わっているが、旧態依然としたままの企業は多い。
この業界は東京一極集中が顕著だがその東京でも今の時流に合わせたプロモーションができている企業、ブランドはほんの一握りで、地方企業になると99%はいまだ旧態依然とした昭和の手法に終始していると言っても言い過ぎではない。

ウェブを使ったプロモーション、広報が不可欠との認知は広まっているが、その手法について理解できている企業はほとんどいないし、古株の業界コンサルも理解が著しく低い。
業界の大手ウェブメディア・大手ウェブサイトですら理解度が著しく低く、先端を走る企業との差は隔絶するばかりである。
某大手ウェブメディアは2年前から指摘されているにもかかわらず、いまだにサイトをスマホ対応させておらず、スマホではPC用の画面が縮小されて表示される。WWDのウェブはPCとスマホ両方に対応できており、何もしない無策のままなら、ウェブでの地位は早々にWWDに取って代わられることは間違いない。かつてのベンチャーとは思えないほどのフットワークの重さである。

ドメイン名を一新してしまうこともダメだ。
いくら過去の蓄積があろうと、ドメイン名が一新されてしまえば、そのサイトの記事の蓄積、読者の確保、過去記事からの流入はまた一から
やり直すことになってしまう。過去の蓄積が多ければ多いほど、ドメイン名の一新は逆効果に働く。先ごろそんなサイトを見かけた。

それはさておき。

業界のウェブ企業がこんな体たらくだから、ウェブを専門としない業界企業がどれほど旧態依然なのかは推して知るべしである。

ウェブによるプロモーション、広報の基本をうまく説明している記事がある。
基本的にニュースピックスが特集するアパレル業界記事はピントが外れたものが多く失笑を禁じ得ないが、これは秀逸だといえる。

世界ブランドが受け入れた日本人クリエイターの思考とは。ナカヤマン。×川添隆が語るデジタル戦略の本質
https://www.fastgrow.jp/articles/nakayaman-kawazoe

ナカヤマン氏は記事中にもあるように2014年にGUのウェブプロモーションを手掛けたばかりでなく、コーチやグッチのウェブプロモーションまで手掛けているという実績がある。

インタビュアーの川添隆氏の以下の質問が繊維業界の現状をまとめている。

しかし、代理店が用意したリストに従いインスタグラマーとタレントをキャスティングするのみという印象です。リアルクローズ、ラグジュアリー関係なく、どのイベントにも同じ子たちが招待されていますよね。
しかも、明確なインプレッションが計測できず、売り上げへの貢献度も分からない。計測できないからインフルエンサーとブランドの相性すら判断できない。ナカヤマン。さんが講演でよく話されているコンテンツがないまま、露出=チャネルだけにお金を垂れ流しているブランドが多い。

これである。
ブランドの基本姿勢やコンセプト、ターゲットが明確でなく、ただ「何となく話題だからインフルエンサーを呼んでいる」というブランドや企業が多い。
これらのブランドや企業の人は自分の頭で物を考えないのかと不思議でならないのだが、何の制約もなく、「イイと思う絵を描いてください」と言われたとしたら、「自分のイイと思う」ことを描く。それはブランドや企業の中の人だって同じ行動をするだろう。
ある人はガンダムを描くかもしれないし、ある人は猫を描くかもしれない。犬を描く人、風景を描く人、さまざまだろう。

で、それらを一堂に集めて「これがわが社の主張です」なんていわれても見ている人は何が言いたいのかさっぱりわからない。
「インフルエンサーを集めただけ」というのはこういう状態を自ら作り上げていることと同じである。認識してもらいたい。

ナカヤマン氏はこれまでの時代を振り返って

「何となく」が、ある程度の効果をもたらしていた時代だったのでしょう。特定のメディアが元気な時代は、そのメディアを「何となく」試していても何らかの効果は出ますよね。

と総括しておられるが、まさにこの通りで、これまでは「何となく雑誌広告」「何となく新聞広告」という安易な手法だけで売れる時代が続いてきた。
そのため、仲介を果たす広告代理店も安易な提案しかできないメッセンジャーボーイに近いようなオッサンであふれかえることになった。
ファッション雑誌広告に強いといわれている中堅の某広告代理店の営業マンなんて「子供のお使い」レベルのメッセンジャーおじさんばかりである。

そして、この「何となくクリスタル」という思考停止のままで、ウェブに取り組む企業・ブランドがあまりにも多すぎる。
たまに古株のアパレル企業の販促会議に参加することがあるが、その「何となく」的思考には落胆させられるばかりである。

また実店舗不振から極端に上っ面だけのウェブ信仰に走る企業も多い。

この記事中では丸井の取り組みが紹介されているが、

たとえば、丸井は在庫を持たない体験ストアを増やしています。そこではアイテムサンプルを試着し、気に入った商品はその場でタブレットを通じてECサイトで購入し自宅に配送する取り組みをやっています。
この取り組みについて、メディアも含めて外部は体験ストアそのものに価値を見出しているようなんですが、実際は数年間にわたって開発し、体験したくなる「ラクチンきれいシューズ」がないと成立しない取組みです。

と指摘されている。
上っ面のウェブ信仰企業は、「ウェブだけあれば大丈夫」という罠にはまりやすいが、実際は物販企業なので「確かな商材」がないと話にならない。
商材作りにのみ異様な執念を燃やす「モノヅクリガー」でも物は売れないが、商材がなければウェブだけあっても物は売れない。その両輪がそろう必要があるのだが、その両輪を確実に取り組めるブランドや企業は業界にあまりにも少ない。

ちょっと長めの記事で、ウェブ特有のカタカナ語も多いが、両者ともにロジカルに話を展開しているので、ウェブのプロモーションについて考えるのには格好の教科書になる。ぜひ一読をお勧めしたい。

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専業ジーンズメーカーは決して新しいことに取り組まなかったわけではない
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