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南充浩 オフィシャルブログ

リーバイスの型数半減は大賛成

2011年6月23日 未分類 0

 リーバイ・ストラウス・ジャパンが今秋冬から型数を半減させる。

http://hibiryutu.blogspot.com/2011/06/blog-post_5753.html

記事によると、1万円以下の商品減らして、百貨店・セレクトショップ向けに1万~2万円の商品を増やすという。
また「505」「511」「551」の各シリーズでは生地製造から縫製、加工まで一貫して日本で手掛けるともある。

リーバイスが型数を減らすことは大いに賛成である。
逆に言えば、これまでの型数が多すぎた。
リーバイスに限らず、ジーンズ専業メーカーの悪い癖なのだが、非常に事細かにデザイン別・シルエット別の商品が企画される。
例えば、スキニー、スリムフィットストレート、タイトストレート、レギュラーストレート、リラックスストレート、ルーズストレート、タイトブーツカット、ルーズブーツカットなどなど、というように太さ細さのシルエットだけで何種類もある。ここにさらに、ポケットの仕様違いだとか、ファスナーの仕様違いだとか、少し切り替えの入った物だとかのデザイン違いの商品が上乗せして企画される。

しかし、冷静に考えてもらいたいのだが、そこまで微妙なシルエットの差が必要だろうか?
上の例で見ると、スリムフィットストレートとタイトストレートはどうちがうのか?おそらく、太さで1センチ前後の差しかない。フィットするためには「この1センチが重要」という意見もあるのは承知しているが、その「1センチ」に固執するマニア層が一体どれだけの人数存在するのだろうか?
おそらく、ごくごく少数であり、大半の消費者はスリムフィットとタイトストレートの違いをほとんど気にしていない。
同様にリラックスとルーズもさほど大きな差がない。
ならば、スキニー、細めストレート、レギュラーストレート、太めストレートの4つのシルエットに集約することが可能であろう。
ここにブーツカットを1種類だけ差し込んでも、シルエットは5種類に抑えられる。
極端な言い方をすれば、これまで10種類もあったシルエットはまったく無駄だったことになる。

しかし、リーバイスの今秋以降の戦略で問題点となるのが、型数を半減させ取り引き販路を絞るということは、必然的に「利益率は改善されるが、売上高が減少するだろう」ということになる。
これについては、リーバイ・ストラウス・ジャパンの首脳陣はある程度覚悟の上だと推測されるが、米国本社がどのように評価を下すか懸念が残る。
これまで米国本社は、日本市場の特殊性・地域性をあまり認めて来なかった経緯がある。

そして、販路を百貨店、セレクトショップへと絞るということだが、これも売上高は「良くて横ばい」ということになろう。彼らのジーンズ販売数量は、さほどに多くないからである。数量だけならライトオンやマックハウスなどのジーンズカジュアル専門店に遠く及ばない。
百貨店はおそらく、自主編集ジーンズ売り場での取り扱いになると思われるので、一定のまとまった数量が販売されるだろうが、委託販売であることが大きな懸念材料である。

また、セレクトショップにも問題がある。
たしかに、ショップ自体の訴求力はジーンズ専門店を上回るが、ことジーンズの販売数量と言うことになると極端に少ない。近年、ビッグジョンも「ビッグジョン」ブランド、「ディッキーズ」「ワールドワーカーズ」の3ブランドをセレクトショップで販売しているが、ブランドステイタスは向上したものの、販売数量はそれほど大きく伸びていないのではないだろうか。

以上の点から考えて
リーバイスの今秋冬戦略には賛成だが、問題点もいくつかある。
それをどう乗り越えていくのか、注目したい。
個人的見解では、リーバイスは、トータルアイテム化して直営店20~30店舗体制となったときが、一つの到達点だと考えているのだが。

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