少し前にこんな報道があった。

ルミネ冬セールは3日スタート 初売り翌日から開催
https://www.wwdjapan.com/359322

手短にまとめると、来年1月のルミネのバーゲンの日程は1月3日開始だということである。
三越伊勢丹やHEPファイブを除く多くの百貨店、ファッションビルとほぼ同じ時期のバーゲンスタートとなる。

ここ3年ほど前からのバーゲン後倒し論争は一体何だったのかということになる。

そもそも、ルミネがバーゲン後倒しに掲げた大義名分の「産地保護」自体がおかしく、失笑を禁じ得なかった。
縫製ベースでいえば、現在、国産衣料品比率は3%前後しかない。
97%強がアジアを中心とする海外製品となっている。

ルミネが保護したかったのは中国やその他のアジアの工場だったのだろうか?という疑問しか感じない。

また取引形態から言っても、たかだかルミネが10日ほどセール開始時期を後倒ししても製造加工業にとっては意味がない。

そもそも製造加工業に対する工賃は、商品が店頭に並ぶ何カ月も前に決められている。
そして製造加工業者への支払いは、シーズンごとの商品が完売してからではない。

バーゲンを後倒ししようが前倒ししようが、製造加工業者への支払額は変わらないし、支払うタイミングはバーゲン終了時ではなく、そのはるか手前である。

仮に9月に1枚1500円の工賃で、シャツの製造を発注した場合、納品が10月だったとすると、支払いサイクルは各社によって異なるが、11月末とか12月末あたりに支払われる。
1月のセール開始時期を10日ほど後倒ししても製造加工業者に支払われる工賃には一切反映されない。

11月納品でも12月納品でも結果は同じで、バーゲンの後倒しが工賃支払いに反映されることはない。

なぜなら、事前に決めた工賃通りに支払われるからで、「1月のバーゲンを後倒ししたら利益が増えたから工賃を500円プラスオンして支払うよ~」なんていうアパレルは存在しない。
1月のバーゲンを後倒しして、仮に利益額が増えたとしても、事前に決めた工賃にプラスオンして支払うことはありえない。

一体、ルミネは何を言っていたのだろうか。

ルミネが今回、バーゲン開始時期をほぼ元に戻す理由は以下の通りだ。

前倒しの大きな理由に、テナント側から強い要望があったという販売員の労働時間と負担の軽減をあげる。販売員不足で十分なシフトを組めないテナントもある中、年末の繁忙期から年始の初売り・セールまでの長期集中的な労働体制が問題とされてきた。年始セールの前倒しにより、2日の初売り後すぐにセールを開始し、集中して商戦に臨む。なお、夏のセールは従来通りの開催を予定している。

とのことで、こうなることは最初から分かっていたのではないかと思う。

洋服店の販売員の人手不足は深刻化しており、求人を出しても応募が集まりにくくなっている。

理由はさまざまある。

営業時間の長時間化、給料の低さ、休日の少なさ、今後のキャリア構築の難しさ、などなどである。

ルミネは架空の産地を保護する前に、目の前で働いている販売員たちを保護すべきだろう。

販売員という仕事がつまらない仕事だとは決して思わないが、現在のアパレル業界の販売員に対する待遇のままなら、人手が集まらないのは当然で、今後も販売員不足は続く。

ルミネの夏のバーゲンは従来通りの後倒しだそうだが、夏のバーゲンはそもそも盛り上がらないから、あってもなくても消費者にとっては同じようなものだ。お好きにどうぞだ。

夏服は定価そのものが安い。
だから定価で買っても知れているし、それが値引きされたからといって消費者が飛びつくようなこともあまり起きない。

そして、冬のバーゲンのように「正月」というイベントが組み合わされているわけではないし、各ブランドが五月雨式にバーゲンを開始するから、本当に盛り上がらない。
6月末とか7月1日とか7月5日とかの開始が多いが、正月も盆も夏休みも関係ない平日だから、消費者に「買い物をしよう」という意欲は高くない。

買い物客としての立場で個人的にいえば、6月末から開始されようが、7月1日から開始されようが、7月5日から開始されようが、あまり関係ない。
それほどに夏のバーゲンには興味がない。

おそらくそれに近い消費者は数多いのではないかと思う。

改めてルミネのバーゲン後倒しは無意味だったと感じる。


はじめてでも安心 コスプレ入門
たかそう
オーム社
2013-07-22