発売してから半月強が過ぎたユニクロUだが、今のところさすがにまだ値引きはない。
見た目のデザインでいえば、やっぱり昨年秋冬の&ルメールの方がカッコイイ商品が多いと思う。

先日、業界の先輩が、ユニクロUのシャツのパターンを大絶賛しておられるのを拝見した。
なるほど、パターンという観点からも評価基準は存在する。

シャツの腋下が非常に特殊なパターンになっており、腕が動かしやすい構造になっているそうだ。(彼談)

筆者はパターンのことについては皆目わからないから、この点で評価は下せない。
しかし、こういう評価基準もあるということで、逆をいえば、高額な服でもパターンとして着心地が悪いという場合もあるということである。

横道にそれるが、パタンナーからこういう情報が発信されるべきだと思う。
業界には意外にフリーのパタンナーも多くいるし、パタンナーを志望する若い人もそれなりにいる。
にも拘わらず、フリーのパタンナーからの発信はほとんどないし、パタンナーを志望する人からも発信がほとんどない。

請け負ったブランドの良し悪しは論評しづらいだろうが、この先輩のようにユニクロだとかZARAだとかH&Mの服のパターンの良し悪しは論評しても構わないのではないか。そこいらのフリーの業者にグローバルブランドからの依頼はまず来ないのだから。

そういう発信の積み重ねでパターンの重要性が業界にも消費者にも今までよりは認識してもらえるはずである。
今のままだと、そこらの企画担当者は縫製工場とかOEM屋が自動的にパターンを作ってくれるものと思い込んでいる。
業界人ですらこういう人が少なくないから、一般消費者は推して知るべしだろう。
それほどにパターンの重要性もパタンナーの重要性も認知されていない。

この評価点は改めて勉強になった。

そうすると、そこに「そこまで良い物なら安くで売るのは間違っている。ユニクロはある程度の価格で売ることを考えるべきだ」という一見すると教科書的には正しい意見を書き込む人がいたが、教科書は所詮教科書にすぎない。

ユニクロというブランドは、「価値ある物を安く提供する」ことがコンセプトである。
だから価値あるパターンのシャツを2990円で発売したわけであり、実にコンセプトに沿った行為であり、何の問題もない。
逆にユニクロが5000円や1万円のシャツを発売したほうが問題だろう。
それはブランドコンセプトに沿っていない行為で、そこらへんの凡百のヘッポコアパレルがよくやらかしてしまう愚行である。

上っ面の表層の判断だけでブランドコンセプトと外れた商品政策を組み立てる。
まあ、そこらへんのヘッポコアパレルのブランドコンセプトなんて、取って付けただけのものなのだから、そもそもブランド自体の存在意義もほとんどない。

もしもファーストリテイリングが高額な商材を出すとしたら、それはユニクロではなくセオリーで出すだろう。

超低価格のジーユー、低価格のユニクロ、それ以上のセオリー、と価格帯に応じてファーストリテイリングはブランドを使い分けており、なんでもかんでもユニクロに求める方が考え方がおかしい。

なんでユニクロが高価格帯を扱う必要があるのか。

業界人ですらこの有様である。
業界人だからこそこの有様なのかもしれない。

それほどに業界人は何事につけても冷静に考えられない人が多い。
ことユニクロになると憎悪を剝き出しにしている。

しかし、いっちゃ悪いが、国内売上高8000億円のユニクロに太刀打ちできる国内アパレル企業は存在しない。
洋服だけでいえば、GMSも太刀打ちできない。百貨店はもちろんのことだ。

いくら憎悪を剥き出しにしてもそれは負け犬の遠吠えでしかない。

ジーユーとユニクロを合わせて国内売上高は1兆円弱。セオリーを合わせると確実に国内売上高は1兆円を越えるだろう。

世の中には低価格代替品が溢れている。
自動車しかりパソコンしかり冷蔵庫しかりテレビしかり掃除機しかりスマホしかりだ。
低価格代替品が登場することで広く庶民に普及するのである。

iPhoneはたしかにブランドステイタスがある。しかしそれでもSIMフリーだとか、型落ちiPhoneの格安スマホが売上高を伸ばしているのはなぜか。

教科書氏がいうように「iPhoneはそれなりの値段で買うべき」ではないのか?

iPhoneは安く買っても良いが、服が安いのは許せないとかどれだけダブルスタンダードなのか。
バカじゃないだろうか。

じゃあ、日本人はテレビはアクオスしか買ってはだめなのか?
型落ちの値下げされたアクオスを買うのはだめなのか?

業界に渦巻くこういう感情論はバカバカしくて聞くに値しない。
言ってる本人はそのおかしさに気が付かないのだろうか。気が付かないから言っているのだろう。

そういう意見がまかり通っている間はアパレル業界は決して浮上しないだろう。
「昔ながら」にこだわりながら衰退している伝統工芸や着物業界と同じ道をたどるだろう。

気が付けば、ファーストリテイリングとしまむらと数社のSPA以外はすべて外資ブランドになってしまったなんてこともあり得るだろう。