最近は、アパレル合同展示会があまり勢いがない。
通常、アパレル企業やブランドは単体で展示会を行う。
展示会では、早い場合は半年先、引付型なら2~3か月先のアイテムが提案される。

展示会に招待されるのは小売店、そしてメディア関係者である。

小売店に来てもらって、新アイテムを仕入れてもらうのが主眼である。

そういうアパレル企業、ブランドを何社か集めて開催するのが合同展示会である。
企業によっては大型見本市と呼ぶ場合もある。
内容は同じである。

合同展示会にメーカーやブランドが出展するメリットとしては、自社単体でやるよりも多数の来場者が期待できるというところにある。
一方、デメリットは出展者や来場者に企画・デザインをパクられやすいというところにある。

メリットとデメリットを天秤にかけながら、出展するかどうかを判断するのはメーカーの経営判断である。

ところが、2005年以降、合同展示会の勢いがなくなってきた。
とくにアパレル向けの合同展は出展者・来場者ともに減る傾向にある。

これはなぜか。
企画がマンネリ化してきたこともあるだろう。

しかし、業界構造が大きく変わったことが原因であり、今後もアパレル合同展が大きく盛り返すという状況は考えにくい。

まず、流通・小売店の体制が変わってきた。
衣料品業界で力のある大手流通・小売店の多くは、SPA(製造小売り)的な業態となっている。
ユニクロ、無印良品、WEGO、アダストリア、ストライプインター、ハニーズなどを想像してもらえればわかるだろう。
自家工場があるなしにかかわらず、自社企画の商品を工場で生産して、自社直営店で販売する。

こういうシステムである。

そして大手セレクトショップも実情は疑似SPAである。
自社企画(丸投げも含む)商品をどこかの工場で生産して、自店で販売する。
大手セレクトショップの自社製品比率は軒並み7割~9割に達している。
残った3割~1割は他社ブランドの仕入れ品ということになるが、そのほとんどは靴、バッグ、アクセ、コスメなどの雑貨品である。衣料品に関していえば、軒並み自社製品比率は9割近いと考えられる。

大手が他社製品を仕入れることはほぼなくなっている。

中堅規模のチェーン店は倒産・廃業・吸収などが相次いでいる。

従来通りに他社製品を仕入れるのは小型専門店がほとんどということになる。

となると、合同展示会を開催しても大手からの仕入れはほとんど期待できず、小型専門店が主なターゲットとなってしまう。
小型専門店は「小型」なので、各店の仕入れ枚数は極端に少ない。
また昨今の衣料品不振の影響から、仕入れ枚数はさらに減る傾向が強い。(もちろん例外店はある)

メーカー、ブランド側からすると小型専門店からの受注だけでは、生産のミニマムロットに達しないことが往々にしてある。
以前なら中堅、大手からの仕入れも期待できたが、現状では期待できない。
大手のSPA化はさらに進むことが考えられるから今後も大規模な仕入れは期待できないだろう。

となると、合同展示会への出展はメリットが小さくなる。
一方、企画・デザインをパクられるというデメリットは以前と変わらないか、さらに大きくなる。

だからメーカー、ブランド側の出展は減る。

出展社が減れば、来場者も減る。
来場者が減ったから出展者はさらに減る。

そんな悪循環スパイラルに陥っているのが今の合同展示会といえる。

これを打破するきっかけはちょっと見当たらない。
何せ、流通・小売りの形態が変わってしまった。
今後、流通・小売りが仕入れ品をメインにするようになるとは到底考えられない。

そして有力なメーカー、ブランドも直営店を志向するようになりSPA化している。
ワールド、オンワード樫山、ファイブフォックス、三陽商会などが良い例である。

だから有力メーカーが合同展示会に出展することは考えられない。

今後はアパレル分野での大型合同展示会というイベントはなくなるかもしれない。
時勢に合わないものは淘汰されるのが当然とはいえ、個人的な感情でいえば少し寂しいとどこかで感じる。