ワールドが大規模なブランドの廃止と店舗の閉鎖を発表した。
平成27年度中に全約3千店のうち400~500店を閉鎖し、全約100ブランドの1割強にあたる10~15の不採算ブランドを廃止するというもので、これほど大規模なブランドの廃止はワールドとしては初めてのことになる。

個人的にはこの方針には賛成である。

ワールドは元々ブランド数が多いアパレルだったが、近年はさらにブランド数が増えている。
増えすぎといっても言い過ぎではない。
現に15ブランドを廃止したところで85も残る。

85ブランドという数だけ見ればまだ多すぎるくらいである。

店舗数を減らすことに関しては雇用の問題が生じるのでどうなるのかが気になるが、基本的に不採算店なら撤退すべきであることは言うまでもない。

近年、ワールドの各ブランドを店頭で見ていて気になったのはその同質化であり、没個性だった。

筆者が業界紙記者になった18年前を思い返してみる。

コルディアというミセス向けの基幹ブランドがあった。
ヤング層に向けたブランドではオゾックが絶大な人気を集めていた。
オゾックの上の年代に向けたインディヴィが立ち上がった。

当然のことながら、コルディアとオゾックとインディヴィの見え方は大きく違った。

とくにオゾックはデザイナーの田山淳朗氏のプロデュースによるブランドということで、ターゲットを同じくする他社ブランドとは圧倒的に違って見えた。

インディヴィもブランド草創期はなかなか個性的な商品が多かった。

ところが今はどうだろうか。
オゾックもインディヴィもいわゆる「トガった」ところがなくなり、ワールド内の他ブランドとの差がなくなってしまった。
ブランドも成熟してくるといつまでもトガってはいられないからある程度丸まってしまうのは仕方がない。
しかし、往年のオゾックを知っている者としては残念な気持ちになる。

そして、社内の他ブランドとの同質化もさることながら、他社ブランドとも同質化してしまい、埋没してしまっている。

今、100あるブランドの中で存在感を放っているブランドがどれだけあるだろうか?

同質化して埋没しているならブランドの存在価値はない。
類似ブランド同士は統合してしまえば良いのである。

ワールドは2005年にMBOによって上場を廃止している。
これにはさまざまな理由や目的があったといわれているが、金融面に疎い筆者にはちょっとよくわからない部分が多い。
ただ、気になるのは「非上場にすることで短期的な利益にとらわれない施策を打つため」というような意味合いの発言が会見でなされたことだ。

会見での発言なので建前という部分が多分に含まれていることは承知している。
しかし、まことに理にかなった説明でもある。

それから10年が経過した。

外野から見ている立場からすると、短期的な利益にとらわれない施策が実現しただろうかと疑問に感じる。
新規ブランドはいくつも立ち上がった。
業界に存在感を発揮するようなブランドにそれらが育っただろうか。

筆者にはそうは見えない。
反対に各ブランドの存在感は小さくなったし、いわゆるトガった部分は減った。

金融的な理由はさておき、現状を顧みるとブランド施策としては上場廃止する必要はなかったのではないか。

閑話休題

先日、某経済誌の依頼でいくつかの商業施設を取材した。
面白いことに各商業施設とも「ブランド同士の同質化、商業施設同士の同質化が問題だ」と指摘しているのである。
先ほどワールドを例にとったが、ワールド以外の大手アパレルのブランドもすべからく同質化している。そしてそれらをテナント誘致する商業施設も必然的にすべからく同質化している。
それがわかっていて止められないというのが現在のアパレル、ファッション業界の現状である。

OEM/ODMの業界インフラが極度に整いすぎていることもその同質化の拍車をかけている。

もともとファッショントレンド自体は、ソースが同じだから同質化せざるを得ない。
ブーツカットのジーンズが流行れば猫も杓子もブーツカットを発売する。
これは昔からそうである。

しかし、かつてならそこにブランドならではのディテールとかアレンジが加えられた。

現在、OEM/ODMへ丸投げするブランドは珍しくない。
資金さえ出せばだれでもオリジナルブランドを作ることができる。
しかし、請け負う側はいくつものブランドを扱っているから、必然的にそのブランド同士は似てしまう。
何せ企画デザインしている人が同じなのである。
中には生産ロットがまとまらないから複数のブランドが相乗りしてタグと織りネームだけを変えるという場合もある。
これで同質化しない方がおかしいだろう。

先日、某デザイナーが「20年ほど前までは同じトレンドソースに対してどうアレンジするかがブランドとしての誇りでした。OEM/ODMの業界インフラが整備されたことでその誇りもなくなりました」と過去を振り返ったことがある。

ここを解決しない限りは、ワールドに限らず今後もブランドの統廃合はさらに進むだろう、というか進めるべきである。同質化しているくせにブランド数があまりにも増えすぎたのが今のアパレル業界である。