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南充浩 オフィシャルブログ

オタク向け商法はファッションにこそ適している?

2015年4月23日 未分類 0

 18日の土曜日、初めてラジオ番組に電話出演した。
「久米宏 ラジオなんですけども」というTBSラジオの番組である。
出演したといってもたった10分~15分程度である。
全国に向けてブサボを披露してしまった次第である。

内容は「今春のNGファッション」というもので、本来ならファッションに疎い筆者なんかよりももっと適任が業界にはたくさんおられると思うのだが、なぜか出演依頼があったのでお受けした次第だ。

どんな感じの段どりになるのかとドキドキしていると、まず、スタッフの方から質問項目がメールで送られてきて、それにメールで返信をした。

次に電話でスタッフの方と事前打ち合わせをし、具体的に待機時間を指定された。
具体的には午後1時半ごろの出演となるので、1時20分過ぎから電話口で待機しておいてほしいとのこと。
当初の持ち時間は10分くらいだったが、電話が終わって時計を見ると15分近くが経過していた。

ざっとそんな感じである。

で、事前の電話口での打ち合わせの際、昨今のファッショントレンドの話になったが、スタッフが興味を持たれたのはMA-1ブルゾンの人気復活だった。
たまたま担当者が40歳手前の男性で、筆者とほぼ同年代だったこともある。

筆者が大学生、担当者が高校生の頃に米軍のMA-1というフライトジャケットが大流行した。
もう20年以上前の話である。
大流行のきっかけはトム・クルーズ主演の映画「トップガン」だったとされている。

結局なんだかんだで90年代後半までMA-1というブルゾンは人気防寒具となっていたが、2000年代に入ると姿を消した。
一部の根強いファンは愛用していたようだが。

2000年代半ばからは洋服のシルエットがタイトになり、その流れは今も続いているといえる。
こうなると、MA-1人気はさらに低下する。
なぜなら、タイトシルエットとは程遠い形態をしているからだ。

身幅は広い、アームホールは大きい。

これを今、非イケメンのオッサンが着用していると、単なる流行度外視層か、現場作業員か、重度のミリタリーファンか、の3つのうちのどれかにしか見えない。

そんなわけで少なくとも10年近くはまったく注目されてこなかった。

そのMA-1が一昨年ごろから最注目され、今秋冬もまだその人気は継続しそうな雰囲気である。
トップガンの頃と異なるのは、身幅もアームホールも全般的に細めに作られていることである。
今、製造されているのは「本物」とはまったくシルエットが異なる。

写真111

(細めにリファインされたアルファインダストリーのMA-1ブルゾン)

今春は作られていないが、ユニクロもこのスマートなMA-1タイプのブルゾンを発売していたことがあるので、それなりにマスな商品になったといえる。

まあ、そんな話をしたところ、担当者からは「いや、初耳です」「初めて知りました。MA-1懐かしいですよね」というような答えが返ってきた。
少し前にはユニクロでも売られていたぐらいだから当然、広く認知されていると思っていたが、意外に知られていなかった。

さらにいえば、一般の消費者よりもトレンド情報に近いであろうマスコミ関係者がまったくそういうことを知らないというのも驚いた。

もしかしたら、ファッション業界関係者が思っているほど、トレンド情報とかファッション情報は広く流通していないのかもしれない。
もっといえば、そういう情報の需要自体がこちらが思っているよりも少ないのかもしれない。

そんなことをツラツラと考えてしまった。
ファッションというのは、いわゆるオタク的同好者しか興味を持たない案件ではないか。

鉄道オタクの人は電車の魅力をとうとうと語る。
聴いているとなるほどと思うが、じゃあその世界に入ってみようとは筆者は思わない。

アニメや特撮にしてもそうだし、ガンダムのプラモデルにしてもモデルガンにしてもそうだ。

ファッションとか洋服というのもこれらと同じではないかと感じてしまう。
オタクが集まってあーでもないこーでもないとやりあっているのがファッション業界ではないか。

ビンテージジーンズオタクが「〇〇と××はほとんど同じに見えるがこの部分のディテールが違う!!」

なんてことを力説しているのを聞くと、「気持ちはわかるけど、どーでもええやん♪」と感じてしまうが、たぶん、一般人からするとファッションオタクが少しの差異について真剣に議論していることを聞くと、同じように感じているのだろうなと思ってしまう。

そういう意味では洋服は、オタクに向けた売り方を追求してみても良いのかもしれない。
現在のガンダムのプラモデルなんて特定のファンに毎年いくつもの新商品を買わせることで成り立っている側面がある。
「ファッション」を標榜する洋服もそういう売り方を極めてみて良いのではないだろうか。

なんてことをラジオ出演の前後を通して考えた。
「ファッションをガンプラ化する作戦」とでも名付けてみたら良いのだろうか。(笑)

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