南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

ジーンズの国内販売市場規模は?

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 ジーンズ売り上げが低迷(反対にチノパン、ワークパンツ類は伸びている)ということを良く書いてきたのだが、ジーンズの年間国内販売数量というのは、だいたいどれくらいかと言うと、はっきりした統計はないのだが、一般的に「9000万本~8000万本」と言われている。

売り上げが好調な場合は9000万本、場合によっては9000万本を越えるが、1億本には届かない。一方、不調なら8000万本。過去7000万本台にまで落ちたことはないと言われているが、もしかしたら2011年は7000数百万本に低下するかもしれない。

大雑把に分けて好調不調で約1000万本の販売数量の差がある。

1000万本というと大きな数字だが、全体数量が3割減になったり、半減したりしないところが、ある意味で「ジーンズの底堅さ」があるともいえる。

このうち、ユニクロのジーンズ年間販売数量が1000万~1200万本と言われており、国内市場の7分の1を占めているから驚く。


一口に「1万本」などと、自分も簡単に口にしてしまうのだが、実際には莫大な数量である。
エドウィン、リーバイス、ビッグジョン、旧ボブソンなどの大手ジーンズ専業メーカーのヒット商品と言われる基準は、品番やメーカーによっても異なるが、だいたい「2万~5万本」ではないだろうか。とくに2000年に入ってから「1型で10万本売りました」などという話しは聞かず、ここ数年なら1型1万本でも十分にヒット商品と言えるのではないか。

で、ここから売上高を計算してみたいのだが、
1本の店頭販売価格がだいたい9800円~13000円くらいまでの商品が多いので、仮に1万円だとしておく。
その1万円の商品が大ヒットして2万本生産した。

そうすると1万円×2万本(10,000×20,000)で2億円の売上高になる。
これは店頭売り上げが2億円であり、通常、メーカーはお店に卸売りするので、当たり前の話しだが卸売り価格はもっと安い。
昔は「6掛けで卸す(店頭の60%の価格が卸売り価格)」と言われたが、今はそんなことはない。55%とか50%とか45%になっており、場合によってはもっと低い掛け率で卸している。
1万円の商品なら6掛けだと卸売り価格は6000円ということになる。

ここでは卸売り価格を50%として計算すると、先ほどの商品は店頭売り上げは2億円だが、メーカーは1億円で卸していることになる。

こう考えると、大手ジーンズ専業メーカーは2万本のヒット商品があっても、その売上高は1億円にしかならない(我々庶民には1億円は莫大な金額だが)。しかも、大手ジーンズメーカーの中では、エドウィンとリーバイスが年間売上高100億円を越えている。
単純化すると、この店頭価格2億円分の商品が、あと99種類ないと年間売上高100億円にならない。

こう考えると、年間100億円以上の売上高があるジーンズ専業メーカーのすごさが改めてわかる。

ジーンズ専業メーカーは、売上高を作るために過去はとにかく品番を増やした。10年くらい前のリーバイスで言えば501があり502があり、503、504、505があり、511、512、515、517がある。さらに646とか702とかその他デザインパンツ類があった。
正直、品番とシルエットの違いを覚えるだけでも一苦労だったのだが、品番数を増やさないと売上高100億円以上を維持することは不可能だったのだろう。

それから、これは年始の繊研新聞でも言及されていたのだが、ジーンズ専業メーカーは売上高と売り場シェアを高めるために、ジーンズチェーン店に積極的に納品していた。それは構わないのだが、ほとんどの場合、それは店の買い取りではなく、売れた分だけメーカーに支払って売れ残った商品は返品するという委託販売だったため、期末の返品受け取りによる利益ロスも大きかった。
通常、期末に返品された商品は、値引きされて再出荷されたりするので、そこでもまた利益は低下するという図式となる。


常々、ジーンズ専業メーカーは売上高100億円を維持しようとせずに、30億円くらいの売上高を維持しながらブランド力を高める方が良いと考えているのだが、上記のような図式のままで無理やり売上高を拡大するよりも、思い切ってダウンサイジングした方が利益も高くなる。ただしその場合は、余剰人員の首切りが必要となるため、軽々しくは動けないという事情もあるのだが。

苦戦を続けるリーバイ・ストラウス・ジャパン

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 アパレル業界・繊維業界以外の方々に、この拙いブログを読んでいただいているようだが、業界外の方々は「リーバイス」というブランドにどんなイメージを持たれているのだろうか?

自分の「リーバイス」に対するイメージは、リーバイ・ストラウス・ジャパン社は数年以上に渡って減収減益を続けている苦戦企業である。

ちょっと前置きが長くなってしまったのだが、
昨日、リーバイ・ストラウス・ジャパン社の2010年11月期連結決算が発表された。2009年までは単独決算だったが、2010年1月から子会社を含めた連結決算へと切り替わっている。


もう一般紙でもご存じの方も多いと思うが、改めて数字を並べさせていただく。

売上高131億6900万円
営業損失24億2500万円
純損失35億8700万円


と減収赤字拡大に終わった。

2009年11月期単独決算は
売上高171億3400万円
営業損失6億8700万円
純損失5億4700万円


だった。
また、2011年11月期連結は

売上高123億円
営業損失21億5300万円
純損失25億2300万円


と、減収赤字を見通す。

かなり厳しい状況にあると言える。

個人的には、頻繁な社長交代とそれに伴う頻繁なブランド方針の変更に原因があると思っている。


さて「リーバイス」というブランドのジーンズを愛しておられる方は、アパレル・繊維業界にも数多くいらっしゃるが、個人的に最近のリーバイス商品はあまり好きになれない。
馬鹿なこだわりなのかもしれないが、1万円前後する商品の生産地が「ベトナム」であるからだ。
以前は、中国製が多かった。

中国製食品に対しては不安が付きまとうが、こと衣服に関してはかなりレベルが高まっている。もちろん中国工場の腕の良しあしにもピンキリはあるが、下手な日本工場よりも良い製品を上げる中国工場も数多くある。そういう状況下で、例えば1万5000円のジーンズが中国製であっても「仕方ないね」と思える。

最近は、中国工場の人件費高騰から、ベトナム、カンボジア、バングラディシュ、パキスタン、タイ、インドネシア、インドあたりに縫製工場を移転する事例が多い。大雑把にわけると「中級・高額品=中国」「低価格品=アジア諸国」という使い分けになっている。
こうした現状から見ると、いくら「リーバイス」ブランドとはいえ、1万円前後(ジーンズでは中級品以上)の価格の商品をベトナムで生産していることに疑問を覚える。

OEM関連の方々からの情報では、中国に比べて、周辺アジア諸国の工場の技術はまだまだ低いらしい。人件費も安いので「低価格品=中国以外のアジア工場」という方式にならざるを得ないのが実情である。

それから、ジーンズショップの方々にお聞きすると「リーバイス」というブランドにこだわるお客さんは40代半ば以上が多く、20代・30代の方はブランドにこだわってないですよ。という。
そういう意味では「若者のリーバイス離れ」もブランド力低迷に一役買っているといえる。

「若者の○○離れ」が好きなマスコミが、どこかで報じないかと楽しみにしている。

12月百貨店売上高は前年比1・5%減

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 昨日、全国百貨店の2010年年間売上高と12月度売上速報が発表され、一般紙でも「百貨店年間売上高は82年当時まで下落」と盛んに報道されている。

全国百貨店の12月度売上高は、
7246億円で、前年同月比1・5%減だった。

11月度は前年同月比が0・6%だったので、そろそろ百貨店の売り上げ低下も底打ちかなと思える。

一般紙の報道によると、百貨店の年間売上高が82年当時と同じ水準まで低下したのは「まとめ買い」が減ったからだという。

まあ、たしかに今時、百貨店でまとめ買いする人はあまり見かけないのでその通りだろうとは思うが、それだけではない。
百貨店凋落の原因について識者からはいろいろな指摘がある。

・百貨店バイヤーが良い商品を見分けられなくなった。いわゆる目利きがいない。
・買い取り販売を止めて委託販売だから、真剣に売る気がない。
・安全策を採用しすぎてブランドラインナップが陳腐化している。
・売り上げ確保を重視しすぎて接客がおろそかになっている。

また繊維・衣料品業界以外の識者からは

・中元歳暮の風習が薄れて買う人が減っている。
・高級洋服ブランドに特化しすぎて商品のバラエティーがない。
・百貨店の店舗数が多すぎる。もっと減らすべき。
・企業の経費節減で、外商部門も売上高が減っている。

などの意見がある。

どれも正論で、それらの要素が混然一体となって凋落を続けてきたといえる。

で、百貨店の復活はどうしたら良いのかと言えば、先の要素すべての逆をやれば良いのだが、実際できるかとなるとかなり難しいようだ。
大先輩の某コンサルタント氏は「もう百貨店に対してコメントはしない。彼らにはその能力も資金も残されていない。できない人を責めたら、それはイジメになっちゃう」とおっしゃっている。

百貨店の売り上げ減少はそろそろ終わりそうだが、売り上げ回復は不可能だと見ている。

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