ブームではなく「定着化」した快適商材・機能性素材
2023年7月7日 トレンド 2
早い商業施設では6月下旬から、遅い施設でも7月1日から夏のバーゲンセールが始まった。
個人的にはこれと言って欲しい服が無い。年々夏物に対する購買意欲は低下している。そんなことを言いながらも何枚か値下げされた夏服を毎年買うのだが、今年これから買うのは吸水速乾機能のTシャツ&ポロシャツと、合繊素材のスラックス、合繊素材の半ズボン(しかも1枚くらい)だろうか。
実際のところ、半ズボンも吸水Tシャツも何枚も持っているので買い足すのは最低限にするつもりである。
今年の夏は今のところ、例年よりも涼しめだと感じる。
汗っかきの体質なので汗をかく量は変わらないが、大気が熱すぎて我慢できないという感覚がほとんどない。それと日が暮れてしまうと夜中は熱帯夜ではないから、幾分過ごしやすい。
実際に6月半ば以降は比較的低気温だったようで、ユニクロの6月度売上速報は既存店売上高が3・4%減になったのだが理由に後半の気温低下を挙げている。
ユニクロ 6月の既存店売上高3.4%減 後半に夏物実需が失速 | 繊研新聞 (senken.co.jp)
前半は気温の高い日が多く夏物が売れたが、後半は雨の日が増え気温も低下したため売れ行きが鈍化し、既存店売上高の前年実績超えは5月までの6カ月連続にとどまった。
とある。
しかし、それでも汗をかく量はさほど変わらないから、夏物として着るなら吸水速乾機能一択となってしまった。これでも昔は、ニューヨーカーやユニバーシティーオブオックスフォードなんかの麻綿混テイラードジャケットや麻綿混スーツを着たりしていたが、とてもじゃないが汗が止まらないので、もうそんな我慢をすることがアホらしくなったわけである。
夏以外の3シーズンだと棉厚手のTシャツを愛用するが、夏だけはどんなにイケてるブランドでも綿100%Tシャツ・ポロシャツは着用しない。2010年代後半からはそういう生活スタイルになった。
夏用の肌着にしても綿主体の素材か合繊主体の素材かは別として、吸水速乾機能は標準装備化されている。ということは、マス層にとっては、上質な風合い云々よりも大量に汗をかく夏は吸水速乾機能が装備化されている方が快適でありがたいということだろう。
売れないならとっくに廃止になっており、なっておらず、ユニクロを始めとする各社がメイン商材として販売し続けるということはある程度は売れ続けているということである。
先日、2~3歳くらい年上の業界のオバおねえさま達お二人とお会いする機会があった。
業界関係者だからお若いころはいろいろと洋服や身に着ける物にも凝っておられたが、雑談をしていると「最近は足が楽だからスニーカーしか履かないようになった。昔はこれでもハイヒールとかパンプスとか履いてたのに」と口をそろえておられた。
当方は53歳だがこのオバおねえさま方は55歳とか56歳とかそんなくらいだが、ハッキリ言うと50歳を越えると、2歳差も3歳差もさして変わらない。何なら5歳差もほとんど無いにも等しい。若い衆が見たら見分けがつかない。
当然、体調やら体感やらもさして差が無いわけで、当方も同様で、よほどの冠婚葬祭のスーツ姿を除くとスニーカーしか履かない生活になっている。
なぜなら足が楽だからだ。
当方に限らず、楽さ・快適さを知ってしまえば、それを自発的にやめる人間は少ない。
近年「スニーカーブーム」と言われて久しい。当方の記憶だとかれこれ10年くらいは「スニーカーブーム」と言われているのではないかと思う。
もちろん対象となるスニーカーは異なる。少し以前だとコンバースオールスターやアディダススタンスミスなどのいわゆる「ローテク」と呼ばれるトラッド系スニーカーだったが、2010年代後半はナイキのエアナンタラとかリーボックのインスタポンプフューリーだとかの「ハイテク」系スニーカーが「ダッドスニーカー」とも呼ばれて注目を集めて今に至る。
ブームというのは1年~3年くらいの短期間で冷めるものであり、10年以上も続いているのであればそれは「ブーム」ではなく「定着化」としか思えない。
大阪市内、それから自宅のある田舎周辺で老人のスタイルを眺めていると、ほとんどがローテク、ハイテクかかわらずスニーカーを履いている。体感的にいえば7割から8割はスニーカーである。
老人は足腰が弱っているから、革靴やらブーツやらハイヒールを履くよりもスニーカーを履いた方が圧倒的に楽だし、多分足腰への負担も少ない。スニーカーへ流れることは極めて当然である。
当方の祖父・祖母世代は、男性ならギョーザみたいな形のパッカリングのある変なスリッポンタイプの革靴、女性なら平たいパンプスみたいな靴を履いていた。スニーカーは「ズック」と呼ばれ「子供が履く靴」という認識だった。今の60代以上の老人はほとんどがスニーカーを履いている。大きく着装が変わった。
女性の着装も同様で、20~30年前なら、今の季節はリゾート風ワンピースを着る人が多いが、足元はサンダルや革のローファー、革のレースアップシューズがほとんどだった。しかし、今はリゾート風ワンピースにもポンプフューリーやエアナンタラを履いている女性がほとんどである。
ビジネススタイルのリュックとて同じだ。
今でも「スーツ、ビジネススタイルにリュックはご法度」というファッションガーな方もおられるが、一時的なブームではなく、2011年の東日本大震災からすでに12年が経過し、ブームではなく男女ともに定着化しようとしている。
大阪市内だと近場の得意先を自転車で訪問する営業マンも多く、手提げバッグよりもリュックの方が行動様式には適している。
両手が自由になる快適さを体験すれば、今更手提げのビジネスバッグに戻ることはできない。もちろん、熱烈な手提げビジネスバッグファンがいることは否定しないが、それはマス層ではなく、こだわり層・マニア層に分類される少数派になる。
スニーカー、リュックの定着化に見るように、機能性素材も定着化している部分もあるといえるが、もっと機能性素材が定着化すると考えられる。そう考えて企画・販売を組み立てるのが賢明ではないか。
スニーカーに関していえば、スニーカーを越えるような画期的な快適シューズが発明されるまではスニーカーの優位は揺らぐことがないだろうし、リュックも画期的な快適新製品が生まれない限り優位性は崩れないだろう。
comment
-
-
キム ゴンウ より: 2023/07/10(月) 12:26 PM
私はバブル期のブランド大好きな人間ですが
最近は仕事で革靴を履くこともなくなり
もっぱらスニーカーで出勤しますが
ブランド志向は変わらず
ワークマンの1900円のをはいてます
そういえば 昔同僚がユニクロに行かないといっていました
なぜなら ラングのデニムを着る自分がユニクロなんか行けないと
のたまっていました
穴のあいたカーディガン着ながらね
>昔は(30代の頃)ニューヨーカーや~の
>麻綿混ジャケットや麻綿混スーツを着ていた
>(ここ10年は)イケてるブランドでも
>綿100%Tシャツ・ポロシャツは着用しない
これがフツーですよね~・・でもないと思います
20世紀でも夏場のJKT着用は既に少数派でしたし
2010年頃でも盛夏に綿100製品を普段着にする人は
少なくとも多数派ではありませんでした
うら返すと、南サンはやはり業界人だし
「ただしい服飾道」に基づくカッコウを
尊重していた人間であったという訳ですな
どーよーにワンピ着るなら足元は真夏でも
ストッキング履いてヒール履く~というのが業界人
でも10年前にはワンピもヒールもストッキングも
死語になっていて、ところが今はどれもリバイバル
ただし・ただし、ワンピだけど足元はくつしたに
スニーカーなんてのがふつーですからね
それも結構ドレッシーなワンピでも
しかし、さらに、ところが、こういうスタイルが
リミックスでも何でもないというのが肝です
ただ単に、ラクちん・安価を追求したら
こうなったという、それだけです
マァぎょうかい人はNB1300にカーゴパンツに
コットンリネンのJKT総額15万ぐれーのコーデを
思いつくんでしょうけどねwww
ワタシは外出する気力もないので
冷房キンキンの自室で全裸ですwwwww
でも今は、けっこうカワ(・∀・)イイ!!学生さんでも
ターミナル駅にTシャツ短パンでおでかけする
時代だからな・・・
今どき服にカネかけたり、服ごときに凝ったり
するのはダサい事なのかもしれませんね