世の中にはいろんな趣味があってどれも同等だという話
2023年3月31日 トレンド 0
先日、大阪に出張してこられた野田大介さんと久しぶりにお会いした。
《 あんときのストリート 》を発掘|MIMIC ( ミミック ) | ストリートアーカイブ・マガジン (mimimimimimimimimi.com)
こんな情報発信も手掛けておられる。
自分はどの分野の趣味においても収集癖はあるものの、いわゆる「レア物」を集めたいという願望はほとんどない。理由はカネが無いからである。あったとしても「すごくもったいない」と感じるからである。
ガンプラもせいぜい最高でも単価は8000~9000円までで1万円を越えるとまず買わない。仮に1万何千円の商品が半額に値下がりすれば買う。そういえば安倍の10万円が配られたときに、1万2000円に値下がりしたハイレゾリューションモデル「ガンダムアストレイノワール」を初めて買ってみた。1万円を越えるガンプラを初めて買ったわけである。いわゆる予期せぬ収入だったから普段買わないような物を買ってみた次第である。とはいえ、他のもっと高価でメジャーなハイレゾリューションモデルの機体もあったが、2万円前後という価格がとてつもなくもったいなく感じられたので最安値に値下がりしていたこの機体を購入したわけである。
当方の収集癖なんてその程度のものでしかない。
で、野田さんはいわゆるスニーカーマニアであり、その他ファッションアイテムのコレクターでもある。また往年の裏原宿系ブランドの愛好者でもある。
普段履きのスニーカーはもとより、いわゆる「レア物」と呼ばれるブランドスニーカーを常に買い続けておられる。
そんな彼に「最近、レア物スニーカーブームの過熱ぶりは落ち着いてきたように感じますがどうですか?」と教えを請うた。
そうすると「おっしゃるように、全く人気が消滅したわけではないですが数年前のバブル的な過熱ブームは沈静化したと感じます。争奪戦も一時期よりは激しさが無くなっています」という答えが返ってきて、当方の肌感覚がそんなに的外れではないことを再確認した次第だった。
足の楽さ、スタイリングのバランスという2点において当方もスニーカーの愛用者ではある。やや細めシルエットでくるぶし丈のパンツには、ナイキエアナンタラ系のハイテクスニーカーが最もバランス良く見える。だから、それ用にハイテクスニーカーを買う。また足の楽さと言う点からも最早ハイテクスニーカー無しでは生活ができないとまで感じている部分もある。もうスペルガのキャンバススニーカーなんて足がだるくてとてもじゃないが履いていられない。
そして2018年以降すっかりハイテクスニーカー愛用家となったのだが、色・柄と形状(シルエット)・デザインさえ気にいるならABCマートで4900~6900円に値下がりしているナイキのエアナンタラシリーズで十分なのである。ことさらに「レア物」のナンタラモデルとかカンタラコラボモデルとかを欲しいとは全く思わないし思えない。仮にそのレア物が7900円くらいに値下がりすれば買おうと思うかもしれないが、現状の何万円もする価格で買いたいとは毛頭思わない。
しかし、愛好家にはそのナンタラモデルというのは何万円出しても買いたいほどの代物である。
これはもう完全にマニアの世界といえるだろう。
40年くらい前、切手コレクターが多数いた。聞きかじった知識によると「〇〇」という切手は〇万円で取引されるというようなことは珍しくなかった。
正直なところ、当方の目にはレア物スニーカーの愛好家はこの切手コレクターと同じに見えている。対象物が切手かレア物スニーカーかの違いでしかない。
現在、スニーカーに限らず、ファッション全般における愛好家というのはこの切手コレクターと同じで、対象物が違うだけというのが社会的な認識ではないかと考えている。
例えば1990円のユニクロのTシャツでは物足りないから〇〇ブランドの4990円のTシャツを買うという程度なら、当方レベルでも理解できる。しかし、〇万円する〇〇ブランドのTシャツがどうしても欲しくて我慢できないというのは当方程度の人間には最早理解不能である。
それは切手1枚に〇万円つぎ込む人と当方の目には同等に映る。ただ、その対象が異なるだけの話である。
先日、ジョーシンのアプリで解体匠機サザビーの購入権利の抽選会の2回目が行われた。
これも所謂ガンダムのキャラクター商品で、金属パーツをふんだんに使ったモビルスーツの可動モデルである。このサザビーという機体の価格は税込みで20万円弱もする。
これが抽選で当たるのではなく、これを買う権利を抽選しているわけである。転売ヤーも含めたマニアでは争奪戦が繰り広げられているためである。
ガンダム関連に興味の無い人からすれば何のこっちゃ?だろう。しかも20万円もする。ガンダム好きの当方からしても「みんなカネ持っとるなあ~」という感嘆しか出てこない。
しかし、一方で、ガンダム愛好家からすれば、たかがスニーカーや洋服に何故何万円も払うのか理解できないというところで、当方にとっては両方とも理解不能である。
とはいえ、それを否定することはできないし、趣味としての優劣は無い。切手コレクターもガンダムコレクターもブランドの洋服ファンも社会全般から見れば同列の愛好家・マニアという存在に過ぎない。
かつて2000年代半ばごろまでは、イケてるブランドの洋服を着ていたら男女ともにモテやすいという謎の時代が確かにあった。衣料品業界人の中でも特に服好きな人はその当時の感覚が色濃く残っている。だが、2010年代以降、ファッションというのは「単なる趣味の1つ」になり、かつてのような「特別な趣味」では無くなっているといえる。そのことを強く認識する必要があり、そうでなければある程度のマスに洋服を売ることはできなくなっているのではないだろうか。もしくはマニアはマニアに売ることだけを考えるべきではないかと思う。
2000年代半ばまでのように、マニアックで高価なファッションをマスに売るなんていうことができる時代はもう二度と戻ってこないだろう。
仕事のご依頼はこちらからお願いします~↓
ハイレゾリューションモデルのガンダムアストレイノワールをどうぞ~