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南充浩 オフィシャルブログ

リアリティと説得力が感じられる洋服の耐久年数とは

2023年3月15日 トレンド 0

現在、使っているASUSのノートパソコンは確か2017年秋に買った。OS込みで10万円弱したと記憶している。

その前は富士通の薄型ノートパソコンを使っていたのだがこれはお茶をこぼしてしまったせいもあるのか、4年で壊れてしまった。たしか75000円だったと記憶している。

その前は富士通のラップトップパソコンだったが、使用開始して4年くらいで謎のウィルス?みたいなものに感染して作動しにくくなってしまった。これも7万~8万円くらいで買ったと記憶している。

 

今のASUSのノートパソコンは動作がやや鈍くなってきたと感じるが、まだ壊れる気配はない。もうすぐ6年になるが、あと何年間かは使えそうな気配であり、過去のパソコンと比べると最も寿命が長い。

とはいえ、ノートパソコンが15年とか20年とか使い続けられるとはさらさら思っていない。このノートパソコンも最大限使えてあと4年くらいだろうと覚悟している。

10年前後がパソコンの最長寿命だと認識している。

仕事で使用するならパソコンは7万円台後半~10万円くらいの値段が相場だと思っているから、仮に9万円と仮定して、これが4年とか5年で壊れて買い替えるのは、なかなか懐に厳しい。(稼ぎの多い人なら違うだろうが)

しかし、10年ぐらい使って壊れたら、懐には厳しいものの、当方は諦めもつく。

 

当方は最寄り駅やジョーシンには自転車で出かける。スーパーペーパードライバーなので自転車しかない。

現在使っている自転車は丸石のママチャリで、かなり丈夫だと聞いて2014年か15年に買った。33000円だった。もう8年くらい乗っていてまだ何年間か乗れそうだが、タイヤはパンクしたり、外側が擦り減ったりして何度か交換している。また前に設置してあるカゴも壊れて一度取り換えている。そう言う意味では2年か3年に1度はどこかしら修理が必要でその都度修理費がかかっているが、本体はまだ今のところ大丈夫っぽいのであと2~3年くらいは使えるのではないかと思っている。

 

何が言いたいのかというと、何万円・何十万円しようと道具はいつかは壊れる物であるという話しである。そして人間は必ず死ぬという話しである。永遠不変の物質(生き物も含めて)などこの世には何一つ無い。

 

まあ、そんなわけで個人的には何年か前からちょくちょく見かける「すごく長持ちする服」というものに違和感を感じてしまう。

もちろん、パソコンのくだりでも述べたように1年とか2年で壊れてしまうと落胆してしまうが、5年くらいで壊れても仕方がないと思っている。それ以上長持ちすればありがたいが、何十年も持つ必要があるとは思えない。

洋服にもさまざまな用途・種類があって、現場作業服、軍服、消防服、警官の服、スポーツ競技ウェア、柔道着など肉体を保護する目的の衣服には丈夫さや耐久性が求められることは言うまでもないが、通常のドレスウェア、ビジネスウェア、カジュアルに「過剰な耐久性」が消費者から求められているとは到底思えない。

ひところ、よく(やや過剰気味に)イシキタカイ系メディアで取り上げられていた「10YC」というブランドがある。これの「10年使える服」というのは、そこそこ納得できるコンセプトラインだと個人的には思っている。

実際、当方のタンスの中には2010年に買った+Jのジーンズが破損せずに眠っており着用回数と洗濯回数によってはユニクロの服でも優に10年間破損せずに使えるから、この10YCのブランドコンセプトには納得できるというわけである。

 

しかし、某三陽商会の「100年コート」になると疑問を感じる。

最初に「すげー大げさ」だと感じてしまう。また、100年後にも某三陽商会という会社がそもそも存続できているのだろうかとも激しく思ってしまう。

トレンチコートはベーシックアイテムだからという声も聞こえてきそうだが、トレンチとてトレンドによってシルエットは大きく左右されてきたから、ずっと着られるというわけでもない。

2000年からのピチピチブームのころ、トレンチコートもタイトなシルエットになっていた。逆に2010年代後半からのルーズシルエット復活によってトレンチコートのシルエットもゆったりに戻ってきた。

Tシャツしかりトレーナーしかりジーンズしかり、で、どれほどベーシックな定番アイテムであってもトレンドによってサイズ感やシルエットは変化せざるを得ない。変化させないという手法もあるが、それをやってしまうとかなり保守的な少数のコア客しか買ってくれないため、ある程度の数量を売りたいブランドでは採算に合わないということになる。

まあ、ヨウジヤマモトのようにずっとルーズシルエットを貫き通せる信念が必要になるだろう。それによって会社は一度経営破綻しているのだが。

 

また物性的にも綿やウール、麻と言った天然繊維に何十年にもわたる耐久性があるのかという疑問もある(本革は手入れ次第で何十年か持つが、『繊維』ではないのでここでは触れない)。物性的には恐らくポリエステルやナイロンなどの合成繊維の方が耐久性が高いはずである。

 

結局、高い服を売るための理由付けの1つとして「過剰な長持ち」が謳われる場合があるということなのだが、これまで何度も書いてきたように洋服に関していえば、高額と長持ちは必ずしもイコールではない。特にドレスシャツ、メンズスーツ、女性のドレス、カジュアル服、モード服などではその限りではない。極細綿糸生地のドレスシャツとか極細ウール生地の高級スーツなんていうのは価格が高いが耐久性は無い。

とはいえ、丁寧に扱えばある程度は長持ちさせることは可能だが、それとて「100年」は無理で、せいぜい10年くらいだろう。逆に「高額衣類=長持ち」という価値観をばら撒くことは、繊細な天然繊維で作られた高額衣類に対しては有害ですらあるのではないかとも思う。

 

そんなわけで、「10年持つ洋服」とか「7年持つ洋服」とか「15年持つ洋服」あたりの打ち出しの方がリアリティと説得力が感じられるよね、という話しである。

 

 

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