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南充浩 オフィシャルブログ

「アメリカではシーインの勢いが鈍化傾向」という記事を紹介してみる

2023年3月1日 企業研究 0

概して知見が狭くて浅い当方なので日々目にする報道は偏りがあることは承知の上だが、シーインに関する国内の報道のメインは

1、シーインすごい

2、シーインの盗作問題

だいたいこの2種類ではないかと感じる。

最近の1は、贔屓の引き倒しと言うか、イキリコンサルが飯のタネを求めてのポジショントークと言うか、が増えすぎていると感じられてならない。

2に関しては、まあ毎日大量の新デザイン商品をアップするシーインだから、AIを使ってウェブ検索してデザインを拾って来ないと到底実現できないよな~、と言う感想しかない。

あと、タオバオなどの中国国内ネット通販との共通商品も多々あるようだ。これも大量に毎日新規デザイン商品を投入するなら当然だろう。今回の盗作指摘もシーイン単独というよりはそのあたりの中国企業が同じ商品を扱っていたと見るべきだろう。

人気イラストレーター「SHEIN」で盗作被害に「絶対に買わないでください」 同様の告発相次ぐ― スポニチ Sponichi Annex 社会

すると「海外通販のアリエク、淘宝網でも大量にでていました」と、他にも同じ商品が販売されている海外通販サイトについて告発が寄せられ

という一節があるが、シーインが盗作したというよりも盗作した商品が大量にシーインを含めてタオバオやアリエクなどの中国通販サイトで共通化して売られていたと見るべきだろう。

知見が狭くて浅い当方が認識できているのはこの2パターンである。

 

そんな中で、興味深い記事をSNS経由で教えていただいたのでご紹介したい。

まあ、とっくにご存知の方もおられるだろう。

 

中国発ファストファッション「SHEIN」、22年の売上高は約3兆円 米IPO計画も加速か

である。

タイトルだけを見ると、国内でも掃いて捨てるほど見かけるシーイン凄い記事かと思ってしまうが、記事の中身はそうでもない。シーインの勢いの鈍化が根拠となる数字を交えて説明されている。

逆にいうとシーインの主要販売国であるアメリカ、シーインの祖国である中国ではこう見られているということになる。

冒頭の「シーイン凄い部分」は飽きている上にめんどくさいから省略する。

 

一貫して順風満帆と見られているSHEINだが、最近では「疲弊」の色も見える。1つは上場前の最新ラウンドとして進めている資金調達で評価額がピーク時の3分の2にあたる640億ドル(約8兆6200億円)をつけたと報道されたこと、もう1つは2020年までの8年間は売上高の伸びが100%以上で推移したきたものの、22年に初めて減速に転じ、利益も減少したことだ。

 

とある。この指摘に対しては興味深く感じるものの、ここまで成長したのなら鈍化するのも当たり前じゃないのか?とも思う。世の中に無限成長はあり得ない。

ついでにいうと「2」の盗作問題だが、

SHEINは膨大なSKU(品目を数える最小単位)を展開し、しかもそれが順調に回っている。1日に約5000点、多ければ8000点の新商品を発売しており

という一節にあるように、これだけのSKUの新商品を毎日投入し続けることはAIを使って既存デザインを集めないと人間が考えるだけでは不可能である。盗作は必然の結果といえる。

 

この記事の興味深いのは以下の2点に具体的に言及している点である。

2つ目の方針「より高価格帯の商品を展開する」についてだが、欧米の消費者の間ではSHEINは「中国のリーズナブルなファッションブランド」との認識がすでに定着している。

ここで安易に値上げに走ればブランドに傷がつくだろう。自社のこうした立ち位置を熟知しているSHEINは、現在よりも高価格帯のプレミアムライン「MOTF」を別ブランドとして立ち上げた。今後より高価格な商品を売っていくには、MOTFの展開に力を入れること、また「さらにハイエンドな」ブランドを立ち上げることが必要になるだろう。

とのことで、安売りが看板のシーインでは値上げできないので、高価格帯の新ブランド「MOTF(読み方がわからん。モトフ?)」を投入したとのことで、今後はさらにハイエンド(要するにもっと高額品)な新ブランド立ち上げの必要を指摘している。

だが、MOTFなる新ブランドが、激安品としてアメリカで認知を高めてしまったシーインが新たに立ち上げてすんなりと受け入れられるものなのだろうか?それなら、既存の高価格ブランドで十分ではないのだろうか?もしかするとこの考えは日本人的で、アメリカ人とは異なるのかもしれないが、そんな感想を抱いた。さらにいえば、シーイン発のハイエンドブランドなんてものを欲しがる層がどれほどいるのだろうか?それこそ既存のハイエンドブランドの方が知名度・ネームバリュー・ステイタス性すべてにおいて上ではないのだろうか。

 

そして

3つ目の方針「より多くのリピート客を獲得する」については、2022年にSHEINを利用した1億4200万人の顧客のうち約60%が初めての利用だったという。25年までには顧客数を2億6100万人にまで増やし、リピート客の割合を60%で維持したい考えだ。しかしSHEINのメイン顧客は18〜34歳で、なかでも18〜20歳代の割合が多い。この層は興味や関心が移りやすく、ロイヤルティも低い。コンサル会社Morning Consulting Brand Intelligenceの調査によると、若年女性のSHEINに対する興味は薄れつつあるという。米国のZ世代(1997〜2013年生まれ)が買い物の際SHEINを利用したいとする割合は22年5月のピーク時は54%だったが、同年9月には39%にまで下がっている。

という指摘が興味深い。

以前、このブログでも日本人のアンケート結果を報じたニュースを紹介したことがあるが、シーインの利用者は10代女性だけが突出して高い。10代女性だけが50%である。

SHEINに関するアンケート調査を実施、「利用してみたいと思わない」と回答した人が4割に (fashionsnap.com)

そして今後も使い続けたいかという問いに対しても「ぜひ使用したい」という答えは10代女性だけが45・7%と突出しているだけで、その他は20代女性が25・3%あるだけで、その他世代は低い。

要は、利用しているのも、今後も利用したいと言っているのも10代女性だけという状態である。

 

アメリカでは記事によると、

米国のZ世代(1997〜2013年生まれ)が買い物の際SHEINを利用したいとする割合は22年5月のピーク時は54%だったが、同年9月には39%にまで下がっている。

という状態に落ち込んでおり、そこからさらに半年が経過している現在(23年3月)はさらに減少しているのではないかと当方は推測する。

さらには、シーインを下回る新たな中国ネット通販ブランドの登場を指摘している。

注目に値するのは、SHEINが高価格帯商品の販売を試みる一方で、もともと手がけてきた低価格商品の分野でSHEINを脅かす存在が現れたことだ。格安商品を扱うことで知られる中国EC大手「拼多多(Pinduoduo)」がローンチした越境ECプラットフォーム「Temu」がそれだ。

TemuはSHEINと同様、背後に中国の強大なサプライチェーンを抱え、「委託販売モデル」を展開している。Temuが取り扱う商品はSHEINの商品の最低価格を下回るほどで、驚きの安さだ。Temuはローンチしてわずか数カ月ほどだがアプリのダウンロード数でSHEINを抑えて複数回首位に立っており。最初の4カ月で2000万回のダウンロードを記録した。

とのことである。

シーインが成功したモデルを今度はシーインを下回る価格で追随されているということだが、シーインの既存客層のプライオリティは「安さ」にあると考えられることから、早晩、かなりの客を奪われることになるだろうと当方は見ている。

それにしても「日本人は安い服を買いすぎる」とお嘆きの業界人も多いが、シーインの伸長と新たな安売り中国ブランドの急成長を見ると「アメリカ人こそ安い服が大好き」ということが如実にわかるというものである。

 

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